アガサクリスティのミステリーには、舞台俳優や女優がよく出てくる。
「オリエント急行殺人事件」なんかは、乗客の中に「元女優」がいるし(ちょっとネタバレ)
三幕の殺人は、とある俳優は容疑者ではなく、探偵役もやってくれてるのだ。
「オリエント急行殺人事件」詳しくはこちら
「三幕の殺人」詳しくはこちら
今回紹介する「エッジウエア卿の死」は、容疑者と被害者の何人かが俳優&女優という設定ときてるから、もう芸能界で起こった事件みたいなもんやな。
これまた、かなり魅力的&個性的な女性が主役やで。
ではいってみよか!
Contents
アガサクリスティ(ポアロ) エッジウエア卿の死 あらすじ
押しも押されもしない舞台女優の、ジェーン・ウィルキンソン。
彼女は夫のエッジウエア卿と別れて、マートン公爵との再婚を望んでいた。
なかなか離婚を認めてもらえないある日、エッジウエア卿が殺されたというニュースが入ってくる。
しかもエッジウエア卿の執事と秘書は、殺される直前に、ジェーンが夫を訪ねて来たといっているのだ。
でもその時間、ジェーンはモンタギュー・コーナーの晩餐会に参加しており、13人もの目撃者までいる。
エッジウエア卿を殺したのはいったい誰なのか?
その後、もう一人の舞台女優カーロッタ・アダムズが死体で見つかり、甥のロナルドが借金を申し込み断られていたことも解り、事態は混乱を極めていく・・・。
アガサクリスティ(ポアロ) エッジウエア卿の死 感想
テンポも良く、一気に物語に引きこまれていく。
サクサク一気に、途中まで読み進んだところで、かなりの人がこう気づくだろう。
なぜなら物語の最初が、カーロッタの声帯模写のうまさから始まるからだ(見事な伏線!)
でもこんなに早く解ったら、話が面白くないなあ!
はっはっはっ(勝ち誇った笑い)
・・・・と思いきや、ポアロ&ジャップ刑事も、あっさりカーロッタが変装して殺した(その後自殺した)のではないかと疑いだす。
ここからが難解。
そして謎解きの本番なのだ。
どうやっても、カーロッタがエッジウエア卿を殺す動機が見つからない。
だったらカーロッタを操る、黒幕がいるのではないかと思いきや、それらしい人物もいない。
そのうえ、カーロッタの交友関係も清廉潔白で、怪しいところがまったくない。
完全に、ポアロもジャップ刑事も、そして読者もお手上げになるのだ。
他にも細かな謎が、沢山ちりばめてあるので
と、だんだんパニックになっていくので、要注意な物語だ。
エッジウエア卿の死 読み込みポイント
エッジウエア卿の死は、各登場人物の時系列をしっかりと、とらえておくと解りやすいので、これを抑えておこう。
ジェーンa.b | カーロッタ | ジェラルディンとロナルド | |
午前中 | ロナルド、借金を断られる。 | ||
お昼ごろ | ・帽子を購入 ・ジェニーとランチ 「ワクワクした様子だった」 |
||
18:00 | ・帰宅 ・手紙を妹に書く |
||
19:00 | 出かける | ||
20:00 | ・家を出る ・8:45晩餐会に着く |
||
21:00 | 21:30電話がある | ユーストン駅に鞄を預ける。 | 別々にオペラ鑑賞 |
22:00 | エッジウエア卿に面会に行く | 鞄を取りに来る | 幕間に合流 |
23:00 | ・23:45帰宅 ・このころにはいなかった |
・コーナーハウスでお茶 ・C.Aと彫られたケースを持っていた。 |
2人タクシーでエッジウエア卿宅に行く(真珠を取りに) |
24:00 | ・帰宅 |
ジェーンaとbにしたのは、違う場所(エッジウエア卿宅と晩餐会会場)でそれぞれ見られていた行動という意味。
時系列の中で、特にロナルドと、ジェラルディンの動きは、後半混乱のもとになるので、しっかり把握しておくことをおススメする。
アガサクリスティ(ポアロ)エッジウエア卿の死 まとめ
ネコ缶評価
とにかくラストにびっくりした。
・・・というか、なんでそっちに気づかへんかったんかな~。
と歯ぎしりしてしまうのだ。
エッジウエア卿が、離婚に承諾した詳しい理由とか、青髭さながらの怖い旦那ぶりを、もう少し知りたかった感はある。
だが、クリスティお得意の、個性あふれる女性の描き方のうまさとともに、ぐいぐい読ませてくれる内容であることは間違いないで!
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