アガサクリスティが書いているのは、ポアロやミス・マープルだけではない。
短編専用だが、パーカーパインやクィンなる、個性豊かなキャラも書いている。
そういうと、こんな風に考える方が多いだろう。
そんな方にピッタリなのが今回ご紹介するこちら
「黄色いアイリス」
ポアロにミス・マープル、パーカー・パイン。
そして、クィン氏が出てきそうな(実際は出ない)幻想的な話が入っている。
詳しくみていこう!
Contents
黄色いアイリス あらすじ&感想
「黄色いアイリス」はこの作品からできている。
- レガッタ・デーの事件(パーカー・パイン)
- ★バグダッドの大櫃の謎(ポアロ)
- あなたの庭はどんな庭?(ポアロ)
- ★★ポリフェンサ海岸の事件(パーカー・パイン)
- 黄色いアイリス(ポアロ)
- ミス・マープルの思い出話(ミス・マープル)
- 仄暗い鏡の中に
- 船上の怪事件(ポアロ)
- 二度目のゴング(ポアロ)
★はネコ缶の好きな話
どれもよくまとまった良い話。
「あの」作品の、原型かと思われるものも2作入ってる。
詳しくみていこう!
「黄色いアイリス」 レガッタ・デーの事件 あらすじ&感想
アイザック・ポインツ氏は、仕事のパートナーや友人たちと船で楽しい時間を過ごしていた。
ランチの時、知人の娘・イーヴがこんなことを。
「あの大きなダイヤ・明けの明星は、私が泥棒だったらきっと盗めるわ!
いい方法を思いついたの」
ただの遊びだと思い、実際にやらせてみたポインツ氏。
イーヴに言われた通りに、みんなをテーブルに座らせ、ダイヤを回していく。
だがイーヴのところまで来たとたん、ダイヤは転がってしまう。
そこからなぜか、ダイヤは探しても見つかることはなかった。
ただの遊びだったはずの泥棒ごっこが、大惨事になってしまい・・・。
が、この話を解決するのは何故かパーカー・パイン。
むしろこれは、ポアロ向きの話ではなかろうか。
そこだけちょっと残念だったなあ~
「黄色いアイリス」 バグダッドの大櫃の謎 あらすじ&感想
リッチ少佐の家で、小さなパーティが行われた。
和やかに終わった次の朝の事・・・。
パーティ会場にあった大櫃から、スコットランドへ行ったはずの、クレイトン氏の死体が発見された!
クレイトン氏は、スコットランドに行く前に、リッチ少佐のところに寄っていることが判明。
だがクレイトン氏は、いつ櫃の中に入ったのか?
リッチ少佐の妻とクレイトン氏は「親しい」という噂は、何か関係があるのだろうか?
登場人物も少なめで読みやすい(クリスティは短編でもやたら多い時がある)。
関係ないけど、「バクダッド」ってつける必要あったかなあ?
「黄色いアイリス」 あなたの庭はどんな庭? あらすじ&感想
ミス・アミーリア・バウロービーから、ポアロはこんな手紙をもらう。
「私が思い悩んでいることについて、極秘で相談したい。
でも警察沙汰にはしたくない」
手紙は支離滅裂だったが、要約するとこんな内容だった。
早速行ってみると、なんとミス・アミーリア・バウロービーは急死した後。
不審に思ったポアロは、早速調査を開始するが・・・・
(出だしだけ見てると「ゴルフ場の殺人」にも似てる)
でも「もの言えぬ証人」よりもすんなり解決。
トリックはシンプルなんやけど、ちょっとネコ缶には当てはまらへんかな・・・
「もの言えぬ証人」詳しくはこちら
「ゴルフ場の殺人」詳しくはこちら
「黄色いアイリス」 ポリフェンサ海岸の事件 あらすじ&感想
パーカー・パインは、ポリフェンサ海岸にあるホテルで、休暇を楽しんでいた。
そこへ1人の女性、ミセス・チェスターから困りごとを持ちかけられる。
息子バズルの恋人・ベティがどうにも気に入らない。
でもそんな彼女に対して、ベティは反抗的な態度を取る。
息子は、母と恋人の間で困り果てているというのだ。
母のミセス・チェスターは、なんとか息子と恋人を別れさせたいと、パーカー・パインに依頼をするが・・・・
事件はポアロに任せて、パーカー・パインはこんなジャンルで活躍してほしい。
こうしたトラブルは、いつでもどこの国でもあるのだなあと実感。
あのマドレーヌ嬢の魅力も健在。
パーカー・パインが詳しく知りたい方はこちら⇒「パーカー・パイン登場」
「黄色いアイリス」 黄色いアイリス あらすじ&感想
ポアロはこんな電話をもらう
「すぐに来てください!
