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「罪の声」塩田武士(ネタバレあり)アノ事件の話!昭和生まれの人はぜひ読んで!

今日びのお若い方は知らないかもしれないが、ネコ缶が子供の頃、トンでもない事件があった。

その事件の名前はこれ。

「グリコ・森永事件」

詳しくはこちらから

マスコミをうまく使い、世間を大いににぎわせた事件だ。
犯人のビデオも似顔絵もあったのに、犯人は捕まらなかった。

この事件をきっかけに、お菓子はすべてセロファンがかかるようになった記憶がある。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ほかにも狙われた食品会社はあったけど、被害が大きくて大掛かりだったのはこの2社や思うで。

だからこの名前がついたんやな。

今回、この昭和の未解決事件をテーマにした小説があった。

それはこちら。

「罪の声」

ノンフィクションかと思うくらいよくできた作品や。
映画も見に行こうと思うで~。

(注)観に行ってきました!映画レポはこちら
映画も良かったで!「罪の声」映画レポ

早速みていこう!

「罪の声」 あらすじ

京都で、親の代から続くテーラー店を営む曽根俊也。
ある日何気なく家で見つけたテープを再生してみると、こんな声がした。

「きょうとにむかって、いちごうせんを・・・にきろ、ばーすーてーい、じょうなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら」

疑問に思いながらも、同時に見つけたノートに目を走らせるとこんな文字が

「ギンガ」「萬堂」

これは「ギン萬事件」の資料なのか?
このテープの声は、事件の時に犯人グループが使用したものではないか?

そして何よりこの声は、幼い時の自分の声だった!

もしかしたら、自分や親族が、世間を騒がせたギン萬事件の当事者なのか?

途方に暮れた曽根は、迷った挙句、父と伯父の友人、堀田に相談。
テープやノートも見てもらう。

そこから曽根と堀田の真実への追及が始まる・・・。

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大日新聞は年末企画として、昭和・平成の未解決事件を扱うことになった。

大阪本社が扱うテーマは「ギン萬事件」。

阿久津はその取材班の一員となった。

大阪本社は、ギン萬事件の少し前、ヨーロッパでハイネケンの社長が誘拐された事件。

そこに東洋人が絡んでいる・・・という事から始めることとなった。

ハイネケン事件と、ギン萬事件は関係があるのだろうか?

半信半疑ながらも、英検準1級の腕を買われてイギリスに飛ぶ阿久津。

年末までに、ギン萬事件のネタは上がるのだろうか?

立場も目的も違う曽根と阿久津。
この2人が、同じ事件の真実を探し出す。

2人は真実にたどり着けるのだろうか?
そして昭和の未解決事件は解決するのだろうか?

「罪の声」理解するための構成解説

「罪の声」は3つの構成からできている。

・阿久津エピソード
・曽根エピソード
・警察の動き、事件の時系列

この3つが細かく動いているので、話が複雑になっている。

阿久津と曽根の動きは、ストーリーを追うと解るが、事件の時系列をまとめておいた方がいい。

事件の時系列

犯人の動きはいろいろあったが、重要なものだけを書いておく。

1984年3月18日
ギンガ社長、拉致・誘拐
(21日に歩いているところを保護される)

3月19日
誘拐から4時間後に電話
「公衆電話BOXを見ろ」
茶封筒があり、現金10億円と金塊100キロの要求
結局犯人は取りに来なかった。

4月10日
連続放火(ギンガ関連会社)
犯人グループは脅迫状で「くら魔天狗」を名乗る
脅迫状とは別に、新聞各社には「挑戦状」を送る

6月2日
犯人に現金を要求されたギンガが、受け渡し場所に行ったが犯人を取り逃がす。

この日起こった事件までが、ギンガ萬堂事件の第1のピーク

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
本の中にも詳しく書いてあるで

6月28日
又一食品幹部の自宅へ電話
「高槻の西武デパートの 三井銀行南の市バスおり場の 観光案内版のうら」
言われた場所に指示書発見
電車の中から、現金入りのバックを投げ捨てろという指示
電車の中にキツネ目の男がいたが、取り逃がす

9月12日
萬堂製菓に脅迫状
青酸ソーダを入れた萬堂キャラメルを送り付ける
1億円要求

9月20日
「どく入り きけん たべたら しぬで」
と書かれたドロップがコンビニで見つかる。
関西で7件の被害
防犯カメラに、野球帽・眼鏡の男が写ったことが有名

ここまでが第2のピーク

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
電車から現金を放り投げるのは、黒沢明の「天国と地獄」やな!
天国と地獄
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11月7日
ホープ食品に脅迫状+細かい指示

11月14日
ホープ食品からの現金受け渡し
警察と犯人グループの、最後の接触
犯人を、あと一歩のところで取り逃がす。

この後も犯人は、ぽつぽつと脅迫状をあちこちに送ったりしたが、不発。
で、「ギンガゆるしたる」になって終わるんやな。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
もし11月14日の事が本当にあったなら、犯人と警察の鬼気迫るものすごいバトルがあったのだと推察。

物語の中でも、この日の事にページをかなり割いている。

ギンガ=グリコ 萬堂=森永と、名前は違うけど、社長誘拐とか、青酸入りのお菓子がばらまかれというのは、本当にあったことなんやで!

