クリスティの短編は、読んでいると、こう思う事がよくある。
そう、長編の元になってるような話があるのだ。
読みやすい短編は、クリスティ入門編としてもおススメなんやけど、クリスティのマニアの方はほんわか出来るというおまけつき。
さてそんなクリスティの短編も7冊目。
今回ご紹介する作品はこちら
「リスタデール卿の謎」
ポアロもマープルも、短編専門のクィン氏もパーカー・パインも出ないけど、ほんわかした話が多いこの作品。
早速みていこう!
Contents
「リスタデール卿の謎」あらすじ&感想
「リスタデール卿の謎」は、この話が入っている。
★リスタデール卿の謎
★ナイチンゲール荘
車中の娘
★六ペンスのうた
エドワード・ロビンソンは男なのだ
★事故
ジェインの求職
日曜日には果物を
イーストウッド君の冒険
黄金の玉
ラジャのエメラルド
白鳥の歌
★はネコ缶の好きな話
全体的に、明るくてハッピーエンドの話が多い。
ミステリー要素もあるが、あくまで軽い謎とき。
ではあらすじと感想をみていこう!
「リスタデール卿の謎」 リスタデール卿の謎
セント・ヴィンセント夫人は、経済的に行き詰まり、頭を抱えていた。
娘の恋人が、このボロボロの家に来ることだけは避けたい。
それだけではなく、このぼろ屋にもそう長くはいられないかもしれない・・・
そんな矢先、こんな新聞広告を見つける。
「上流階級の方に限る。ウエストミンスターの小住宅。
豪華家具付き、家賃は形式程度・・・」
切羽詰まったセント・ヴィンセント夫人、いぶかしいと思いつつ不動産に行ってみると・・・・
ラストまでは死体が出るか、ギャングでも出るか、はたまた霊が出るかとハラハラしたが、大ハッピーエンドでホッ。
ネコ缶はルパートに共感やな(笑)
「リスタデール卿の謎」 ナイチンゲール荘
アリクスはジェラルド・マーティンに出会い電撃的に結婚。
穏やかな新婚生活だったが、夫の様子が妙であることに気づく。
予定もないのに、ロンドンへ2人で行く予定と庭師に言ったり、妙な事件の新聞記事を集めていたりしたのだ。
結婚までの期間が短く、ジェラルドの事をほとんど知らなかったことにアリクスは愕然として・・・・
中盤は手に汗を握りハラハラするが、ラストは本家「青髭」と同じ。
電撃婚は、ロマンと危険の隣りあわせやな・・・
「リスタデール卿の謎」 車中の娘
ジョージ・ローランドは、とあることから伯父の怒りを買い、勘当される。
とりあえずと乗り込んだ電車で、1人の美しい女性が客席に飛び込んできてこう言った
「かくまってください!」
これがジョージの小さな冒険の始まりだった・・・。
ジョージのキャラの、のほほんぶりがクリスティでは珍しい。
この手ののほほん男性が「リスタデール卿の謎」では頻繁に出てくる。
「リスタデール卿の謎」 六ペンスのうた
弁護士・サー・エドワード・パリサーは、女性から助けを求められた。
「叔母が自宅で殴り殺されました。
でもその時家にいたのは私と兄と叔母の甥、そしてその妻の4人しかいません。
犯人はこの中にいるのです。
犯人を見つけてください!」
ためらうエドワードだったが、彼女のあまりの剣幕につい引き受けてしまう。
犯人は本当にこの4人の中にいるのか…?