大変な危険がせまっています!
白鳥の園というレストランで、黄色いアイリスを飾ったテーブルです」
さっそく駆け付けてみたポアロ。
そこでは少人数のパーティが開催されていた。
パーティの主催者・バートン・ラッセルは、ちょうど1年前のその日、その場所で妻が死んだ。
妻アイリスの追憶のためにこのパーティを開催したというが・・・。
これは、ラスト近くのエピソードだけやけど、ここから話をあそこまで面白く膨らませたんやなあ・・・。
クリスティ、スゴイ
「黄色いアイリス」 ミス・マープルの思い出話 あらすじ&感想
ミス・マープルのところに、財産管理人ペサリックが友人ローズを連れてやってきた。
ペサリックはこう言った。
「ぜひとも相談に乗ってほしいのです。」
聞けばローズ氏、妻殺しの容疑をかけられ逮捕されそうだという。
ローズ氏の妻は、ホテルの部屋で刺殺された。
その部屋に入ったのは、メイドとローズ氏のみ。
だがメイドもローズ氏も、無罪を訴える。
ミス・マープルは、ローズ氏を救う事が出来るのか?
相手からの話だけで真犯人が解るミスマープルは、もはや霊媒師。
こういった話で常に思うが、部屋の見取り図をつけて欲しい!
「黄色いアイリス」 仄暗い鏡の中に あらすじ&感想
「私」は23歳の時に、友人のニールの自宅で休暇を過ごすことにした。
夕食のために着替えをし、鏡をふと見ると、なんと金髪の女性が首をしめられているところが見えた。
もちろんそんなことはなく、幻覚かと思って夕食に。
だが鏡に映った2人が、ニールの妹・シルヴィアと、その婚約者チャールズだった事に気づいて・・・。
「パディントン発4時50分」みたいな出だしで、そんな内容かと思いきや、内容はかなり幻想的な話。
ラストはとりあえずハッピーエンドやけど、「54文字の物語」のようにひねって欲しい気もする~。
「黄色いアイリス」 船上の怪事件 あらすじ&感想
ポアロは船にのっている最中、一組の夫妻を観察していた。
その夫婦の名は、クラパートン夫妻。
妻の方に経済力があり、夫をこき使っているのだ。
どなられて続けている夫は、それでも献身的に妻に尽くしていた。
そんなある日、ミセス・クラパートンが死体で発見される。
動機がある夫に疑いの目が向くが、彼はその日、仲間と上陸して一日中観光に出ていたのだ・・・
「死との約束」「ポアロのクリスマス」とかな。
トリックは、なんだあ~と、思わず言ってしまいたくなるシンプルさ。
登場人物も短いわりにちょっと多め。少なくしても良いのでは・・・
「死との約束」詳しくはこちら
「ポアロのクリスマス」詳しくはこちら
「黄色いアイリス」 二度目のゴング あらすじ&感想
リッチャム・ロッシュは、自分のお金が横領されていると疑い、ポアロを呼び寄せる。
早速ポアロが行ってみると、なんとリッチャム氏がピストル自殺をしたところだった!
家の中にいたのは親族・友人合わせて7人。
ポアロはさっそく聞き込みを始めるが、リッチャム氏を取り巻くさまざまな闇を見ることになり・・・
短編集「死人の鏡」に収録されている表題作、「死人の鏡」にそっくりな話なのだ。
この話を膨らませたのが「死人の鏡」なのだろうが、惜しいことに長編にはならず、中編になったという珍しい話。
「黄色いアイリス」 まとめ
ネコ缶評価
どれかが突出していい!というわけではなく、全部がきれいにまとまった短編。
全作品読みやすいので、クリスティ初心者の方にもおススメ。
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