アガサクリスティ

アガサクリスティ「終わりなき夜に生まれつく」あらすじ、感想、ネタバレまとめ

クリスティが、恋愛小説を別名で書いていたというのは有名な話。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「メアリ・ウエストマコット」っていうペンネームらしいで!

そのせいか、ミステリーにも恋愛要素がチョコチョコでてくる。

今回ご紹介する「終わりなき夜に生まれつく」も、恋愛がベースになっているミステリーだ。

終わりなき夜に生まれつく
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とはいえ、普通の恋愛小説に終わらないのがクリスティ。

終盤に差し掛かったときに、今までの淡々とした流れがうそのような展開になっていく。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ミステリー作家がここで本領発揮!みたいな感じやで

クリスティ自身が、ベストに入れるくらいの名作「終わりなき夜に生まれつく」。

さっそくみていこう!

アガサクリスティ「終わりなき夜に生まれつく」 あらすじ

マイケルにはお金がないながらも「自分の家が欲しい」という夢があった。

そしてそれは「ジプシーが丘」という場所で、有名な建築家のサントニックスに建ててもらうことに定まる。

そんなある日、ジプシーが丘で、彼は運命の出会いをする。

エリーという女性と恋に落ちたのだ。

そしてそのまま二人は結婚し、ジプシーが丘に念願の家をサントニックスに建ててもらった。

だがこのエリー、実はアメリカ屈指のお金持ちの女性。

そんな彼女と結婚したという事は、面倒なこともいろいろある。
エリーを取り巻く人間関係、金銭管理など・・・。

とくに人間関係は複雑で、エリーが信頼しているグレタという女性は新居に押しかけてくるほどだ。

だがそんなことを何とかやり過ごし、ジプシーが丘で新婚生活を始めた途端・・・・

なんとエリーが、乗馬事故で死んでしまうのだ。

それは「呪われた土地」として名高い、ジプシーが丘に家を建てたせいなのか?
エリーの財産を狙った、親族の誰かの仕業なのか?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ラストの大どんでん返しの後、もう一度読み返したくなることは必須やで! 

アガサクリスティ「終わりなき夜に生まれつく」 感想

非常に静かに、淡々と進んでいく物語。

クリスティのミステリーを読みなれた人であれば、こんな印象を受けるだろう。

 
 
あれ?いつ殺人が起こるの? 
 
 
これじゃ、ただのハーレクイーン・ロマンスじゃない? 
 
 
ああ、クリスティはラブストーリーも書いてたっていうし・・・・今回はそれかな 

淡い期待外れ感を抱きつつも、こう思って読み進めるはずだ。

 
 
まあそれなりに面白いし、読みやすいからいいかな・・・。 

だが23章(早川書房)で、とんでもないことになる。

ここからが「ミステリー作家」クリスティの独壇場。

あまりのことにボー然としている読者をしり目に、どんどん話をまとめていく。

正直、「終わりなき夜に生まれつく」は、最初は退屈に感じるかもしれない。
さほどドラマチックなところもないし、冒険もない。

でも、ラストにすべてがあるので、それを期待して読み進めよう。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
いろいろ書きたいことは山ほどあるけど、今回は登場人物も少なくて、即・ネタバレになるので我慢してるで~!

「終わりなき夜に生まれつく」 タイトルの秀逸さ

ネコ缶がうなったのは、このタイトルの秀逸さ。

このタイトルは、小説の冒頭にも書いてあるが、ウィリアム・ブレイクのこの詩から取っているのだ。

夜ごと朝ごと
みじめに生まれつく人もいれば
朝ごと夜ごと
甘やかな喜びに生まれつく人もいる

甘やかな喜びに生まれつく人もいれば
終わりなき夜に生まれつく人もいる

この詩を書いたウィリアム・ブレイクは19世紀の画家であり、詩人。

ただ、時代を先取りしすぎた作風で、当時の世相には全く受けずじまい・・・。
そして生涯貧困に終わる。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
今ブレイクの絵を見ても、斬新に感じるくらいやから、当時の人には受け入れられへんかったんやろうな。

ちなみにドレイクの絵画「レットドラゴン」は、映画「羊たちの沈黙」にも使われている。

画像はここから頂きました

そんな報われない境遇のドレイクが書いた詩。

身分も階級差も、今よりずっと厳しかった19世紀イギリス。
自分の力だけでは、どうにもならないことも多かっただろう。

おそらくブレイクは、どうあがいても這い上がれない、自分の事を詩に書いたのではないか。

そして「終わりなき夜に生まれつく」の犯人は、ブレイクと同じく、終わらない夜を過ごす存在。

でも途中で「終わらない夜」から「甘やかな歓び」の場所に移れるチャンスがあった。

それなのに、そのチャンスを自分の手でつぶしてしまう。
母親も周りの人間も忠告しているが、それも届かない。

「終わりなき夜に生まれつく」は、読了後に少し悲しくなる作品。

それは今の時代でも、犯人のような「終わりなき夜に生まれつく」人がいることが、解るからなのかもしれない。

アガサクリスティ「終わりなき夜に生まれつく」まとめ

終わりなき夜に生まれつく
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ネコ缶評価

悲しくて、背筋がちょっと寒くなる物語。

犯人の狂気ではなくて、あくまで計画的な犯行であってほしかったなあ・・・。

そこだけほんの少しマイナス。

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