アガサクリスティは、実にさまざまな女性を物語に登場させている。
ワガママで自分の事しか考えない女優、ジェーン・ウィルキンソン 淑女で冷静な頭脳を持ち、ポアロの助手も務めた、キャサリン 愛らしい顔で元気いっぱいにふるまい、見事ヘイスティングズを射止めたシンデレラなどなど・・・・。
そして今回は、ヘンリエッタというクリスティの作品の中で、ずば抜けて魅力的な女性が登場した作品を紹介しよう。
それはこれ「ホロー荘の殺人」
ホロー荘の殺人は、ミステリー要素はとても少ない。
むしろ、このヘンリエッタ(と、わき役のミッジ)の生きざまを、余すところなく描いているようにも思える異色の内容なのだ。
ではみていこう!
アガサクリスティ(ポアロ)ホロー荘の殺人 あらすじ
ホロー荘に週末集まった男女8人。
遠い親戚でもあり、小さいころからのなじみの人間でもある彼ら。
いろいろな思惑はあるにせよ、週末を楽しく過ごそうとしていた。
エドワードはヘンリエッタに3回プロポーズして断られてる。
ミッジはそんなエドワードが好きやしなあ・・・。
しかもジョンは、妻のガータと一緒に来てる。
・・何にもない方がおかしいやろ、これ。
ところがそこに、ジョンの15年前の元恋人、女優のヴェロニカが隣の別荘から登場。
・・・あらまあ、ジョン!偶然!久しぶりねえ!
(↑わざとらしい)
そしてジョンに別荘まで送ってくれと頼む。
復縁を迫るヴェロニカ。
だがそれをジョンは突っぱねる。
自分を押さえつけていた、15年の月日から解放されてホッとするジョン。
だがジョンは、次の日別荘のプールで銃殺死体で見つかるのだ・・・。
しかも銃を持って、呆然としていたのは妻のガータ。
殺人現場に、偶然居合わせたポアロは、犯人を見つけることができるのか?
ホロー荘に集まった、8人の複雑な人間関係が絡む・・・。
アガサクリスティ(ポアロ)ホロー荘の殺人 感想
最初にこう思った。
カミーユ・クローデルとは、言わずと知れた、彫刻家・ロダンの弟子兼愛人である。
18世紀に、芸術で一本立ちしようと頑張り(しかも女性で)気丈で賢く、才能もある。
そして必然的にそんな女性は、仕事がバリバリできる男性に惹かれがち。
たとえ妻子があっても・・・。
カミーユ・クローデルについて詳しくはこちら
ヘンリエッタも肩書はそんな女性だ(彫刻家というところも、カミーユと同じ)。
ヘンリエッタにも、妻子あるバリバリの医者、ジョン・クリストウという恋人がいる。
そして賢く、美しい女性彫刻家として自立した人生を歩んでいる。
だが、カミーユほど気の毒な人生ではない。
もっと強いのだ。人間性も愛も。
ヘンリエッタが、強く、愛情深く、スケールの大きい女性だという事は、ラストでいやというほど解る。
普通の女性であれば、妻子持ちの彼氏に、そこまでのことができるだろうか?
・・・と思えるくらい、人間として、一人の女性として、ものすごく素晴らしいことをやってくれている。
実は、「ホロー荘の殺人」って、ミステリー小説としてはあまり面白くない
(といったら言い過ぎ?)
トリックもさほどではないし、わざわざポアロが出てくることはないのでは?
登場人物の誰かが、探偵役をしてもよかったようにも思う。
だがこれを「ヘンリエッタの生きざま」として読んだらかなり面白い小説になるのだ。
なので「ホロー荘の殺人」は、「人は死ぬけどミステリーではない」と思って読むことをおススメしたい。
ちなみにホロー荘の殺人には、ヘンリエッタの他にも4人の女性が出てくる。
それぞれが個性的で魅力的なので、『女性の物語』として読んでいくのもおススメだ。
「杉の柩」詳しくはこちらから
うーん、それにしても男性登場人物(ポアロですら)、今回はホントに影薄いなあ・・・。
アガサクリスティ(ポアロ)ホロー荘の殺人 まとめ
ネコ缶評価
悪くないんだけど、やっぱりポアロが出てくる以上は、本格ミステリーにしてほしかったと思うのが感想。
ちなみにネコ缶は、ミステリーと恋愛は断固切り離してほしい人だ。
でもクリスティは、恋愛が絡んでも全く苦ではない。
出てくる恋愛がストーリーに不可欠だし、下品さもないからだろう。
そのあたりのさじ加減の絶妙さはさすがやで!
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