2021年

アンソニー・ホロヴィッツ(ホーソーンシリーズ)「その裁きは死」このミステリーがすごい2021年度 あらすじ、感想、ネタバレまとめ

前回、珠玉のミステリーを見つけたと書いた。

「メインテーマは殺人」詳しくはこちら

今回はその待望の続編である。

その裁きは死
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前回同様、謎が謎を呼ぶ上々のミステリ-。
読めば読むほど引き込まれていくだろう。

そして今回も「メインテーマは殺人」同様、元デカ・ホーソーンが有能さを見せつけつつ、好き勝ってにふるまい、ストーリーにユーモアを添えてくれる。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
相棒のアンソニー・ホロヴィッツも、初登場の刑事にいたぶられながら頑張ってるで!

早速詳しい内容を見ていこう。

アンソニー・ホロヴィッツ「その裁きは死」あらすじ

離婚専門の弁護士、リチャード・プライスが何者かにワインボトルで殴り殺された。

そして現場の壁には、ペンキで「182」の文字が・・・。

早速捜査に乗り出した、ホーソーンとアンソニー・ホロヴィッツ。

事件の何日か前に、依頼人の元妻、アキラ・アンノがレストランで彼にこんな暴言を吐いていた。

アキラ・アンノ
アキラ・アンノ
あんたなんか、ワインボトルで殴ってやりたい!!! 

しかもこのセリフ、ワインを彼の頭にかけながらの発言・・・。

これは事件と関係してるのだろうか?

さらに聞き込みを進めていくと、リチャード・プライスは10年前に洞窟事故を起こしていた。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
3人組やったんやけど、そのうちの1人が死んでるんや・・

おまけにリチャードは、担当した依頼人の、不正疑惑を突き止めようともしていた・・・・。

これらの事は、リチャードが殺されたことと何か関係があるのだろうか?

そして事件の前日、洞窟事故があった日に、一緒に探検に行った仲間が、列車事故で死亡していた・・・。

次々を浮かび上がる疑惑。
増える一方の容疑者たち

犯人は一体誰なのか?

そしてますます深まるホーソーンという人物の謎・・・。

アンソニー・ホロヴィッツの奮闘がまた始まる。

アンソニー・ホロヴィッツ「その裁きは死」感想

今回も前回同様、本格的なミステリーで大満足だった。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
おまけにこの人、心理描写もウマイ 

本格ものが好きな人であれば、絶対に満足できる内容だ。

見所をご紹介していこう!

みどころ1 見事な謎の設定&3段どんでん返し

読み始めるとわかるのだが、まさしくこれ。

読めば読むほど謎が深まっていく

徐々に増えていく登場人物(容疑者)
次々に明るみに出る疑惑
掘り返されていく過去の事件
そしてまた1つ「死」が増える・・・・・

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
大抵のミステリーはそうなってるって?
でもアンソニー・ホロヴィッツは、これが芸術的なまでにうまい。

犯人は当然登場人物の中にいるのだが、最後の最後まで皆目わからないだろう。

そして「その裁きは死」のラストは、見事な3段どんでん返しが来る。

 
 
犯人、このひとやったんや・・・まあそうやろうなあ・・・・。

でも、ちょっと当たり前すぎて、ものたりひんかな・・・。 

 
 
・・・・あ、そうやったん?・・そっかあ、なるほどなあ・・・。

・・・あれ?まだページあるけど・・・? 

 
 
・・・・えええ~っつ???・・・そうきたか!

・・・あっ、あれはそういう理由やったんや!キーッ‼

読了後は、ちょっとボー然とすること請け合いだ。

「あれ」とは何かって?
大ヒント。リチャードが犯人らしき人物を、招き入れた時の妙な発言やで!

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ちなみにこのラストの感じ、アガサクリスティの「ひらいたトランプ」に似てるで!

