ホテルや宿・旅館では事件が起こりやすい。
密室を作りやすいし、怪しまれる地元からは離れることができるからだ。
そんな事件が起こりやすい場所・旅先を集めたのが、今回ご紹介する「暗い宿」だ。

「絶叫城」も「ホテルや館を集めたシリーズ」だったが、今回はどんな感じなのか?
詳しくみていこう!
Contents
有栖川有栖(作家アリスシリーズ) 暗い宿 あらすじ&感想

「暗い宿」はこの話からなる
- 暗い宿
- ホテル ラフレシア
- 異形の客
- ★201号室の災厄
★はネコ缶のお気に入りの話
どの話も大体70ページくらいで、読み疲れることはない。
では詳しくみていこう!
「暗い宿」 あらすじ&感想

鉄道廃線路が好きなアリス。
仕事もひと段落つけて、はるばる奈良県西吉村までやってきた。
ところがその途中で、風邪をひきダウン。
伊呂波旅館という、明日には取り壊すという古い古い旅館になんとかたどり着き
一夜を明かす。
だがしばらく後、こんなニュースを新聞で見る。
奈良県吉野郡大塔村の、伊呂波旅館から白骨死体を発見
一晩泊まった時、何かを掘り起こす音がしていた気がしたのだが・・・。
・・・と思うが、「死体」ではなくて「骨」って結構おかしな話やないか?
しかもその骨、10年以上前のものだって言うから余計におかしい。
- なんでわざわざそんな骨を、明日取り壊す家の床下に埋める?
- どこにその骨を今まで保存してたん?
- で、その骨は誰?
というのが、この話の最大のテーマ。
ちょっと詰め込みすぎな感もあったので、長編にしたらもっと面白かったかも。
「ホテルラフレシア」 あらすじ&感想

犯人捜しのイベントに招待され「ホテル・ラフレシア」に来たアリスと火村(と、片桐)。
豪華なリゾートホテルの雰囲気に、アリスも大満足。
ラフレシアのリピーターでもある、寺坂夫婦とも知り合いになる。
夜にイベントも滞りなくスタート。
アリスたちも楽しく参加する。
だがその途中、知り合いになった寺坂夫婦の妻・満美子の様子がおかしいことに気づき・・・
今回は寺坂夫婦の謎と、イベントの犯人探しが同時進行していく。
「おや」と思ったのは、ネコ缶も大好きなイーグルスの「ホテルカリフォルニア」がうまくBGM効果として入っているから。
これをBGMにするなら、ハーリ・クィンのような幻想的な話のほうが良かった気もするが、繊細な有栖川氏らしい斬新な演出 。
ハーリ・クィンとは?⇒詳しくはこちら
「異形の客」 あらすじ&感想

中濃屋旅館に異形の客が現れた。
目深にかぶった帽子、サングラス。口元にはマスクそして手袋。
これだけでも十分怪しいが、顔にはなんと、包帯がぐるぐると巻かれていたのだ。
まるで透明人間のような客に、旅館の人たちは困惑気味。
離れに泊まっているこの客は、大浴場にも行かず、カーテンを閉めた部屋に閉じこもって過ごしていた。
だがこの異形の客がある日、死体で見つかって・・・・・。
「妃は船を沈める」とか「長い廊下のある家」とかな。
透明人間が離れに泊まっているという、ミステリーとして絶対に面白くなりそうなお膳立て。
少々是枝先生の話が説明的だったのが傷だが、楽しく読めた。
「妃は船を沈める」詳しくはこちら
「長い廊下のある家」詳しくはこちら
「201号室の災厄」 あらすじ&感想

友人からのプレゼントで高級ホテル・ダイナスティーに泊まることになった火村。
仕事も終え、バーでのんびり過ごした後、酔っていた火村は部屋を間違える。
その間違えた部屋には、なんと来日していたロックスター・ミルトン・ハースが泊まっていたのだ。
驚いた火村だが、もう1つ驚愕したことが。
なんとその部屋には女性の死体が転がっていた!
ミルトン・ハースは火村を急いで部屋に入れ、こう叫んだ
「俺はやっていない!」
火村はロックスターと、どう対峙するのか?
「12人の怒れる男」を思わせるような、セリフのやり取りがひたすら続く。
ラストはかなり盛り上げて、ドーンと落とされるような感じやから、心して読もう。
火村の英語の達者さが感じられてヨシ。
12人の怒れる男はええで!↓

有栖川有栖(作家アリスシリーズ) 暗い宿 まとめ

ネコ缶評価
これ!という強いインパクトのある話は無いが、安心して読める話ばかりが揃っている。