短編しか出てこない探偵キャラを、アガサクリスティは作っている。
その一人が今回ご紹介する「ハーリ・クィン」氏だ。
とにかく存在が不思議。
どこに住んでいるのか、何の仕事をしているのかも謎。
「壊れそうなカップルがいたら、どこからともなく現れる」
そんなヤツなのだ。
そして実際の行動は、サタースウェイト氏が行うという設定。
探偵と呼べるかどうかも怪しいが、そんな妖精のような探偵、ハーレ・クィンを見ていこう!
Contents
「謎のクィン氏」あらすじ&感想
「謎のクィン氏」にはこんな話がある。
- ★★クィン氏登場
- ★窓ガラスに映る影
- <鈴と道化服>亭奇聞
- ★空のしるし
- クルビエの真情
- 海から来た男
- ★闇の声
- ★ヘレンの顔
- 死んだ道下役者(ハーレクィン)
- 翼の折れた鳥
- 世界の果て
- 道下師の小径
★はネコ缶の好きな話な。
最初は正統派のミステリーで始まる。
が、ページが進み、後半の話になるにつれ、クィン氏が本領発揮するように幻想的な話になるで。
では1つずつみていこう!
「謎のクィン氏」クィン氏登場
雪深いある日、車が故障したと、ある男がロイストン荘にやってきた。
彼の名前はハーリ・クィン。
彼を中心として、暇つぶしに事件の謎解きが始まる。
ロイストン荘の以前のオーナー、デリク・ケープルが、結婚が決まった直後に謎の自殺をしたのはなぜか・・・?
そして明らかになった、事件の意外な真相は・・・
※「三幕の殺人」のサタースウェイトがこの本でも登場。
相棒でもなく、常に一緒に居るわけでもない。不思議なつながりの2人だ。
「謎のクィン氏」窓ガラスに映る影
アンカートン夫妻はサタースウェイトをはじめ、友人を招いてパーティを企画していた。
だが招待客の中には、昔関係があった人たちもいて、何か起こりそうな空気・・・。
その嫌な予感通り、突如銃声が鳴り響き、死者が2人出てしまう!
ここは幽霊が出るという噂の屋敷。
犯人は幽霊なのか?
長編でも良かったのでは。
家の造りに重点が置かれていているので、見取り図が欲しかった!
「謎のクィン氏」<鈴と道化服>亭奇聞
車の故障で、仕方なしに「鈴と道化亭」に寄ったサタースウェイト。
そこで偶然クィン氏に再会。
いつもの通り、クィン氏と会うと「かつての事件」の謎解きになる。
今回は「若く金持ちの女性と結婚しながら、謎の失踪をした青年」の話に。
クィン氏に聞いてもらいながら、サタースウェイトは真相にたどり着けるのか・・・
「謎のクィン氏」空のしるし
ヴィヴィアン・バーナビーを殺した疑いで、マーティン・ワイルドが裁判にかけられた。
状況的には絶対に有罪で、陪審員たちも有罪だと思っていた。
ところがサタースウェイトとクィン氏は、事件直後なぜか急に、カナダへ行かされたメイドの存在を突き止める。
それは真実に関係があるのだろうか?
そのかいあって、事件も急展開するのだが、サタースウェイトをこうも動かしたクィンは、道下役者と言うより名コーチ。
「謎のクィン氏」クルビエの真情
モンテカルロにザーノヴァ伯爵夫人がいた。
もう若くはなかったが、物腰や十分な美しさで、存在感は相変わらず。
だがカジノでトラブルがあった。
サタースウェイトとザーノヴァ侯爵夫人が賭けた時、当たったのはサタースウェイトだったが、クルビエはザーノヴァ侯爵夫人に掛け金を渡した。
ただの間違いかと思いきや、双方、何やら訳がありそうで・・・・
「クルビエ」って、ルーレットの係の事やってんやな
「謎のクィン氏」海から来た男
サタースウェイトは、とある島に来てのんびりとすごしていた折、1人の男に出会う。
その男は余命いくばくもなく、自殺を考えていた。
なんとか説得はしたサタースウェイト。
だが次に出会った、個性的な女性も自殺を考えていて・・・。
1時間くらいのモノクロ映画が出来そう。
ここでのクィン氏の登場の仕方は、もはや人間じゃないと感じる。
「謎のクィン氏」闇の声
「娘のマージョリーが、幻覚を見ているようだから心配」
と言うストランリー夫人。
彼女の頼みで、アボッツ・ミードに来たサタースウェイト。
マージョリーから話を聞くと、本当に霊らしきものが動いているようだった。
霊媒師も派遣されて、除霊会も行われた矢先、ストランリー夫人が急死してしまう・・
この時代に流行ってたのかもしれんな。
トリックは何度も出てくる、クリスティお得意のパターン。
「謎のクィン氏」ヘレンの顔
世にも美しい顔を持つジリアン。
その美しさゆえにトラブルも多い。
今回はイーストニ―とバーンズが、彼女を取り合ってもめてしまったのだ。
ジリアンはバーンズと結婚することにしたが、イーストニーは意外とあっさり引き下がった。
そのうえ、結婚祝いだとラジオと、美しいガラス細工をプレゼントしてくれたのだが・・・
個人的にはイーストニーの方が、結婚には向いてないが魅力的やないかなあ~と思う
「謎のクィン氏」死んだ道下役者(ハーレクィン)
絵画にも造詣が深いサタースウェイト。
行きつけの画廊で気になる絵を見つけた。
その絵のタイトルはなんと「死んだ道下役者(ハーレクィン)」
しかもその絵の中の男は、ハーレ・クィンとよく似ていたうえ、描かれた場所にも見覚えがあったのだ。
そのうえ、その場所では以前、おかしな自殺事件までおこっていたのだ・・・
ぜひ長編で読みたかった!
でもトリックの回収が、少々不十分な感じがしたんやけど、ネコ缶だけやろか?
「謎のクィン氏」翼の折れた鳥
サタースウェイトは「こっくりさん」の導きで、レイデル荘にやってきた。
そこで楽しく過ごしていたが、翌日なんと死体が発見される。
死んだ人物はグラハム夫人。
サタースウェイトが前日、美しいが人間とは思えない「翼の折れた鳥」のような女性だと言った人物だった・・・
殺人なんやけど、犯人の動機が「あ、そう」みたいな感じやった。
物足りない話ではあるが、グラハム夫人の雰囲気がこの話を盛り上げている。
「謎のクィン氏」世界の果て
ひょんなことから気難しい侯爵夫人と、コルシカ島に旅行に行くことになったサタースウェイト。
そこで偶然出会ったのが、侯爵夫人の親族ネオーミ。
彼女は画家だったが、ふてくされたような態度で、オカルトのような絵ばかり描いていた。
だがそんな態度を取るようになったのは、訳がありそうで・・・
でも、ここでもクィン氏の登場は、人間じゃないと思わせる。
「謎のクィン氏」道下師の小径
サタースウェイトは、居心地がいいわけでもないのに、なぜかいつもデンマン夫妻の家に来てしまう。
バレエや歌の舞台が催されるというので、楽しみにしていた。
だが、突然の事故で、ダンサーが舞台に立てなくなってしまう。
そこで代役をやることになったのが、以前ダンサーだったデンマン夫人と、なんとクィン氏だった・・・。
永遠の恋人を求める女性の切ない話。
アガサクリスティ(短編)「クィン氏登場」 まとめ
ネコ缶評価
幻想的な話が多く、独特の世界。
本格的なミステリーをお望みの方は、ポアロやマープルを。
ちょっと不思議な話を読みたい方は、クィン氏を読むことをおススメする。
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