ミステリーにはこの3大要素がある。
フーダニット(who and done it)・・・犯人は誰?
ハウダニット(haw done it)・・・どうやって犯行を行ったのか?
ホワイダニット(why done it)・・・なぜ犯行に至ったのか?
これらの3つが複雑に絡み合って、物語を進行していくのがミステリーの神髄だ。
そして今回ご紹介するのが、大胆にもこの3大要素の1つを、タイトルに入れちゃってるこちら
「高原のフーダニット」
タイトル通り、たくさんの登場人物の中から犯人を当てる内容だ。
詳しくみていこう。
Contents
有栖川有栖(作家アリスシリーズ)「高原のフーダニット」 あらすじ&感想
「高原のフーダニット」はこの話からなる。
- オノコロ島ラプソディ
- ★ミステリ夢十夜
- 高原のフーダニット
★はネコ缶お気に入りの話
「ミステリ夢十夜」は、ちょっと変わった趣向。
超短編と言える話を10話集めてある。
とある文豪のオマージュ作品だ。
それ以外の作品は、100ページくらいの中編だ。
詳しくみていこう。
「高原のフーダニット」 オノコロ島ラプソディ あらすじ&感想
淡路島で殺人事件が起きた。
被害者の身元は蛭川信尚。
廃品回収業の傍ら、高利貸しをやっていた男だ。
捜査線上には、やはり蛭川に借金をしていた長益学と小清水邑子が挙がる。
だがこの2人には完璧ではないが、アリバイがあった。
小清水はネット上で知り合った男性と食事とドライブを楽しんでいた。
だが途中で車を止めた場所が、夜だったのであいまい。
長益は元刑事の男・打保と一緒に「オコノロ室」という、打保の家の離れにいたというのだ。
犯人は一体どちらなのか?
アリバイ崩しが微妙で、なかなか決着がつかないが、最後は物語の冒頭で出てきた「叙述トリック」で幕が下りる。
(伏線バッチリやな)
物語の方向を変えるポイントは、長益の妻が当たったという宝くじをどう考えるか。
金額もアリバイ同様微妙だが、この金額をどう考えるかで、流れが一気に変わる。
ちなみに叙述トリックで、ネコ缶がお気に入りなのはこちら↓
「高原のフーダニット」 ミステリ夢十夜 あらすじ&感想
タイトルを見たら読書家の人は「おや」と思うだろう。
その通り、これは夏目漱石の「夢十夜」のオマージュ作品だ。
オマージュ作品らしく冒頭もすべて「こんな夢を見た」で始まり、物語も10夜分ある。
10ページくらいの短い話だが、登場人物が作家アリスシリーズで出てくるキャラばかりなので、ファンには嬉しい作品。
ニヤリとする話、ちょっとゾッとする話もあり、10夜だけでなく100物語にしてほしいくらいだ。
本家はこちら↓
ネコ缶は第一夜「100年たったら迎えに来てください」・・・の話が好きやな。
「高原のフーダニット」 高原のフーダニット あらすじ&感想
ある日、アリスと火村の元に大朔栄輔から電話があった。
彼は以前、冤罪になりそうなところを火村が救ったという男。
そんな彼から一体何事かと思いきや、電話口からはこんな内容が・・・。
自首しようと思いましたが、逃げないよう踏ん切りをつけるためにお電話いたしました。
栄輔はそう言い残して電話を切ってしまう。
今のは本当の話なのか、または彼が本当に自首をするのか気になる2人。
だがどこから電話をしているのか解らなかったので、ニュースを待つことに。
すると次の日、兵庫県警からこんな電話があった。
光輔は解るが、なぜ栄輔が他殺死体で?
火村とアリスは2人がいたという、高原の別荘へ駆けつけた。
そこには小さな町があり、栄輔と光輔にかかわっていた人物もいて・・・・。
(いきなり栄輔が死体になるさかいなあ~。
びっくりやで)
でもここからが本当のスタートだ。
別荘付近には、個性豊かな面々がそろっており、皆微妙に双子と面識がある。
中には、双子のどちらかに恨みを持っている人もいるのだ。
この辺りが(軽くクローズドサークルも入った)「フーダニット」やな!
「風谷人」というカフェが出るが、これ「フーダニット」と読むよりナウシカを連想してしもたで~。
有栖川有栖(作家アリスシリーズ)「高原のフーダニット」 まとめ
ネコ缶評価
いつもながらの「犯行動機や結末で、ちょっとうーんとなってしまう」ところはある。
でもやっぱり読みやすさは抜群だ。
ホラーでもないし、余計な恋愛も出てこない。
今回は「ミステリ夢十夜」が、趣向を含めてナイスだった。
他の作家さんも、夢十夜やって欲しいなあ!