有栖川有栖氏は、作家アリスシリーズと、学生アリスシリーズを書いている。
学生アリスシリーズは、去年の夏に読破している。
⇒「学生アリスシリーズ」はこちら
そしていよいよこの夏、作家アリスシリーズに手を付けることにした(大げさ)!
今回ご紹介するのは、その作家アリスシリーズの第1段「46番目の密室」だ。
さっそくご紹介しよう!
Contents
「46番目の密室」有栖川有栖(作家アリスシリーズ) あらすじ
クリスマスに、ミステリー作家の巨匠・真壁聖一の別荘(星火荘)でパーティが行われた。
招待されたのは、アリスと火村を含むミステリー作家と編集者の合計7人。
真壁の家族3人も加わり、和やかにパーティは始まった。
だがその次の日の夜、地下室の暖炉に頭を突っ込み、焼かれた状態で死体になっている真壁が発見される。
しかもその地下室は密室だった!
そしておかしなことに、なぜか同時に1階の書斎の暖炉で、同じように頭を突っ込み焼かれた男もいた。
この男は2,3日前から星火荘の周りをうろうろしていた、不審な人物であることが判明。
全く関係ない2人が、なぜ同じ殺され方をしているのか?
犯人はこの星火荘の中の誰かなのか?
真壁氏が考えた、46番目の密室とは何か関係があるのか?
作家アリスシリーズの第1段スタート!
「46番目の密室」有栖川有栖(作家アリスシリーズ) 感想
面白い。
トリック(どうやって密室にしたのか?)と、犯人あて(誰が?何のために?)という2つのジャンルで楽しめる。
この2つの面白さを考えていこう。
「46番目の密室」トリック
46番目の密室は、トリックについて考えるだけで、1日潰せるくらいいろいろ出てくる。
大雑把だが詳しくみていこう
なぜ暖炉に頭だけ突っ込んでいるのか?
これが最大の謎。
犯人は死体をほおって逃げるわけでもないが、隠すわけでもなく、埋めるでもない。
一体何がしたかったのか。
もしかして、被害者が暖炉に顔を突っ込みたくなる理由でもあったのだろうか?
そうだとしても、その状態でどうやって殺したのだろうか?
なぜ顔を(肩より上)だけ燃やしているのか?
死体の身元を隠したかったのなら全身を焼くが、そもそも全部焼いてないので簡単に身元は割れる。
そして何かと一緒に燃やした形跡もあるのだが、これも気になるところだ。
密室にしたのはなぜか?
普通、密室にする理由は自殺に見せかけるためだけど、この死に方はどう考えても自殺ではない。
なのになぜ?
また、どうやってそこから逃げたのか?
「46番目の密室」の最大のだいご味やで。
事件が起こる前の「白いもののいたずら」はどう関係してくるのか
事件が起こる前、部屋に白い粉がまかれていたり、盲人用の白い杖が置かれていたり、白いハートがガラスに書かれていた。
こんな手の込んだおかしないたずらは、事件に何か関係するのか?
この4つが、「46番目の密室」に出てくる最大の謎だろう。
密室は書斎と地下室の2つ出てくるが、書斎は作品中で解ける。
が、地下室の方がなかなか難しい。
地下室のトリックは、アガサクリスティの「メソポタミアの殺人」に近いものがある。
よかったら読んでみてな!
「46番目の密室」 犯人捜し
46番目の密室はタイトル通り、密室の謎を解くことがメインだが、犯人探し(殺しの動機動機)も重要だ。
パーティに招待された人物や家族は合計9人。
アリスや火村を除くと7人だ。
雪深い山荘の中だし、通り魔的な犯行ではないので、間違いなくこの中に犯人はいる。
ちょっとみていこう。
- 杉井陽ニ(編集者)・・・奥さんが真壁と不倫をしていた
- 桧垣光司(同居人)・・・火事の件を逆恨み?
- 安永彩子(編集者)・・・真壁にしつこく言い寄られていた?
- 高橋風子(ミステリー作家)・・・真壁に振られた
- 真壁佐智子(真壁の妹)・・・まとまったお金が必要。遺産狙い?
- 真壁真帆(真壁の姪)・・・第一の遺産相続人
- 船沢辰彦(編集者)・・・昔の事故に関したこと?
ネタバレになるので、あまり書けないのが残念。
これだけ腹にイチモツありそうな人たちが集まって、パーティなんぞをやっているのだから、すごいとしか言いようがない。
これだけ見ていると、だれかがやったんだろうな・・・という事は予想がつく。
だが全く関係のない、不審人物までもが同じ殺され方をしている事をどう考えるのか?
これも「プロローグ」にちゃんと伏線があるのでよーく読んでおこな!
有栖川有栖(作家アリスシリーズ)「46番目の密室」まとめ
ネコ缶評価
2つの密室が作られたいきさつが、「密室のための密室」ではなく「必要性のある密室」でとてもナイス。
伏線もその回収も、ていねいにされていた。
ただ、登場人物の個性があまり強くない事と、犯人を追い詰める・・・ということがなく、あっさり自分で自供したところがちょっと残念だった。
それだけがマイナス。
とはいえ内容は申し分ないので読んでみよな!
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