作家アリスシリーズ

有栖川有栖(作家アリスシリーズ)「怪しい店」あらすじ、感想、ネタバレまとめ

以前「宿」をテーマにした作家アリスシリーズをご紹介したことがある。

「暗い宿」詳しくはこちら

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
何かをテーマにしたミステリーは、興味を持ちやすいよな

そして今回ご紹介する作品「怪しい店」もテーマがある。

タイトル通り「お店」をテーマにしているのだ。

骨董品屋に床屋、古本屋などよくあるお店もあるが、「みみや」などという聞きなれないお店も出てくる。

いったいどんな店なのだろうか?

詳しくみていこう!

有栖川有栖(作家アリスシリーズ)「怪しい店」 あらすじ&感想

「怪しい店」はこの5作品からなる。

  • 古物の魔
  • ★燈火堂の奇禍
  • ショーウィンドーを砕く
  • ★潮騒理髪店
  • 怪しい店

★はネコ缶お気に入りの話

お店をテーマにしているが、残念ながら女性の好きなケーキ屋やパン屋、ブティックなどは無い・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
こーゆーとこは、事件あんまり起こらなさそうやしな~。

内容を詳しくみていこう

有栖川有栖「怪しい店」 古物の魔 あらすじ&感想

叔父・左衛門の骨董屋「骨董・あわしま」で働き始めた粟島時也。

4年が過ぎ、仕事にも慣れてきて骨董の面白さも解り始めてきた。

ところがある日、出勤してきた時也は、押し入れに押し込まれた左衛門の死体を発見する。

叔父は誰かに殴り殺されていたのだ!

殺される少し前に「変なもんつかまされた」とつぶやいていた叔父。その真意は?

叔父の仕入れた、机の引き出しに入っていた遺言書。
それをめぐってのあやしいやり取りは、事件に関係あるのか?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
京都出身のネコ缶、骨董品屋・骨董市と聞くと懐かしく感じるな。

さて「古物の魔」、短編なのだが、これだけの謎が出てくる。

・防犯カメラに映る叔父の姿の謎
・「変なもんつかんだ」という言葉の意味
・引き出しの中にあった遺言書

ちょっと混乱するかもしれないが、慌てずに整理しながら読もう。

ラストは殺人事件ながら、さわやかに終わる。
そしてタイトルに大納得や。

有栖川氏の骨董への愛情も感じられる作品。

有栖川有栖「怪しい店」 燈火堂の奇禍 あらすじ&感想

古本屋「燈火堂」は半井が定年後に趣味で始めた古本屋。
癖のある商売をしていたが、なんとかやっていた。

だがある日、燈火堂で万引き事件が発生。

犯人を追いかけた半井が心臓の発作を起こし、そのまま入院してしまう。

その万引き犯を捕まえようと、火村とアリスは万引き前に来たお客についても聞き込み。

すると意外な真実が見えてきて・・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
古本屋は骨董屋と同じく京都にはよくある。
(これまた懐かしい)

どこかのんびりした空気に包まれながら物語は進んでいくが、登場人物の「粋」な行動は「奇禍」と呼ぶにふさわしいだろう。

ちなみに万引きされたという本は「黒色僧徒」なんやけど、これなんと海老原瞬の詩集。

火村シリーズファンの人は嬉しいよな!

海老原瞬とは?という方はこちら⇒「乱鴉の島」

有栖川有栖「怪しい店」 ショーウィンドーを砕く あらすじ&感想

芸能プロダクション社長の夕狩正比古は、追い詰められていた。

トップスターの奥寺マリイが東京の会社に引き抜かれてから、事務所が傾いてしまったのだ。

だが夕狩の恋人、柄沢愉良は贅沢好き。
いままでは羽振りが良かったので、なんでも買ってやれていた。

だが会社が倒産してしまったら、彼女も失うのではないか・・・。

夕狩は愉良を殺すことを決意する。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
コロンボ風に、犯人は最初から解っていて「どうやって火村たちがトリックを崩していくのか」の書き方はよかった。

だが有栖川氏のミステリーは「犯人の動機がいまひとつ共感・納得できない」という事が多々ある。

これはその最もたるものかもしれない。

金の切れ目が縁の切れ目・・にしておいた方がよかったのでは?

ちなみにこの話のラスト、火村がよく言う「誰かを殺したいと思った」の本質的なところが書かれている。

アリスとの比較もあって、ちょっと火村にゾッとする。

有栖川有栖「怪しい店」 潮騒理髪店 あらすじ&感想

研究対処の男のふるさとを訪ねた火村。
仕事が早めに終わり、時間を持て余す。

喫茶店もなく、暇つぶしに立ち寄ったのが「潮騒理髪店」

その日で店じまいをするという、古い古い床屋。

だが確かな腕前を持つ店主に散髪をしてもらいながら、そこで興味深い話を聞いて・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「リカちゃん」という若い女性の、奇妙な行動の謎ときがこの話のメイン。

だがそれがどうでもよくなるくらい、この理髪店の店主と火村のやり取りがいい。

そして田舎の風景、青い空、静かな環境などが鮮明に浮かびあがる描写の美しさ。

短い映像、アニメにしてもいいものが出来そうだ。

死体も出ず、とてもさわやかなヨイ話。

有栖川有栖「怪しい店」 怪しい店 あらすじ&感想

「あなたの話を聞きます」という「人の話をただ聞くだけ」の店「みみや」。

そんな奇妙な店を経営していた、磯原紀久子が何者かに殺された。

ただ話を聞いていただけの紀久子がなぜ殺される?と思う捜査班。

だがなんと紀久子は、人の打ち明け話を聞いていただけでなく、その話を元にゆすりを働いていたというのだ。

犯人は、紀久子にゆすられていた人物なのか?

2人の容疑者が浮かび上がるが、夫の兼介にも怪しいところがあって・・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「みみや」、少々興味のある店のシステムだが、このご時世需要はあるかもしれない。

ただこの紀久子、人の役に立つために話を聞くのではなく、ただ単に「人の秘密を知りたい」という下心を持っていたという設定にビビる。

ホラーやん。

ラスト、少々ひねりすぎか。
全く出てこなかったキャラを、ラスト1ページで出すのはいただけない。

有栖川有栖(作家アリスシリーズ)「怪しい店」 まとめ

ネコ缶評価

「ショーウィンドーを砕く」のラストが印象に残る。

火村の「人を殺したいと思ったことがある」というのは「誰かをそれくらい憎んだことがある」と思っていた。

でも「誰でもいいから殺したい」とか「完全犯罪をやってみたい」という意味だったのかも知れない。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
この後の作品でも、そのあたりに言及するで
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