有栖川氏の国名シリーズは、「モロッコ水晶の謎」と「インド倶楽部の謎」の間が凄くあいている。
その10年、何があったんやろうかと心配してしまうが、とりあえず国名シリーズが続いたことを喜ぼう。
そんなわけで国名シリーズ待望の第9段「インド倶楽部の謎」いってみよ!
Contents
有栖川有栖・作家アリス(国名シリーズ第9段)「インド倶楽部の謎」あらすじ
神戸・北野のナイトクラブ・ニルヴァーナで、年齢や職業もバラバラな男女7人が集まっていた。
余命を言い当てることができるインド人に、リーディングをしてもらうためだ。
希望者の経歴や、余命を次々と言い当てるインド人・ラジーブ。
会は不思議な興奮をもってお開きとなった。
だがこの後、会のコーディネーターと、リーディング提案者が他殺死体で見つかる。
リーディングの会参加者の中に犯人がいるのか?
ニルヴァーナのオーナー・間原が、経歴を言い当てられた時嫌な顔をしたのはなぜか?
神戸・北野の美しい街並みを舞台に、久しぶりのコンビが帰ってくる。
有栖川有栖・作家アリス(国名シリーズ第9段)「インド倶楽部の謎」 感想
前回の「モロッコ水晶の謎」から、10年以上もたって出版された、待望の国名シリーズ第9段なのである。
しかも長編。
国名シリーズを、読み続けているネコ缶、期待を込めてページをめくったのだが・・・。
感想は一言。これだ。
ちょっとがっくり来てしまったのだ。
とりあえず「うーんな理由」を元に、ネコ缶の感想を述べていこう。
うーんな理由1 どんでん返しが逆効果
ページ数30位を残して、犯人と思われる人物の独白がある。
・・・と思うが、殺人事件の真犯人はこの人ではない。
確かにちょっとした罪は犯していたが、今回の殺人には全く関与していない。
最後にどんでん返しがくるのだ。
ラストのどんでん返しは、ミステリーファンとしては大いに歓迎することなんだけど、「インド倶楽部の謎」は逆効果になっている。
真犯人の動機が全く薄く、共感も納得もできない。
むしろ独白をした人物が犯人な方が、よほど納得できる。
と思ってしまうのだ。そこが本当に残念。
犯人の動機がファンタジーな感じな奴。
うーんな理由2 話がたらたらと長い
インド倶楽部の謎は、367ぺ―ジある。
文庫本にしたら500ページ以上になるのではないか。
でもこれ、話はもっとスリム化&濃密化できるとネコ缶は思うのだ。
スリム化&濃密化の例を挙げる
「インド倶楽部の謎」スリム化&濃密化の具体例
- インド人ラジーブと、コーディネーター出戸を、もっと話にからませる(そしてもっと、あくどくさせる)
- 間原氏は殺人を犯していたとする(事故に見せかけて本当は殺したとする)
- 間原氏は、長いこと恐喝を受けていたことにする
こんな感じにしたら、もっと面白くてコクのある話になったのではないやろか?
インド人によるリーディングとか、「モロッコ水晶の謎」に続く良いお膳立てがあったのに残念。
モロッコ水晶の謎レポはこちら
話は変わるが、インド倶楽部の謎では、「土砂崩れ」が重要なキーワード。
ネコ缶、土砂崩れと聞いて内田康夫さんの「後鳥羽伝説殺人事件」を思い出したな。
有栖川有栖・作家アリス(国名シリーズ第9段)「インド倶楽部の謎」まとめ
ネコ缶評価
有栖川有栖なので、サクサクと読みやすく話は進んでいく。
だがやはり読了後の違和感が痛い。
国名シリーズ長編はやはり「マレー鉄道」がベストか。
マレー鉄道の謎レポはこちら
有栖川有栖氏の国名シリーズの順番ってどうなってんの?と思う方はこちら⇒国名シリーズの順番とおもろさNO1はこれ!