支配性の強い女性というのがいる。
一族を仕切って、言うとおりにさせることが喜び・・・みたいな女性だ。
家庭でやられると、関係が煮詰まりすぎて、にっちもサッチも行かなくなることがある。
今回ご紹介する「死との約束」は、そんなコワーい女性が登場する。
詳しくみていこう!
Contents
アガサクリスティ(ポアロ)「死との約束」 あらすじ
医学生、サラ・キングは、中近東の旅行中に妙な家族に会った。
ボイントン家の母親・ボイントン夫人が、恐怖で子供たちを支配し、外部との接触を禁止しているのだ。
その子供たちのうちの、レイモンドとキャロルと親しくなり、この家族を救いたいと思ったサラ。
だがなかなかうまくいかず、悩んでいたところ、なんとこの家族を支配していたボイントン夫人が心臓発作で死んでしまうのだ!
戸惑いながらも、奇妙な喜びに浸るボイントン兄弟たち。
だがポアロが偶然にも、レイモンドが言った、この一言を聞いていた。
ボイントン夫人は、本当に自然死なのか?
殺人事件なら、ボイントン兄弟のだれかが殺したのか?
中近東の山岳地で、灰色の脳細胞が動く!
アガサクリスティ(ポアロ)「死との約束」感想
今回の「死との約束」は、とにかくキャラ設定が強烈だったので、そこから書いていこうと思う。
死との約束 キャラ設定
アガサクリスティは、実に様々な女性を登場させている。
美しくも超身勝手な女優、ジェニーとか。
「エッジウエア卿の死」はこちら
献身的で賢い、良妻賢母の女性キャサリンとか。
「青列車の秘密」はこちら
この時代の女性にしては奔放で、ヘイスティングスをがっちり射止めてしまったシンデレラとか
「ゴルフ場の死」はこちら
物語ごとに、問題はあっても、とにかく魅力的な女性を次々と登場させているのだ。
今回も、かなり特徴のある女性を登場させている。
その名は「ボイントン夫人」だ。
超お金持ちの未亡人なのだが、元女看守で家族(子供4人)を完全に支配し、外に出さない。
学校にも行かせず、仕事もさせず、友人付き合いもさせないのだ。
ある意味異様。
今回はその人より、もっとひどいで。
しかもボイントン夫人、妖怪のような印象なのだ。
まるで巣の中央に、収まっているオオグモといった感じに、でっぷりと太った体を、傲然と彼らの真ん中にふんぞり返らせている。
うーん、怖いなあ・・・。
美しい女性を、これまで数多く登場させていたのに、その後もクリスティの描写は容赦ない。
グロテスクな仏像のように、太った老女
・・・などという描写が、遠慮なく続く。
ジャバザハット!
いやもうこれでしょう。絶対。
「死との約束」の前半の主役は、この女性と言っても過言ではない。
これも怖い事件やったで・・。尼崎事件
ちなみにボイントン夫人以外にも、女政治家の代名詞(悪い意味での)のような女性も出てくるので、それも見もの。
今回の女性登場人物は、結構アクが強いで!
「死との約束」の謎解き
物語後半戦は、このボイントン夫人殺人事件の謎解きだ。
旅行先でボイントン夫人が、突然死んでしまう。
なんせものすごく太っているし、心臓も悪かったので、自然死で収まりそうだったのだが、ここにきて物語の冒頭の話がよみがえる。
ボイントン家のレイモンドとキャロルが、こう話しているのをポアロが聞いていたから、ややこしい。
今回の被害者は、相当ひどい事しているし(オリエント急行殺人事件の犯人と匹敵する)、殺しても仕方ない・・・と思うのだが、やっぱりそこはポアロ。
キチンと真実を追求します。オリエント急行殺人事件詳しくはこちら
ちなみに、ボイントン夫人が死んだときの時系列は、こうなっている。
3:05 ボイントン一家とコープ氏散歩に出発。
3:15 ジェラール博士&サラ散歩に出発。
4:15 ウェストホルム夫人&ミス・ピアス散歩に出発。ボイントン夫人に一声かかける。
4:20 ジェラール博士テントに帰る。
4:35 レノックス、テントに帰る。母と話す。
4:40 ネイディーン、ボイントン夫人と話す
4:50 ネイディーン、ボイントン夫人と別れて大天幕に行く
5:10 キャロル、テントに帰る。ボイントン夫人と話す
5:40 ウェストホルム夫人、ミス・ピアス、コープ氏テントに帰る。
5:50 レイモンド、テントに帰る。ボイントン夫人と話す。
6:00 サラ、テントに帰る。
6:30 ボイントン夫人が死んでいることを発見
サラがボイントン夫人の死を発見したときは、死後1時間半から1時間くらいたっていた。
それが本当だとすると、死亡推定時刻と、みんなの行動がおかしい。
レノックスは、5:25に母の腕時計を、直したとも言うのだ。
兄弟のだれかが殺したにしても、誰が殺したのかがさっぱり解らないのだ。
一応、ボイントン一族以外にも5人の人間がいる。でも当たり前だがボイントン夫人を殺す動機がない。
この辺りをどう解いていくのか?
これが後半戦の見どころやな。
アガサクリスティ(ポアロ)「死との約束」まとめ
ネコ缶評価
謎解きはかなり複雑かつ繊細。
兄弟たちの「気持ち・感情」にウエイトがかかっていて、証拠や凶器はあまり問題にはならない。
ちなみに「死との約束」は「死海殺人事件」という映画にもなっている。
興味のある方はどうぞ~。
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