クリスティを読み始めて、かれこれ1年近くたっている。
その後コロナで外出もままならなくなったので、ポアロシリーズをを30冊ばかり買ったのが2020年の4月だ。
購入したポアロを、全冊読破した後はやはりこうなる。
そこからクリスティ読み続けることおよそ1年。
マープルも全冊読破。
ノンシリーズも、後2冊で読破と言うところまで来ている(2021年2月)
そんな大詰めの1冊が、今回ご紹介する「フランクフルトへの乗客」だ。
これはミステリーでも恋愛でもなく、時々出てくるスパイもの。
しかもナチスのネタも絡んでいる、壮大なものだ。
どんな内容なのか?見ていこう
Contents
アガサクリスティ 「フランクフルトへの乗客」あらすじ
外交官のサー・スタフォード・ナイはフランクフルトの空港で、帰国の途についていた。
するとこんなことを言う女性に遭遇。
それからあなたのパスポートとチケットも。
聞くと、何やら命がかかっている様子。
その女性が妹に似ていた事や、もともとの気質もあいまって、言われた通りにするスタフォード・・・。
でも彼女は一体、何者だったのか?
その後、彼のアパートに、貸したパスポートが届いたことで、いよいよその疑念を強くしていく。
そんなある日、アメリカ大使館でスタフォードは、偶然その彼女を見つける。
彼女は伯爵・レナータと名乗っており、スタフォードをとある家に連れていく。
そこからスタフォードの冒険・この物語が動き出すのだ。
最近頻発している、学生たちの過激な運動は何なのか?
経済・麻薬を牛耳り、学生たちに武器を与える、世界を巻き込む悪の組織のトップは一体誰なのか?
今までと違ったスケールと内容で展開する、クリスティのスパイもの。
アガサクリスティ 「フランクフルトへの乗客」感想
出だしは超ナイス。
外交官・スタフォードが飛行場で出会った、謎の女性と謎の依頼。
ヒョウヒョウとしたキャラのスタフォードも、ピリッとした謎の女性も、これから始まる物語に十分な期待をさせてくれた。
そして中盤、話の膨らませ方も良かったのだが・・・・。
ちょっと尻切れトンボに終わった感が強い。
個人的に終盤出てくるナチス・ヒトラーのくだりは、すごい発想だと感心。
そこをピックアップしておこう
「フランクフルトへの乗客」 悪の組織=ナチス?
物語の後半にこんな話が出てくる(ちょっとネタバレに近いので要注意)
学生たちをけしかけ、暴動を起こさせる組織がある。
その組織は「ザ・リング」と呼ばれ、十分な資金、武器、科学の知識を持ち、命令を聞かせるための麻薬まで持っているという。
その組織は、新しい社会を作るのが目的ということなのだ。
「死への旅」もそんな感じやったなあ。
どうもノンシリーズの後半戦は、こんなネタが多いなあ
そこで「教祖様」扱いされる人間が必要になってくる。
カリスマ性を持ち、演説をさせたら内容はもとより人を熱狂させる人物が・・・。
その教祖様がなんと、ヒトラーの子孫・息子だという設定なのだ。
第二次世界大戦中、精神病を扱っていたライヒャルト博士の元には、誇大妄想と言える患者がたくさんいた。
自分をキリストと思う人間、ナポレオンと思う人間、そしてヒトラーだと思う人間・・・。
そんなある日、本物のヒトラーが、この病院を視察に来る。
そしてこういった
自分をアドルフ・ヒトラーと考えている患者が大勢いいるようだが、と彼は言うのです。
(略)次に彼は、この妄想に取りつかれた患者の代表に、会わせてもらえないかと尋ねました「フランクフルトへの乗客」P312
会った結末はどうなったのか・・・・?
時期は戦争末期。
ドイツの旗色は、日に日に悪くなる一方。
そうなってくると、首脳たちが考えることはこれしかない。
「フランクフルトへの乗客」が出版された1970年ころは、こんなことを疑いたくなるようなことがイギリスでも頻繁に起こっていたようだ。
クリスティも冒頭で、前置きと称してこんなことを述べている。
この物語の本質はファンタジーです。
それ以上のものだというつもりはありません。
しかしその中で起こる大部分の事は、今日の世界でおこりつつあること、あるいは起こる兆しのあることばかりです。まえおきP13~14
残酷で、首をひねりたくなるような事件が頻発していた1970年イギリス。
クリスティも、もしかしたら、世界の裏側で「フランクフルトへの乗客」みたいなことが起こっているのかも・・と考えていたのかもしれない。
アガサクリスティ 「フランクフルトへの乗客」まとめ
ネコ缶評価
出だしや膨らませ方はいいのだが、やっぱりラストがちょっと良くなかった。
クリスティのスパイものは、ミステリーや恋愛ものよりはやはりちょっと見劣りがする。
とはいえ、スパイ小説の「トニー&タペンス」シリーズはなかなか好評らしい。
ノンシリーズも、ほぼ読み終えたしな!
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