作家さんからネタに使われるミステリーがある。
ネコ缶がよくみるのが、そう、今回の「リラ荘殺人事件」なんである。
学生たちが山荘に合宿にいくと、何かあるかも!という人物に、こう突っ込こむ場面があった。
これは「屍人荘の殺人」ですな。
これ以外にもまだある。
ネコ缶も好きな「望月氏」(有栖川有栖の学生アリスシリーズ登場人物)の下宿アパートは「瑠璃荘」だ。
そんな、ほかの作家さんも大好きな「リラ荘殺人事件」いってみましょう!
鮎川哲也 「リラ荘殺人事件」 あらすじ
夏休みの合宿に、とある大学の音楽部と美術部の学生7人が、リラ荘に泊まりにやってきた。
その中の4人はカップルで、リラ荘で婚約発表が行われたりするなど、はた目には華やかで幸せなバカンスだった。
だがその次の日から、連続殺人事件が起こる。
しかもその死体の傍らには、いつもトランプのスペードのカードが置かれていく。
戸惑う学生たち。
被害者は、学生たちだけでなく、リラ荘管理人のお花さんや、この町の炭焼き男にまでも及ぶ。
ようやく1人の逮捕者が出るが、なんと彼が留置場にいる時にも殺人事件は起こってしまう・・・。
警察や検察までがお手上げの中、星影龍三が颯爽と登場。
7人もの人間を、警察もいる中、殺したのはいったい誰?
鮎川哲也 「リラ荘殺人事件」 感想
この殺人事件の犠牲者は7人。
しかし犯人が、本当に殺そうと狙った人間は実は2人。
残りの5人のうち3人は、犯人がやむにやまれぬ事情で行った突発的殺人で、しかも1人はなんとただの事故。
そして最後の1人は、全く別の人間が行った殺人なのである。
犯人の焦りを裏付けるかのように、3人目からの殺人事件は、急速にスピード感を増していく。
ページをめくる手が、止まらなくなってくる瞬間だ。
このトリックが解明されたとき、ネコ缶、正直舌を巻いた。
で、全員を殺す動機が、普通あるんやないの?
アガサクリスティの「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」の連続殺人トリックも衝撃を受けたが、リラ荘のトリックはそれに匹敵する。
そして誰もいなくなった・詳しくはこちら
オリエント急行殺人事件・詳しくはこちら
作者・鮎川哲也氏の構成力には尊敬しかない。
「いわゆる普通の連続殺人のトリック」な考え方で進めば、7人目の殺人事件が起こった段階で、犯人探しが完全に行き詰まる。
ということになるのだ。
謎解きの際、ちょっと苦笑いするポイントもあるが、やはりお花さんが殺された理由や、橘の殺害トリック、犯人が殺人をしようと思ったきっかけなどは、やはり読者を納得させてくれる。
最後はちょっとしんみりするが、やっぱり面白い作品であることには間違いない。
ネコ缶さとこのネタバレ注意報!
連続殺人事件はこのパターンに分かれる
1、全員に殺意があった。もしくは事情により殺さざるを得なくなった人間が入る
2、殺したいのは一人だが、動機がある自分が疑われないようにするために、全く関係ない人をカムフラージュとして殺す
3、途中で犯人が変わる
ABC殺人事件でも書きましたね⇒アガサクリスティ「ABC殺人事件」レポはこちら
名探偵コナンの「ナイトバロン」が、「リラ荘」で出てくる殺人方法を、オマージュしていると思うが・・・同感のかた、いませんか?
鮎川哲也 「リラ荘殺人事件」 まとめ
ネコ缶の評価
登場人物のネーミングが、ほんのちょっとだけマイナス
読めへん名前やないけどな!
ここに出てくる星影龍三という探偵は、鮎川哲也さんの小説の中では、鬼貫刑事と比べたらかなり個性的。
ポアロのようにオシャレで傲慢、そして超有能。
でも鮎川哲也もので、有名になってるのは鬼貫なんやなあ・・・。
日本人はやっぱ鬼貫みたいな、コツコツ粘り強い警察が好きなんやな。
かなりストイックやけどな
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