コーヒーにミルクがよく合うように
ビールに枝豆がよく合うように
「殺人現場には時計がよく合う」
と感じるのはネコ缶だけだろうか。
現に殺人現場の壊れた時計から、犯行時刻を割り出したり、トリックに使うこともよくある。
⇒「スイス時計の謎」はこちらから
こんな感じで、殺人と時計は切っても切れないものなの。
そしてそんな時計が、殺人現場に5個もあったらどう思うだろうか?
しかもそのうちの3つが、1時間進んでいたら・・・・
ものすごく奇妙だし、犯人は何を考えているのかと、読者はあれこれ想像力を膨らませてしまう。
そんな時計を使ったトリックの物語が今回ご紹介するこちらだ
「複数の時計」!
時計の謎だけでなく、怪しいご近所さん、怪しい被害者、怪しくも美しい事務員など、いろいろな要素ががっちりかみ合っている。
さっそくご紹介しよう!
Contents
アガサクリスティ(ポアロ)複数の時計 あらすじ

と、所長から頼まれたタイピストのシェイラ。
早速3時に向かうと、ミス・ペブマーシュはおらず、なんとそこには見知らぬ中年男性の死体が!
しかも殺人現場には、たくさんの時計が置いてあり、そのうちの3つはすべてきっちり1時間進んでいた・・・。
早速聞き込みをするハードキャッスル警部。
するとミス・ペブマーシュは、時計は普段2つしか置いていないという。
しかも事務所に、タイピストを依頼する電話を、した覚えはない。
殺された男にも、モチロン見覚えはないとのこと・・・。
いったい誰がこんなことを?
また、被害者の男が持っていた名刺には「保険外交員 カリイ」とあったが、これも全くの偽物とわかる。
誰かが盲目のぺブマーシュと、タイピストのシェイラを陥れようとしたのか?
被害者の男性は、一体何者なのか?
捜査が難航する中、ついに第二・第三の殺人事件が・・・・。
ハードキャッスル警部と、秘密諜報員コリン・ラム、そしてポアロの三人が事件に挑む。
アガサクリスティ(ポアロ)複数の時計 感想

かなり込み入った話だ。
まず今回、主に謎を追う人間は2人(ハードキャッスル刑事、コリン・ラム秘密諜報員)だ。
そして事件は「殺人現場の近所さん」と「第一発見者・シェイラのつながり」の双方向から解いていく・・という流れになる。
ポアロはコリン・ラムの知り合いというつながりで、ピンポイントで出てくる。
登場回数はかなり少ないが、最後はちゃんと謎解きしてくれるので、ご安心を!
「複数の時計」容疑者リスト 殺人現場のご近所さん

殺人事件はウィルブラーム・クレスントという町で起こる。
現場はその町の19号(番地なのかな?)。
そこを中心とした、クレスントの住人が参考人として書かれていく。
とりあえず、クレスントの住人たちを抑えておこう。
↑建築業の評判は割と悪め・・・・やで。
・・・などなど「ご近所さん」だけでもこんなにたくさんいる。
その一人一人がなんだか怪しいが、決定打もない。
謎を突破する鍵をくれるのは、なんと一人の少女。
ラスト近くにようやく出てくるから、そこまで頑張って読もう。
「複数の時計」容疑者リスト 第一発見者のつながり

第一発見者のシェイラは、「カヴェンディッシュ秘書引受所」というところで働いていた。
だがシェイラは、行動や出生などに、ちょっと訳のありそうな人物という事が、物語を読み進めていくと解る。
と、いう事でシェイラの周りをみていこう。
・・・とまあこんな風に、ご近所さんと、シェイラ回りの双方向から、じりじりと謎解きは進んでいくんや。
あ、ネタバレになるので詳しくは書かへんけど、1つの時計の謎は、このシェイラが握ってるで。
謎が解けるまでに、この後2つの殺人も起こるので、ハラハラしながら読んでいってな!
小道具が豊富

また、「複数の時計」の面白さは、こうした登場人物だけではない。
コリン・ラムが追っている謎もある。
コリン・ラムは秘密諜報部。早い話が「スパイ」だ。
コリン・ラムが持っているメモがこれ↓

絵にかいていある「月」と「61」がポイント。
三日月=クレスントという事で、ウィルブラーム・クレスントにやって来たり、月の女神=「ダイアナ」荘をいぶかしんだり。
前半戦は、こうした伏線と、登場人物の紹介のオンパレード。
ワクワクするが、しっかりメモを取りつつ読み進んでいこう!
アガサクリスティ(ポアロ)複数の時計 まとめ

ネコ缶評価
5つの時計、怪しいご近所さん、訳ありそうな第一発見者の女性、秘密情報部の人間が追ってる事件などなど。
これだけのお膳立てが、最初にドカンとあったので、かなりワクワクしながら読んだが・・・
謎ときはちょっと尻すぼみ。
伏線を回収しきれなかった感がある。
クリスティファンでないと、ちょっと読み切るのがしんどいかもしれない。
そこが残念だったが、ラストのホッコリ感は健在。
個人的にはポアロをもう少し動かしてほしかったな~。
本で床が抜けそうになっている方・人に見られたくない本が欲しい方はこちら!⇒読書好きを救うもの!それは「キンドルペーパーホワイト」