アガサクリスティ

アガサクリスティ「娘は娘」「こんなに面白いのになんで有名じゃないの」シリーズ⑦に文句なく入れます!

ひと時、「一卵性母娘」という言葉がはやった。

友達みたいに、ものすごく仲が良い母と娘で、お互いに依存し合ってる関係を指す言葉だ。

今回ご紹介する「娘は娘」も、この類の母娘なのかと一瞬思った。

・・・でも!

全ッ然違ったんですよ!!!
奥さん!!

 

確かに仲良しの母娘だったんやけど、とある出来事でひびが入り、とんでもないことになってしまった母娘の話だったんです!

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ラストに救いがあったのでほっとしたけどな・・・・。
一時はどうなるかと思ったで・・・

ではご紹介しよう、「娘は娘」!

アガサクリスティ「娘は娘」あらすじ

アンとセアラは、自他とも認める仲良しの母娘。
父親亡き後、親子で仲良く暮らしていた。

そんなある日、セアラがスキー旅行に行っている間、母・アンはリチャードという男性と電撃的に婚約する。

本来ならおめでたい事だったが・・。

そこから母と娘の間柄に、少しずつヒビが入る。

母の結婚が面白くなく、ハッキリ態度に出すセアラ。
そんなセアラを持て余す、母の婚約者・リチャード。

2人の仲は最悪な状態・・・。

そしてその間で、アンは神経をすり減らすようになってしまった。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
これ、日本で言うなら、嫁と母の間でオロオロする旦那みたいな感じやな

そんなある日、リチャードとセアラは取り返しのつかない大ゲンカ。

これが決め手となり、セアラの気持ちを優先して、アンはリチャードと別れることを決断する・・・・。

以前のように母娘の暮らしが始まり、元通り・・・のはずが、違ってしまった。

何かに追いまくられるように、パーティに参加するようになったアン。
明らかに怪しい男と、引きずられるように付き合いだしたセアラ。

あんなに仲良しだった母と娘は、なぜか寒々とし、すれ違っていく。

そしてついにセアラの結婚と新婚生活で、2人の間柄は破滅。
すさまじいケンカが勃発したのだ。

どうしてこんなことになってしまったのか?
2人は、元通りの母と娘に戻ることはできたのか?

母と娘の難しさをクリスティが描く。

アガサクリスティ「娘は娘」感想

幸せでないが、それを自分で認めない親は、子供に嫉妬し、子供の幸せを妨害する

心理学でよく言われるが、これは真実だと思っている。

この感情は主に、過干渉として現れるとネコ缶は思っていたが、今回はその逆。

「無関心」という形で出ていた。

表向きは「子供の意思を尊重して」という事になっていた。
だが、その実は子供がどうなろうが関係ないと思っているのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
いや、むしろ「不幸になっても構わない」「不幸になってほしい」という感情かもしれへん。

ちょっと詳しくみていこう

「娘は娘」 無関心という形での復讐

アンがリチャードと別れた時、問題だったのがこれだ。

アンが、セアラへの恨み(結婚をこの子のせいで壊されたということ)を自覚しなかったこと。

ここを温床として、アンとセアラの不仲の芽が育つ。

セアラが悪い男と付き合っていても、アンは無関心。
その悪い男からのプロポーズに、セアラが悩んでいても無関心だ。

表向きはアンもこう言ってる

アン 
アン 
子供の気持ちを大切にしている。セアラの意思に任せている 

私がどう思おうが何の役に立つの?(略)セアラは自分の思い通りの道を行くだけよ。

私は干渉しないわ。

「娘は娘」P276

本当は全く違う。

セアラは心底困って、助けを望んでいたのに、アンは表向きはカッコいいセリフで突き放しているだけなのだ。

この辺りを、痛いくらいクリスティはえぐってくれる。

今の日本でも、

 
 
あなたの意志を尊重している 

と、言うセリフのもとに突き放し、本当は娘を幸せにしたくないと思ってる母親はごまんといる。

母親は、自分の幸せにつくづく責任を持たないといけないと思うよな・・・。

「娘は娘」 名わき役・ローラとイーディス

「娘は娘」なかなか泥沼な作品だが、

「この人がいてくれて救われた」

と思う登場人物が2人いる。

つかず離れずな感じで、母と娘を冷静に見守ってくれているローラ。
付きっ切りで心配してくれる、イーディスだ

この2人のおかげで、母と娘は救われる。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
家族問題がこじれた時は、第3者の手が必要になってくるよな。これは今でも同じや。

2人がどう母娘と接していたのか?

ちょっとみていこう

助っ人1 デーム・ローラ・ホイスタブル


泥沼のアンとセアラに、冷静な立場で、喝を入れてくれるのがローラ。

ローラは決してああしろ、こうしろとは言わない。
でも的確に2人を観察し、気づきを与えてくれ、そして決して見放さない。

あなたの心の中には、いったいどんな考えがもやもやしているのか、不思議に思っただけよ(略)

「娘は娘」 P279

 

私なら、リチャードをあきらめたのは、セアラのためなのか、あなた自身の心の平和のためなのかハッキリ突き止めておくんだけど。
「娘は娘」 P337

 

ローラが、ズバッと真実を突くセリフはこれだけではない。

この人物がいなければ、母と娘は決裂したままだったろうし、破滅にまっしぐらだったことは確かだ。

「良薬は口に苦し」な人やで

助っ人2 イーディス

一方、いつもそばにいてくれる人物がイーディスだ。

献身的に、身の回りの世話を事細かく焼いてくれるし、決してアンを孤独にさせない。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
アンは一児の母だが、イーディスの方がよほどおっ母さんぽい。

情緒不安定になったアンが、口うるさく心配するイーディスに、クビをほのめかすとこう言い切る。

私、お暇はいただきませんわ(略)わたくしがいなくなると、お困りになるのは奥様ですわ。

「娘は娘」 P325

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「風と共に去りぬ」のマミーみたいやな

物語はローラとイーディスのおかげで、風が通るし、解決に向かう。

この辺り、やっぱりクリスティは人間を書くのがうまい!とうなってしまうのだ。

アガサクリスティ「娘は娘」まとめ

ネコ缶評価

これ、文句なく「こんなに面白いのになんで有名じゃないの」シリーズだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
読んだことある人なんて皆無だろう。
もったいない!!!!

ただ惜しむらくは、リチャードがあんまし魅力的やないんやよなあ・・・・。
それとセアラの年齢、13~15歳くらいにしたほうが良かったかも。

そこだけがマイナス0.5。

娘がいる方、娘だったことがある方には強烈おススメの作品!

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