(「ポケットにライ麦を」でも出てくる。)
家族の隙をついた犯行も、「ポケットにライ麦を」の第二の事件を連想させる
「リスタデール卿の謎」 エドワード・ロビンソンは男なのだ
エドワード・ロビンソンは、しっかり者の婚約者・モードからすでに尻にしかれていた。
ある日、500ポンドを懸賞で当てたエドワードは、モードに内緒で車を買う。
ご機嫌でドライブに出て散歩をし、車に戻ると、なんと車のポケットに全く見覚えのないダイヤのネックレスが・・・
男性版シンデレラストーリーと言おうか。
タイトルの付け方が、エドワードのキャラを物語るよな。
「リスタデール卿の謎」 事故
メロウディーン夫人はかつて、夫を殺したのでは・・・と疑うエヴァンズ。
実際にメロウディーン夫人の前の夫は、不幸な事故死を遂げ、彼女は大金を得ていた。
また彼女は同じことをするのでは・・といぶかしんでいた矢先、メロウディーン夫妻からお茶のお誘いを受けて・・・
でもとてもよくまとまっていて、星新一のショートショートを連想させる。
「5分で○○」シリーズに載せたい。
「リスタデール卿の謎」 ジェインの求職
職にあぶれ、困り果てていた26歳のジェイン。
ある日、新聞でこんな広告を見た。
「25~30歳の若い女性・目はダークブルー・金髪・物まねが上手い・フランス語が巧みな方・・・・おいでください、朗報があります!」
怪しいとおもいつつ面接に行くジェイン。
するとそこで出会ったのは・・・・
ところでこのジェイン、無鉄砲なところが「バクダッドの秘密」のヴィクトリアに似てる。
「リスタデール卿の謎」 日曜日には果物を
ドライブに出かけたドロシーとエドワード。
途中でかご入りのサクランボを購入した時、販売の男はこういった。
「サクランボのかごの中には、お代よりもっと値打ちのあるものが入ってますよ」
気にせず食べていた2人。
だがサクランボのかごの底には、盗まれたとニュースで言っていた、ルビーのネックレスが光っているのを見つける・・・
2人の良心もぐらぐらするので、読者は心配になるが、ラストはハッピーエンドになるので安心。
「リスタデール卿の謎」 イーストウッド君の冒険
イーストウッドは小説を書いていた。
「第二のキュウリの謎」と書いてから、筆が進まずイライラしていると電話が鳴った。
「私よ、カルメンよ!すぐに来て!殺されるわ!
場所は○○で合言葉はキュウリよ」
これだけまくしたたられてて、電話は切れた。
「キュウリ」という言葉に引かれて、○○に行ってみると、そこには美しい異国風の女性がいて・・・
キュウリという言葉がポイントだが、オチにはあまり関係なかったのが残念。
「劇場型オレオレ詐欺」といったとこ?
「リスタデール卿の謎」 黄金の玉
許可を取らずに、週の真ん中で休暇を取ったことで、クビになってしまったジョージ。
ボー然としていると、そこへ社交界の花形・メアリーが車でやってきてジョージを拾う。
そして一軒家に連れていかれると、そこでジョージは暴漢に襲われてしまい・・・
印象は「日曜日にはくだものを」に近いか。
黄金の玉という言葉の意味が、ラストに出てきて話が締まる。
「リスタデール卿の謎」 ラジャのエメラルド
ジェイムズは恋する女性・グレイスが誘うまま、高級リゾート地のキルトン海岸に来ていた。
だが彼女はジェイムズには目もくれず、裕福なクロードとばかり一緒にいる。
腹立ちを抱えたまま、海水浴をし、昼食の席に着くジェイムズ。
何気なくポケットに手を突っ込んでみると、なぜかそこから、大きなエメラルドが・・・。
だが、読者はきっとこう思うやろうなあ
「グレイスはアカン奴や。追っかけてんと、はよ帰んなはれ」
「リスタデール卿の謎」 白鳥の歌
マダム・ポーラ・ナツォルコフは美しいソプラノ歌手。
ある日ラストンベリー夫人から、自宅に歌いに来てほしいとの依頼。
「蝶々夫人」をやってほしいとのことだったが、ポーラは住所を見て顔色を変えこう言った。
「演目がトスカでなければいかないわ」
そのわけは・・・
トスカのクリスティ版とでもいおうか。芝居好きなクリスティらしい作品。
全然関係ないけど、「動物のお医者さん」でも、ハムテルのお母さんがトスカやってたよな~
「リスタデール卿の謎」 まとめ
ネコ缶評価
探偵は出てこないし、ミステリー要素も少ないので、物足りないと感じる人もいるかもしれない。
とはいえ複雑な話もなく、明るい話が多いので、クリスティの軽い読み物が読みたいという人におススメの作品。
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