「罪の声」 感想 ネタバレあり

犯人を主人公にした告白ものかと思いきや、思ってもみなかった内容だった。

株・仕手筋・反社会的勢力や、昭和の学生運動に警察の暗部にせまるエピソードも満載。

特に、犯人が身代金よりも「株価で儲けようとしていた」というエピソードは、高村薫氏の「レディジョーカー」をホーフツとさせる。

レディジョーカー
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ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「レディ・ジョーカー」は、「赤いビール」だったなあ~

今回は話が重く、分厚かったので、感想も分けて書いていくで。

「罪の声」 感想1 ラストが心に残る

「罪の声」はラストがとかく印象的だ。

犯行グループの一員で、計画の大元を立てた人物の告白がある。

世間を大いににぎわせた犯行、昭和史に残る大事件だったので、さぞかし御大層な動機や理由が聞けるだろうと思った。

が・・・犯行動機があまりにもちっぽけで拍子抜けした。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
これは阿久津も同じ意見やったなあ~。

犯人グループとは別に、思ってもみなかった共犯者がラストに出てくるが、同じ理由で協力したというのも灌漑深い。

望み通り世間を騒がせ、警察をきりきり舞いさせ、やり終えた犯人。

なのに爽快感はなく、大きなお金ももうからず、なぜかむなしさが残る・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
考えさせられるな・・・。

犯人の動機が、世間や警察に対する恨みや、失望が原因なのは解る。

そして恨む原因にも共感できるが、怨みや怒りの解決方法が少し間違っていたのだろう。

今回、小説に出てこず、名前だけが挙がった人物もいるが、その人は今どう思っているのかも知りたいと思う。

「罪の声」感想2 ダブル主人公の真実への向き合い方

阿久津と曽根の、真相解明にあたるスタンスも対照的だ。

当事者の親族だったかもしれないとおののき、知らなかったとはいえ自分も事件に何らかの形でかかわってしまったと、恐れながらも真実を追求する曽根。

新聞記者として、不満をもらしつつも果敢に真実に迫っていき、記者という仕事の本質にも気づく阿久津。

違う方向から同じ真実を追求して、とうとう2人が出会う場面がある。

それは砂場の反対からトンネルを掘り、真ん中で手が触れた時のような感動を覚える。

そして事件の真相を知った後、過去ではなく、未来へ一緒に進むさまは見ものだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「罪の声」唯一の救いやな・・・。 

「罪の声」感想3 誰も考えなかった悲劇

大がかりな事件の陰で、おそらく誰も考えなかったであろう、一つの家族の悲劇も書かれていた。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
誰も考えへんかったけど、実際はいたかもしれへんなあ・・・ 

犯人グループで、唯一死体となった人間の家族だ。

子供の声が3つ出てくるが、そのうちの2つの声を担当した家族でもある。

父親が犯罪に深くかかわってしまったことで、家族の人生までもが一変。

子供の世間に対する考え方も、歪んだものになるし、結婚や就職なども当然うまくいかない。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
なぜもっと早く警察に行かなかったのかと、ネコ缶などは思う。

でも立場の違う存在からの、勝手な意見かもしれへんな・・・。 

殺されてしまった犯人の一人は、ただ「一発逆転の賭けに出たかった」だけだった。

が、その賭けの失敗に払った犠牲、残されたものの犠牲は、あまりに大きかったと思う。

今でもありそうやな!

「罪の声」 まとめ

ネコ缶評価

阿久津と曽根のエピソードが、頻繁に交代するのでちょっと読みにくいと思った。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
もう少しまとめて書いて、交代してほしかったなあ~

幼いころのテープの声を聞いて、自分の声とすぐに解るのかをいう疑問もある。

そこだけマイナス0.5。

とはいえ、よく調べあげたなと思う。

当時、公になっていないエピソードもたくさんあり、これが真実なら本当にすごい。

どこかの新聞社かテレビ局が年末にぜひ「昭和・平成の未解決事件」をやってほしいものだと思ったで!

映画「罪の声」も知りたい方はこちらもどうぞ!→「罪の声」映画レポはこちらから!

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