アガサクリスティ

アガサクリスティ(ポアロ)こんなに面白いのになんで有名じゃないの③「葬儀を終えて」

アガサクリスティの作品には、こうつぶやいてしまう作品が多々ある。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
こんなに面白いのに、なんで有名じゃないの?

これは中期以降の作品で、本当によく感じることなので、これまでにも何度か書いた。

「5匹の子豚」はこちら
「満潮に乗って」はこちら

今回ご紹介する「葬儀を終えて」はそのうちの1つに入るだろう。

そして今のところ、「葬儀を終えて」は、その「面白いのになんで有名じゃないんだろうシリーズ(ネコ缶命名)今のところNO1」だ。

伏線、トリック、あっと驚く(驚き過ぎる)結末も文句ない。

そんなある意味完璧な「葬儀を終えて」いってみよ!

アガサクリスティ(ポアロ)「葬儀を終えて」あらすじ

大金持ちの、老リチャード・アバネシ―の葬儀の最後は、妹コーラのこんな一言で終わった。

コーラ
コーラ
だってリチャードは殺されたんでしょう? 

微妙な空気が流れる中、コーラはとどめの一言を放つ

コーラ
コーラ
 ごめんなさい・・だって・・・リチャードがあんなことを言ったもんだから・・・

コーラは若い頃から、空気を読んだりすることが苦手で、思ったことをなんでも言う女だった。

だがその発言は、案外真実をついていることも多い。

コーラの発言を裏付けるように、病気がちだったとはいえ、案外早く亡くなったリチャード・・・。

そのことを知っている親族は、なんだかすっきりしない思いを胸に持ちながらも解散。

だが、葬儀の翌日、なんとコーラが斧で殴り殺されるのだ!

しかもリチャードが亡くなる前、彼はこっそりコーラに会いに来て、こう言っていたことも判明。

リチャード 
リチャード 
誰かが私を、殺そうとしているようなのだ・・・。 

この2人の死は、何か関連があるのだろうか?
リチャードは本当に殺されたのか?

そして遺産を相続する親族たちは、ほとんどがお金に困っており、コーラが死んだときのアリバイもない。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
でも十分な遺産をもらってるし、今更コーラを殺しても・・・ってとこなんや。

この辺りがまた謎を呼ぶんやな~。

リチャードの友人であり、弁護士のエントウィッスル氏が独自に調査をするも行き詰まり、ポアロに捜査を依頼するところから、事件は少しずつ動き出す・・・。

アガサクリスティ(ポアロ)「葬儀を終えて」感想

作家の折原一さんが、あとがきで「葬儀を終えて」をアガサクリスティのベスト1に挙げておられた。

ネコ缶も文句なくうなずける。

それほどこの作品は完成度が高い。

登場人物も多いが、全くこんがらがることもなくすんなり入るし、物語も流れるように進んでいく。

物語の途中で、こんな事が起こる。

  • 親族が、コーラが殺されたときのアリバイを主張するが、全員嘘をついていた
  • コーラの家政婦が、毒入りケーキを食べて危うく死にそうになる
  • 親族それぞれが抱えている問題
  • 真相に気が着きそうになったヘレンが殴られる

これだけいろいろ何かがあっても、自然に、そして一気に物語は流れていき、気づけば読み終わっている。

ラスト近くで、ポアロがリチャード家に泊まり込み、アバネシ―一族と行動を共にする。
そこからのテンポが、ちょっと遅い感じもあるが、全く問題にならない。

丁寧な伏線、アッと驚く犯人、個性的なキャラ・・・すべてが満点、そんな作品だ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
多分犯人は、絶対に解らへんで!

「葬儀を終えて」読みこなしポイント 人間関係の把握

「葬儀を終えて」は、アバネシ―一族の関係と、キャラをしっかり把握しておこう。


例によって手書きですみません。

×印が今回の作品で死んだ人、●は存在はしていたけれど死亡した人(物語には一切出てこない)ということ。

娘とか息子ではなく、リチャードから見た兄弟や、姪、甥が今回の主なキャラやな。

アバネシ―一族は、個性豊かな(なんかやらかしそうな)キャラがそろう。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
事件なしでも、各家庭のエピソードを読んでいるだけでも十分面白い

中でも登場人物の女性(モード・スーザン・ロザムンド、そしてコーラも)が、揃いも揃ってダメンズ好きなのが笑う。

ネコ缶的には、ティモシーが「よくいるよなあこんな人」と思うキャラだ。

全然悪いところもないのに、やたら体が悪いと言って、奥さんを奴隷のようにこき使うわりに、自分一人では何もできない。

そのうえ自分の考えが絶対で、周りはみんなアホばっかりだと言う・・・。

そしてそんなティモシーを、ワガママな子供を扱うように徹底的に世話し、庇護する妻のモード・・・。

今でもどこかに存在しそうな夫婦だ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
橋田寿賀子のドラマに出てきそうな中年夫婦・・・みたいな感じや

この夫婦の描き方は、やっぱり女性ならでは。

ティモシーのセリフの一つ一つが「あ~、こんなモノの言いかたする人、今でもいるよな」と苦笑いだ。

アガサクリスティ(ポアロ)「葬儀を終えて」まとめ

ネコ缶評価

「葬儀を終えて」はほんとによくできている。

登場人物のキャラ、伏線、トリック、すべてがお見事!の一言。

でもちょっと終盤話がダレる。

そこだけ残念!一気に読ませてほしかった。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
弁護士のエントウィッスル氏が、ヘイスティングスのようにポアロに最後こき使われるのが笑う。

(ヘイスティングス、元気かなあ~。大分登場してないなあ・・・。)

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