綾辻行人

綾辻行人(館シリーズ)「奇面館の殺人」館より仮面が主役かも?

長かった館シリーズ。
2020年11月の段階では、「鬼面館の殺人」がラストなようだ。

館シリーズはホラー要素と狂気が強い。
それで奇面館と来られた日には、どんなスプラッタが繰り広げられるのかと思いきや

・・・・意外と普通な感じでした。
読んでみた感想は、一言で言ってこれ。

「よくまとまった推理小説。
ホラー要素も弱く、狂気もなく誰もが読める仕上がり」

奇面館の殺人
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ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「びっくり館の殺人」や「人形館の殺人」のイメージとは全然違ったで!

「びっくり館の殺人」詳しくはこちらから
「人形館の殺人」詳しくはこちらから

そんな(今のところ)館シリーズ最終編、いってみよ

綾辻行人(館シリーズ)奇面館の殺人 あらすじ

日向京助 
日向京助 
僕の代わりに、奇面館の集まりに行ってもらえませんか? 

と、作家仲間・日向京助に言われた鹿谷門実。

迷ったが、集まりの現場・奇面館は、中村青司が建てたという事実に興味を引かれ、参加することに。

招待客は鹿谷を入れて6人。

ただ、奇面館のあつまりに参加する人には、こんな約束事があった。

「全員が用意された仮面をかぶること(主人・召使も全員)」

6人のかぶる仮面は、それぞれ「驚き」「哄笑」「歓び」「懊悩」「嘆き」「怒り」と表情も名前も付いた、鍵のかかる代物。

影山逸史 
影山逸史 
自分と全く同じ人間を探しているんです。

という主人・影山逸史。
ただ、「表情恐怖症」のために、仮面をかぶってもらっているということだった。

戸惑いながらも鹿谷は、代役であることがバレないようにふるまい続ける。

そんな奇面館最初の夜、主人の影山逸史が殺される。
しかも首を切られて、両手の指まで亡くなっているという残虐な殺し方だった・・・。

参加した全員に疑いがかかるが、なんと6人は寝ている間に仮面をつけられて、鍵をかけられていた!

おまけに季節外れの大雪で、外には出られず、電話も壊されている・・・。

犯人はこの中にいるのか?
なぜ首と指を切らなければならなかったのか?
そして6人に仮面をつけたのは何故?

正体を明かした鹿谷が、推理を始めていく・・・。

綾辻行人(館シリーズ)奇面館の殺人 感想

館シリーズの作品と言えば、中村青司の作った館のからくりがメイン。

どんな館にもからくりがあって、そのからくりを駆使して殺人が行われる。

だが「奇面館の殺人」はこんな印象を受ける。

「館より仮面が主役のミステリー」

館もモチロン、殺人の際のトリックに使われているのだが、あまり印象に残らない。

どっちかと言うと、仮面の方がモチーフとして強いのだ。

館シリーズの中ではちょっと珍しい「奇面館の殺人」。

仮面の活躍ぶりをみていこう!

「奇面館の殺人」仮面が主役ポイント1 登場人物全員、仮面着用


この館には6人の招待客と、3人の召使、そして主人が登場するのだが、こんなお約束がある。

「みんなで集まるときは、仮面着用の事」

 
 
食事がしにくいんじゃないの? 

仮面をつけているとモチロンそうなるのだが、食事は各自、部屋で食べるという事になっている。

で、みんなが集まるときには、お茶だけという徹底ぶり。

もう物語の徹頭徹尾、仮面なのだ。

ただ、参加した全員が、影山逸史とそっくりな人たちばかり・・・という背景がある。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
自分と同じ人間を探してるんやからな~。

仮面をつけていた方が「顔の違い」がわかって、よかったかもしれない・・・などと思うのだ。

「奇面館の殺人」仮面が主役ポイント2 世にも不思議な仮面

初代奇面館頭首の、影山秀一は、仮面コレクターだった。

そんな彼は、こんなものを持っていたという

「3日3晩かぶると、未来が見える仮面」

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
かぶってみたいよなあ!

残念ながら現在は、行方不明という事なのだが、ラストで所在が明らかになる。

ナイショの話だが、実は「未来が見える仮面」も、事件に深くかかわってるで!

「奇面館の殺人」仮面が主役ポイント3 死体にも仮面

物語を読み進めていくと、殺人事件が起こる。

なんとその死体は「首無し」。
しかもご丁寧に、見つかった頭までもが仮面をつけているのだ。

モチーフの徹底ぶりに感心。

 
 
なんで死体に仮面かぶせたんだろう? 
 
 
死体はご主人じゃないのかしら・・・ 
 
 
死体の身元なんて、閉じ込められてるから、すぐにバレそうなのに・・・。 

切り取られた指とセットで、なんで死体の首に仮面をつけたのか?が「奇面館の殺人」の、メインテーマになっている。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
判明したときは「な~るほど!首無し死体の新しい考え方や!」って思うで!

「奇面館の殺人」仮面が主役ポイント4 館のからくりにも仮面必要

※少しネタバレになるので、読みたくない方は飛ばして読んでくださいね。

「奇面館の殺人」は、館シリーズなので、館のトリックは当然出てくる。

が、その館のトリックを使うにも、仮面が必須なのだ。

これはラストで解るが、なるほど~とうなること請け合い!

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「十角館の殺人」のラスト、「黒猫館の殺人」のラストに匹敵すると思ったで!

「十角館の殺人」詳しくはこちら
「黒猫館の殺人」詳しくはこちら

首なしの死体に、こんな意味を持たせることができるのは、やっぱり館シリーズならではだろう。

綾辻行人(館シリーズ)奇面館の殺人 まとめ

奇面館の殺人
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ネコ缶評価

館シリーズを読んだ時、時々感じるかすかな不満は、今回1つもなかった。

鹿谷門実も最初から最後まで、通しで出てくれて大活躍だ。

だだ今回も、文章の間で、誰だかわからない人の囁きだったり、感情だったりをはさむ書き方があった。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
綾辻行人さん、よくやるんだよね・・・。

これ、ネコ缶あまり好きではない。
今回も入っていたが、あれは要らないのではないだろうか。

とはいえ、気にならない人は問題なく読める。

館のトリック、ホラー要素、狂気に頼らない、手堅くまとめた正統派ミステリーの色の濃い作品で、満足でした!

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