青柳碧人

「むかしむかしあるところに死体がありました」青柳碧人・・ずっこけタイトルでも中身は本格派!

タイトルで気を引く本というのはよくある。

ビジネス書などではしょっちゅう見かける。

「嫌われる勇気」
「もしも高校野球のマネージャーがドラッガーを読んでいたら」

などなど

もちろんこれは、タイトルで「ん?」と思わせて、手に取ってもらうことが目的。

今回その手を、ミステリー小説でやってくれている本を見つけた。

それがこちら

「むかしむかしあるところに死体がありました」!

もうこれは表紙を見た途端「えええ~???」となってしまうことは必須。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ネコ缶も、タイトル見て思わず、手に取ってしまったもんな。

とはいえ、こんなふざけたタイトルなもんやから、こう思う人もいるやろう。

 
 
中身は大丈夫? 
 
 
ちゃんとしたミステリーになってるのかしら? 

でも大丈夫!

これは2020年の本屋大賞にノミネートされただけあって、中身もしっかりしてる。

ミステリーマニアのネコ缶が読んでも、よくできてるなと思えた本やで!

では詳しくみていこか!

「むかしむかしあるところに死体がありました」青柳碧人 あらすじ&感想

「むかしむかしあるところに死体がありました」は、5つの短編からできている。

  • 一寸法師の不在証明
  • 花咲か死者伝言
  • つるの倒叙がえし
  • 密室竜宮城
  • 絶海の鬼が島

何の昔話を元にしてるか、すぐに解るよな(笑)

ではひとつづつ見ていこか

一寸法師の不在証明

不在証明=アリバイの事

右大臣家の春姫様は、存生祀りの参詣途中に鬼に襲われる。

あやうし、春姫様!

・・と思ったとたん、春姫様の懐から飛び出したのは、背丈が1寸しかない一寸法師。

一寸法師は鬼の口の中に入り、針を片手に大暴れ。

痛い痛いと鬼はわめき、宝を一寸法師に渡す。

宝の中にあった打ち出の小づちで、一寸法師は大きくなり、春姫様と結婚。

右大臣の跡継ぎと相成り、メデタシメデタシだったのだが・・・。

ちょうどそのころ、上栗村で冬吉なる男の変死体が発見された。

実は冬吉は、右大臣の隠し子。

右大臣亡き後は、自分が跡取りになると豪語していたのだ。

しかも冬吉、なんと一寸法師と知り合いで・・・・。

なんだか怪しいけれど、冬吉が死んだ頃、一寸法師は鬼の腹の中。

さあ、一寸法師の不在証明(アリバイ)は成立するのか?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
時間の記載が「未の刻」とかなので、ちょっと解りにくいこともあった。

でも昔ながらの風習も、うまくトリックに取り入れて、ミステリーとして十分楽しめる。

タレコミを持ってきた、謎の男の正体がナイス!

花咲か死者伝言

枯れ木に花を咲かせる、不思議なおじいさんの2代目飼い犬になった次郎。

優しいおじいさんのもとで、幸せな暮らしを始めたそのとき!

優しいおじいさんが、丘の上で何者かに殺されていたのだ!

さあおじいさんを殺したのは一体誰なのか?

一番怪しい、いじわるじいさんには「お殿様を怒らせたと」いうことで牢屋にいたというアリバイがある。

唯一の手がかりは、おじいさんが手に持っていたぺんぺん草。

これは「ダイイングメッセージ」なのか?
ぺんぺん草をヒントに、村をあげての犯人捜しが始まる。

そして犯人は意外にも?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「一番犯人らしくない人物が犯人」というのがミステリーのセオリー。

このセオリーは、ここでも当てはまるので、注意して読んでいこう。

ラストはちょっと悲しくなる

つるの倒叙がえし

倒叙=物事の時間的な流れをさかのぼって記述すること

弥兵衛は、借金を返せと庄屋にせまられ、思わず庄屋を殺してしまう。

殺人を犯した興奮も冷めやらぬ夜、戸口からこんな女性の声がした。

 
 