「ひらいたトランプ」詳しくはこちら

みどころ2 ホーソーンという人物の謎

前回から書いているが、結局この作品でも彼の正体はわからずじまい。

全くもって謎のままなのである。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ウラ取れてるのんは、警察を辞めた理由だけやな。 

今回、彼の新たなエピソードが加わったので、ご紹介していこう

障害がある子を使って、アンソニー・ホロヴィッツのことを調べている?

今回、難病で車いすに乗っているケヴィンという青年が出て来る。

しかもホーソーンは、彼にこんな言葉をかけている。

「ありがとう、ミスター・ホーソーン」

「こちらこそ、ケヴィン。あんたがいなけりゃさすがにこれは無理だったよ、相棒」

「その裁きは死」p80

ホーソーンは彼に何を頼んでいるのか?
あのホーソーンが、部屋に招き入れるくらい親しいのは何故なのか?

のちのち解るが、どうもケヴィンは、アンソニー・ホロヴィッツの事を、かなりあくどい方法で調べているようなのだ。

ホーソーンがアンソニー・ホロヴィッツの事を異様に知っているのは、この子のせいなのか?

この謎は、今回解けずじまいだった。ちぇ。

ホーソーン偽名疑惑

不思議そうにこちらを見ている男に、私は気が付いた(略)

だが、その男が目を止めたのはホーソーンの方だった。

「ビリー!(略)マイクだよ、マイク・カーライルだ。」

「その裁きは死」 p217

こんな感じで、ホーソーンがかつての同僚と偶然出会うシーンがある。

だがその男は、ホーソーンの事を「ビリー」と呼んでいるのだ。

ちなみにホーソーンは、ダニエル・ホーソーンと名乗っている。
ビリーと呼ばれる筋合いは全くないのだ。

こうなってくると名前までが怪しい。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
でも今回新しく出てきた刑事キャラ・グランショーは、ちゃんとホーソーンって呼んでるんやよなあ・・・・ 

これも今回謎はとけずじまい。

回を重ねるごとに謎が深まるヤツ、それがホーソーンなのである。

みどころ3 すでに感じるすさまじい構成力

こんなこと、マンガや小説で感じないだろうか

  • 何気なく書いた作品が、思いのほか売れてしまい、思ってもみなかった続編を書くはめになってしまった
  • 終わろうかと思っていたのに、好評で終われないから仕方なく話を引き延ばす・・・

これをやってしまうと、作者が苦しんで書いてる事がなんとなく解る。

そのうえ、話の無理なつじつま合わせも見えてしまうのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
コナンやドラゴンボールは顕著。

クリスティがポアロを渋々書いていたのは有名な話やな。
綾辻行人さんの館シリーズもそう思う

館シリーズ詳しくはこちら
ポアロシリーズ詳しくはこちら

アンソニー・ホロヴィッツは、ドラマの脚本家。

そのせいか、このシリーズは●作まで書くというところまで、きっちり決めた上で本を書いているのだ。

だから1作読み切りとはいえ、何かがつながっていくような楽しみがあるのだ。

事件はそのつど解決していくが、ホーソーンという人物の全容は明らかになっていない。

これはシリーズの最後に明らかになるんだろうな・・・という期待を持たせてくれる。

これはまるで、ドラマをみているような楽しみ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
これはミステリーシリーズの中でも、かなり新しい楽しみではないだろうか。

作家兼脚本家が、本を書くとこんな面白さがあるのだと見せてくれた、アンソニー・ホロヴィッツ。

次の作品も期待大やな!

アンソニー・ホロヴィッツ「その裁きは死」 まとめ

その裁きは死
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ネコ缶評価

ハイレベルな作品。
緻密に組まれた謎、納得の動機、取りこぼしのない伏線。

もともとこの人、ホラーっ気は無いし、作品に関係のない恋愛沙汰を出さない。
幼児を悲惨な目にあわせもしない。

気になった作品以外の作家エピソードも、今回はぐぐっと減少。

という訳で★×10!
次の作品も楽しみやな!

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