クリスティと言えばミステリーだが、実はスパイ・サスペンスものを意外と多く書いている。
これとか
「ビッグ4」
「フランクフルトへの乗客」とかな。
スパイ・冒険ものは、マープルものには存在しないが、ポアロものでは3冊、ノンシリーズ(ポアロもマープルも出てこない作品)では5冊あるのだ。
意外とスパイ・サスペンスものが好きだったクリスティ。
彼女がきちんとキャラ設定をして、世に送り出した作品が今回ご紹介するこちら。
「秘密機関」
「二人合わせても45歳にならない」若いカップル、トミーとタペンス。
彼らが国家の安全のために(っていうか好奇心とお金のために?)危険な仕事をパワフルにこなす作品だ。
クリスティも楽しんで書いていることが伝わってくる、トミー&タぺンスシリーズのスタートをみていこう!
Contents
アガサクリスティ(トミー&タペンス)「秘密機関」 あらすじ
幼馴染のトミーとタペンスは、地下鉄の出口で偶然再会。
お金がない二人は、冗談で「青年冒険家商会」なるものを作る。
危険な仕事(犯罪含む)を請け負い、大儲けしようというのだ。
今やったら、結構ヤバい二人かもしれん(笑)
カフェで大盛り上がりした帰り道、タペンスは一人の男に声をかけられた。
驚いたタペンスは振り返ると、その男はこういった
その後、この男はタペンスに仕事を依頼。
だが、タペンスが出まかせに自分の名前を「ジェーン・フィン」と言うと態度が急変。
次の日、なぜかその男は姿を消してしまった!
せっかくの大金をフイにした、トミーとタペンスは諦めきれず、新聞にこんな広告を出す。
「求む、ジェーン・フィンについての情報!」
ここからが、トミーとタペンスの冒険の始まりだった。
ジェーン・フィンとは誰で、どこにいるのか?
悪の連中が血眼で探す、秘密の書類はどこに?
トミーとタペンスの物語の第一弾!
アガサクリスティ(トミー&タペンス)「秘密機関」 感想
話の内容に入る前に、トミーとタペンスについてちょっとだけ書いておく。
陰と陽という印象だが、個性の違う2人が組んだら、最強のコンビになると言ってくれる人もいた。
(トミーは)自分の想像力を過信して、とんでもないところに迷い込む心配はないのです。
物事をじっくり考えて解く方で、納得いかない限りは先に進むことはありません。
(タペンスは)彼とは全く対照的なタイプです。
直観力は彼より勝りますが、常識的な判断力は劣りますね。
この2人を組み合わせれば、素晴らしいコンビが生まれるわけですよ。
速度とスタミナという取り合わせですね。
「秘密機関」P402~403
さてさて「秘密機関」には大きな謎が3つある。
そこを中心に紹介しよう。
用意された謎1 ブラウンって誰?
トミーとタペンス(以下、トミタぺ)は、とある秘密の書類を探す依頼を受ける。
そして、途中で悪の親分的な存在は「ブラウン氏」であることを知る。
このブラウンという人物、とにかく怖い印象を受けるのだ。
神出鬼没なうえ、手下たちがかなり恐れている。
手練手管の女スパイも、恐怖のあまり倒れるくらいだ。
「あの男がどんな人間か、あんたには解らないんだ」夫人はしわがれた声で繰り返した。
「ああ・・・あの男よ!」夫人は(略)気絶して床に倒れた「秘密機関」P227~228
冒険ものにはつきものやな!
ただブラウン氏が誰かは、ミステリー慣れした人なら、ちょっとしたきっかけで見当がつく。
ちょっとあるあるな展開だが、安定のコースかな。
用意された謎2 秘密書類はどこに?
謎のその2はこれ。
秘密書類はどこにある?
いやそもそも本当にあるのか?
ブラウン氏率いる悪の組織っぽいところが、この書類を狙っているのだが、場所の存在が二転三転する。
やっと見つかったと思いきや、そこは調べた後で、もぬけの殻というお約束もあり。
中に小さく折りたたんだ紙が入っていた。
2人は震える指でその紙を広げた。ああ、その紙は白紙だった!「秘密機関」P385
書類はラストに「そんなとこにあったんかい!」と言いたくなるような場所から出てくる。
この場所に気づく人がいたらすごいで。
用意された謎3 ジェーン・フィンって誰?生きてるの?
謎の最後はこれだ。
物語は、沈みかけの船からの脱出劇から始まる。
その時、男性が若い女性に大事な書類を渡すのだ。
この若い女性が後々、ジェーン・フィンやなと気づく
怪しげな謎の女性は出てくるが、確信もない。
こんな感じで3つの謎を追いかけて、テンポよく物語は進んでいく。
トミーもタペンスも、命が危なくなる場面もあるが、ラストはお決まりの大団円なので、安心して読んでいこう。
アガサクリスティ(トミー&タペンス)「秘密機関」 まとめ
ネコ缶評価
トミタペが、一緒に行動するのかと思いきや、作品の大半が別行動だった。
若い二人が主人公だからか、話の転換も早く、ちょっとついていくのが大変なところもある。
とはいえ、トミタペが個性豊かでとにかくパワフル。
ラストに一気に謎が解けるのも爽快。
「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」のボビーとフランキーの、その後をホーフツとさせる展開。
明るいラノベのノリが好きな人にはおススメだ。
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