雪がひどくて困っています。どうか一晩泊めてください・・ 

断るわけにもいかず、弥兵衛は女性を泊める。

(言わなくても解るが)女性の名前は「つう」。
弥兵衛に助けてもらったお礼に、反物を織るというのだ。

彼女の折る反物は高額で売れ、弥兵衛はお金持ちに。

だが弥兵衛は、どんどん堕落していき、街で見かけた、別の女性を嫁にすると言い出すしまつ。

弥兵衛は、ひどいと嘆くつうを殴り、追い出す。

そしてつうは、親切にしてくれた弥兵衛の友人・幹太にお礼を言い、空へ飛んでいく・・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ

原作でも弥兵衛はだめんずだが、ここではもっとだめんず(殺人までしてるし)。

そして原作でも、つうは可愛そうだが、ここでもやっぱりかわいそうな女性。

でもここのつうは、最後の最後で、逆転ホームランを打つ(暗い情熱やけど)。

それが最大の見どころ&胸がスカッとするポイントやで。

弥兵衛が、死体の処理をいつしたのか解りにくいが、ネコ缶、この話が一番好きやな

密室竜宮城

浦島太郎は、浜で子供にいじめられたカメを助けたことで、竜宮城へ招待された。

美しい乙姫様に、タイやヒラメの舞い踊り。
夢のような時間が過ぎた時・・・・

なんと、竜宮城で殺人事件が起こる。

被害者はおいせ(伊勢えびのことか?)。
「冬の間」と呼ばれる部屋で、昆布で首を締められていたのだ。

しかも冬の間の窓には、さんごがびっしり生えていたうえ、扉にはかんぬきが下りていて完全な密室。

自殺か?他殺か?
浦島太郎は、魚たちに犯人を見つけてくれとせがまれる・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ

もうこれぞ、ザ・パロディ

しかもしっかり、竜宮城の見取り図までついている用意周到さ(あんまり意味なかったけど)

密室のトリックは、あまり大したことないが、ちょっと解りにくい。
キーワードは「ととき貝」やで!

 

絶海の鬼が島

ここは海に浮かぶ小さな島・鬼ヶ島。

昔ここには「桃太郎」という人間と動物が来て、鬼は全滅させられた。
が、辛くも生き残った鬼たちで、また小さな集落を作って暮らしていた。

桃太郎を恐れながらも平和なある日、一匹の鬼が死体で見つかる。

この島の誰かが殺したのか?
疑心暗鬼になる鬼たち。
そんな中、また鬼が次々と殺されていく

 
 
まさか、また桃太郎が来たのか? 
 
 
この傷跡はキジがつついたのでは?これはイヌがかみついた跡じゃないか? 

パニックになる鬼たちをしり目に、死体は増える一方。

最後に1人残された鬼・鬼太が見た殺人犯の正体は?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
物語の設定が、アガサクリスティの「そして誰もいなくなった」をホーフツとさせる。
「そして誰もいなくなった」はこちらから

鬼が、ここまで桃太郎を恐れていたという事に苦笑いだが、桃太郎の隠されたエピソードにもちょっと驚く。

桃太郎が大人だったら、こうなってしまったかもしれないなあ~。

本筋の物語が子供でよかった。

むかしむかしあるところに死体がありました(青柳碧人)まとめ

ネコ缶評価

ネコ缶はパロディが結構好きだ。

「ああ~これ、○○のこの場面をモチーフにしてるよな!」

って解ったときの面白さは格別。

誰もが知ってる昔話を、こんな読みやすい、そして結構本格的なミステリーにしてしまえた絶妙のバランスがとにかくナイス。

話の中には、好き嫌いはあるかもしれないが(犬好きの人には辛い話がある)ネコ缶は☆10個をあげたい。

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