タイトルってかなり重要やないやろか。
本屋さんで「読んでみよ」って手に取るのはたいていタイトル見た時だ。
で、読んだ後でこう思えたら、それはものすごく良いタイトルやと思う。
今回ご紹介するのは、そんな風に思えるタイトルの1冊。
「白い兎が逃げる」
詳しくみていこ。
Contents
有栖川有栖(作家アリスシリーズ) 白い兎が逃げる あらすじ&感想
「白い兎が逃げる」はこの4作品から成っている。
不在の証明
地下室の処刑
★★比類のない神々しいような瞬間
白い兎が逃げる
★はネコ缶お気に入りの話
全部60ページから130ページの作品。
「比類のない神々しいような瞬間(長い・・・)」はダイイングメッセージ。
「白い兎が逃げる」は、有栖川氏には珍しく鉄道ミステリーだ。
1つづつ詳しくみていこう!
「不在の証明」 あらすじ&感想
アクション作家・黒須俊哉には双子の弟・克也がいた。
その弟が、ビルの1室で絞殺されているのが発見される。
殺人現場になったのは、女性翻訳家・蓑田芳恵の事務所。
ここで仕事をしていた芳恵は、俊也と克也、両方と付き合いがあった。
双子の仲が悪かったのも手伝い、兄の俊也が嫉妬で弟を殺したのではないかと疑われる。
だが俊也には事件の日、取材旅行で小豆島に行っていたというアリバイがあって・・・。
(なんか面白くなさそうな感じがするんやな・・・)
今回は双子を利用したトリックは特になく、アリバイがテーマだけあって、かなり緻密に計算されていたので一安心。
「地下室の処刑」 あらすじ&感想
アルマーニのスーツを着こなす、1課のイケメン刑事・森下が事件に巻き込まれた。
「カテラルの光」という新興宗教の過激分子で、目下指名手配中の「シャングリラ十字軍」に捕まったのだ。
森下は地下室に連れていかれ、そこで裏切り者・嵯峨の処刑に立ち会わされる。
だがこの処刑は脅し。
シャングリラのメンバーは、嵯峨を殺すつもりはなかった。
ところが、最後の晩餐にと、ワインを飲んだ嵯峨は苦しみ出し死亡。
ワインに毒を入れたのは一体誰なのか?
最初はハラハラするハードボイルドと思いきや、途中から状況は一変。
設定と犯人の動機がメインで、トリックは少々弱いかな。
森下、「太陽にほえろ」やったらあだ名は絶対「アルマーニ」やなあ・・・
「比類のない神々しいような瞬間」 あらすじ&感想
美人社会評論家・上島初音が何者かに自宅で殺された。
現場には、初音が最後に残した血文字「1011」。
このダイイングメッセージは何を物語るのか?
手がかりも少なく、捜査は難航するが、初音には密かに付きまとう昔の恋人・明石がいた。
彼は失業し、ホームレスに近い状態。
金に困った明石が怪しいと思われても、決定的な証拠もない。
そして初音の秘書兼恋人の金城も、なにやら怪しい動きをしていて・・・
そのせいか途中で「?」と思うところもあるかもしれないが、ラストでキッチリまとまりナイス。
ただ被害者の初音の真情には、今ひとつ共感はできない・・
ダイイングメッセージは「スイス時計の謎」の「あるYの悲劇」以来かも。
有栖川氏の深い知識と教養が詰まった、ダイイングメッセージとタイトルに感動。
「白い兎が逃げる」 あらすじ&感想
白い兎を思わせるような劇団・清水伶奈は、ファン・蜂谷のストーカー行為に悩まされていた。
そこで同じ劇団員の、亀井明月にボディガードになってもらう事に。
亀井はストーカーにきつく注意したことで、ストーカーの被害は収まったかに思われた。
だが蜂谷はあきらめず、伶奈の友人の結婚式が行われた名古屋までついてくるしまつ。
困り果てた伶奈だったが、事態は急変。
なんとストーカーの蜂谷が死体で発見されたのだ。
なぜ加害者が?
一番怪しい伶奈はその時、鳥取にいた・・・
有栖川氏には珍しく、列車のダイヤを使ってのトリックだ。
犯人の目星は後半で付くが、この列車トリックがなかなか解けないという鮎川哲也さんパターン。
兎がモチーフのこの作品、いたるところで兎(や、兎に関係するもの)がちりばめられている点が
「比類なき・・」と同様に、有栖川氏の知性と遊び心が感じられてナイス。
残念ながらネコ缶時刻表トリックは皆目ダメやし、面白さは8割・・・。
有栖川有栖(作家アリスシリーズ) 白い兎が逃げる まとめ
ネコ缶評価
いつも通り、中編上手な有栖川氏。
後半2つの作品は、有栖川氏の知性と教養が、いい感じにちりばめられててナイスやった。