綾辻行人さんの「館シリーズ」は「建物」が主人公(?)というだけでもかなり凝っているが、構成もかなり凝っている。
ご本人も言っておられた。
(講談社「迷路館の殺人」著者のことばより)
その言葉通り、「十角館の殺人」は本土と島の交錯。
「水車館の殺人」では過去と現在の交錯だった。
「十角館の殺人」詳しくはこちらから
「水車館の殺人」詳しくはこちらから
そして今回ご紹介する「迷路館の殺人」はなんと、本の中に本が入っているという構成なのだ!
本の中に本?
どういうことなのか?
ページをめくってみると解るが、綾辻行人さんの書いた本の中に、「鹿谷門実」というペンネームの著者が書いた本が、スポッと1冊入っているという作りなのだ。
早速見てみよう!
Contents
綾辻行人(館シリーズ)「迷路館の殺人」 あらすじ
ある日、島田潔の元に、こんなメッセージと共に本が届く。
「あの迷路館での出来事」を知っている島田は、興味を持って本を開くと、こんな内容だった・・・・・。
ミステリー作家の大御所、宮垣葉太郎は迷路のような造りの豪邸・迷路館に住んでいた。
そこで4月1日の誕生日に、可愛がっている若手のミステリー作家や編集者、評論家などを読んでパーティを開く。
招待された10人が訪問したところ、なんと宮垣は、がんを苦に、前日自殺をしたとのこと・・・。
驚くみんなの前で、弁護士が宇多山が残したテープの遺言を再生すると、衝撃の発言が。
それ以外の人は審査員になること。
1番の作家に、私の遺産を半分譲る。
突然のことに戸惑う10人。
半分とはいえ、宮垣氏の遺産は相当なものだ。
とりあえず全員承諾した次の日。
なんと、作家の1人が殺されているのが発見される。
しかも本人が書いた小説と、同じ殺され方で・・・。
おまけに進行役の弁護士は行方不明になり、迷路館は外から鍵もかかっていた。
迷路館からは出られないうえ、お金に困っている作家たちは、仕方なく執筆活動にかかる。
だが殺人はまだまだ止まらなかった・・・。
閉ざされた迷路のような屋敷。犯人は確実にこの中にいる!
犯人は一体誰なのか?そしてその目的は?
そしてこの物語の作者で、迷路館での出来事を知る「鹿谷門実」とは何者なのか?
島田潔の推理が光る。
綾辻行人(館シリーズ)「迷路館の殺人」感想
館シリーズ3冊目。
迷路館の屋敷の内部はこんな感じ↑になっている(マジで迷路)
館シリーズの中では「ダントツで住みたくない館」に入るんやないか?
しかも念のため、この迷路は地下。部屋には窓すらない(怖い・・・)。
掃除も大変そうだし、自分の部屋から大広間に行くだけでも迷いそうだ。
見どころを紹介していこう
「迷路館の殺人」見どころ1 神話の登場人物の名前の部屋
迷路館の各部屋には、それぞれ名前がついている。
ミノタウロス、ダイダロス、イカロスにミノスなど。
ピンと来る人もいるかもしれない。
そう、これはすべてギリシャ神話の登場人物の名前なのだ。
と思うがそれだけではない。
泊り客10人にそれぞれ部屋割りがなされるが、その何人かは、その部屋の名前の人物とよく似た運命をたどるのだ。
なかなか凝ってるよな。
「迷路館の殺人」見どころ2 迷路の形にも意味がある
迷路館の中身の写真を、もう一度よく見てほしい↓
大きな通路が真ん中にどーんと通っており、向かって右は比較的わかりやすいが、左はかなり曲がり角も多く複雑だ。
これにもちゃんと意味がある。
2番目に起こる殺人事件のトリックは、この迷路の形にかなり関係しているのだ。
きちんと張られた伏線を把握しておこう。
「迷路館の殺人」見どころ3 どんでん返しがすごい
物語としては、鹿谷門実の本の中でいったん犯人は解り、解決する。
その後、島田潔氏の本当の謎解きが始まる。
作中作・鹿谷門実氏の本の犯人は、比較的わかりやすい。
犯人の動機など、細かいことはさておき、多分犯人はこの人で、こんな感じで殺したんじゃないかな~・・・みたいなことは、割と早い段階で、ミステリー好きな人には解る。
だがその後の本番・綾辻行人氏の書く、本当の犯人はおそらく解らないだろう。
この大どんでん返しは、かなりびっくりするで!
「迷路館の殺人」見どころ4 登場人物の「宇田山」氏
以前ネコ缶は、こんな本を紹介している
「どんどん橋、落ちた」
そこの「フェラーリは見ていた」に出てくる「U山さん」という人物が、ここに出てくる「宇田山」氏と重なる。
物凄い酒好きで、酔っぱらうと「芋虫」になってしまうというエピソードが、全く同じなのだ。
「どんどん橋」では、面白いキャラとして書かれているが、「迷路館」ではかなり真面目で奥さん思いの編集者として活躍している。
この辺りは、綾辻氏の遊び心なのかもしれへんな!
綾辻行人(館シリーズ)「迷路館の殺人」 まとめ
ネコ缶評価
館シリーズ、面白く読ませてもらっている。
が、3冊目の迷路館はちょっと息切れかな~という感が。
「鹿谷門実」氏の書いたミステリーの犯人が、すぐに解るところが大きなマイナス。
使われるトリックも、館シリーズならではなのだが、やはりここまで建物の作りに頼ったものだと興ざめな感もある。
とはいえ最後のどんでん返しは素晴らしいし、細かく張られた伏線もさすがだ。
今後の館シリーズ、期待してます。
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