アガサクリスティ

アガサクリスティ・こんなに面白いのになんで有名じゃないの⑤「死が最後にやってくる」

何度も書いているが、クリスティには、めちゃくちゃ面白い作品なのに、ちっとも有名じゃない「超掘り出し物」がたくさんある。

悔しいので一覧にしてみた。
みんな、読も~な。

今回ご紹介する「死が最後にやってくる」もその1つに加えたい。

死が最後にやってくる
created by Rinker

これ、ハッキリ言って全然有名やないし、トリックも巧妙ではない。

でも・・・。

クリスティらしさと遊び心がさく裂した、超おもろい作品なんですよ!
ええ!奥さん!

なんと紀元前2000年のエジプトが舞台や。

早速みていこ!

アガサクリスティ「死が最後にやってくる」あらすじ

インホテプ家は墓所守の一族。

長男のヤーモス、次男のソベク、長女のレニセンブに末っ子のイピイ、そしてその配偶者や子供たちと暮らしていた。

トラブルはボチボチありながらも、穏やかに暮らしていたある日の事。

家長インホテプが、若い愛妾・ノレフトを連れて帰ってくる。

急なことに戸惑う家族。

だがインホテプはノレフトを大事にせよと言い渡し、同居が始まる。

 

家族はしぶしぶながらも礼を尽くそうとするが、ノレフトは傲慢にふるまうばかり。

次第に不穏な空気が漂う中、インホテプは再び仕事で家を留守にする日が来た。

家長がいなくなり、トラブルが最高潮に達したとき・・・

 

なんとノレフトが死体で見つかる

 

ノレフトは転落死したというヤーモスの嫁・サティピイ。
殺人という証拠もなく、疑問を感じながらも葬儀を済ませたインホテプ家。

これで平和が戻ってくると思った矢先・・・

また1人、また1人と、次々と家族が死体で見つかるのだ!

家族の中に犯人がいるのか?
それともノレフトの怨霊なのか?

紀元前2000年・エジプトを舞台に、連続殺人事件が起こる

アガサクリスティ「死が最後にやってくる」 感想

「死が最後にやってくる」は、家族のゴタゴタがテーマ。

読むとだれしも、すぐにこう思うやろう。

 
 
そら、もめるで! 
 
 
橋田寿賀子のドラマやん! 

そのもめるであろう所が、面白いポイントにもなっているので、ちょっと紹介していこう。

「死が最後にやってくる」おもしろポイント1 父がいきなり後妻を連れてくる

3人の息子と、2人の嫁、そして出戻りの娘とその子供たちが、1つ屋根の下に暮らしているという家族設定。

これだけ人数がいれば、常にトラブルの元はありそうだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
すでに兄嫁1と兄嫁2は仲悪いしな

そこにいきなり父親が、若い(娘より若い)後妻を連れてくることから物語は始まる。

これだけでも、ややこしくなることは必至だ。

それなのに火に油を注ぐべく、後妻の性格が超悪い。

何が不満なんか知らんけど、夫の家族に臆することなく、ツンケン傲慢にふるまう。
(不満の理由は最後に判明)

老父は後妻の肩を持つばかり・・・・。
家族は次第に一触即発・・・。

 
 
ああ、これはなんか起こるよね(ワクワク) 
 
 
絶対起こるよね・・・(ワクワク) 

こんな「つかみは超OK」なイントロで始まる。

「死が最後にやってくる」おもしろポイント2 父が息子を押さえつけて悦に入ってる

そんな若い後妻に骨抜きにされている老父だが、息子たちに対しては厳しい。
不必要なくらい尊大にふるまう。

息子には簡単な仕事しか任せず、したがって常に忙しい。

そしてこんな不満を常に漏らす。

インホテプ 
インホテプ 
自分は家族のために、ここまでしているのに感謝もされない! 

自営業の父親だけでなく、こんな社長(上司)はいないだろうか。

後からこの王様のような父親の本質が暴かれるが、これもまた21世紀の今でもありがちな話。

クリスティ、うまいよなあ・・・と唸ること請け合い

「死が最後にやってくる」おもしろポイント3 超性格の悪い召使い

2000年前のエジプトだから当たり前だが、家政婦がいる。

その中の、長年仕えている1人が超性格悪い。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
問題抱えすぎやで、この家族・・・

自分は滅私奉公して、ここまで仕えてきてると、泣いて情に訴える。

だが実質やってることは、家族の秘密を嗅ぎまわり、それとなく密告することばかり。

まさしく「家政婦は見た」を陰険にしたような人物なのだ。

盗みやさぼりはしない分、クビにしにくいから余計にたちが悪い。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
この召使も最後に本性を出すけど、ホンマに恐ろしいで

「死が最後にやってくる」おもしろポイント4 ドン的なおばあさん

親族や友達に、こんな人物はいませんか?

妙に達観し、何があっても泰然自若としている人物。
口は悪くても、見るべき本質を見、真実を常にズバッと見抜いてくれる。

それがこの問題の多い家族にもキチンといる。

それは、おばあさんのエサだ。

言いにくいであろうことをズバッと言い、ただひたすらに真実を見極めていく。

エサの前では尊大なインホテプも小さくなるばかり。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ネコ缶、ちょっと憧れたで!

「死が最後にやってくる」おもしろポイント5 ぶれない(ありがたい)存在

混乱を極めたインホテプ家の話は、読んでいるとちょっとしんどい。

そして警察もいない、科学捜査も出来ないこの時代、ちゃんと事件は解決するのか?と心配にもなる。

だが、冷静に真実を見極めている人物がもう1人いる。

書記のホリだ。

このホリ、エサ同様しっかり真実を見極めている。
そのうえ人を決して悪く言わず、ぶれない人だ。

皆がパニックになってる「死が最後にやってくる」の中でも、異彩を放っている。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「愛の旋律」のセバスチャンみたいな存在や

「愛の旋律」詳しくはこちらから

ホリが出てきたらホッとするのは、レニセンブだけやないはず!

アガサクリスティ「死が最後にやってくる」 まとめ

死が最後にやってくる
created by Rinker

ネコ缶評価

10に近いんやけど、これが引っかかった

「なんでまた時代設定を、紀元前2000年にしたん?」

おそらくこの内容であれば、20世紀のロンドンでも十分通用したのでは。

紀元前2000年のエジプトにした理由がよくわからんかったけど、旦那さんが考古学者やし、ちょっと遊びでやってみました・・・ってな感じかもしれんな。

さて、ヒロインの恋愛がサブテーマなのが、ノンシリーズのお約束。

今回の恋愛は見応えアリや。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ラストにいつもある、ヒロインの選択、今回は拍手喝采やろうこと間違いなしやで!

本で床が抜けそうになっている方・人に見られたくない本が欲しい方はこちら!⇒読書好きを救うもの!それは「キンドルペーパーホワイト」

こちらの記事もおすすめ!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です