前回、この本の紹介をした。
シンプルなタイトルながら、とてつもない読み応えのあるミステリー。
今回ご紹介するのは、その待望の続編。
「ヨルガオ殺人事件」


いい作品の続編なうえ、「このミステリーがすごい」の4連覇めを果たした作品!
・・・と、来れば、いやが上にも高まる期待。
さて結果はどうだったのか?
くわしく見ていこ!
Contents
アンソニー・ホロヴィッツ「ヨルガオ殺人事件」あらすじ
「ヨルガオ殺人事件」も、「カササギ殺人事件」同様、作中作のある内容。
スーザンの部と、アラン・コンウェイの書いた作品、アティカス・ピュントの部に分かれて進んでいくのだ。
そんなわけで、あらすじは「スーザン・ライランドの部」と「アティカス・ピュントの部」で分けて書いていくな。
「ヨルガオ殺人事件」スーザン・ライランドの部 あらすじ

ロンドンでの仕事も生活も捨て、恋人・アンドレアスとのホテル経営に挑んだスーザン。
少々後悔しながらも、さまざまに起こるトラブルに毎日奮闘していた。
そんなある日、1組の品の良い老夫婦(トレハーン夫妻)がスーザンの元に現れこう言った。
でもその事件は犯人がつかまり、終わっているはず・・・?
驚くスーザンに、老夫婦は続けた。
しかもそのセシリーが読んだ推理小説とは、アラン・コンウェイの書いた「愚行の代償」というものだった!
自分がプロデュースした本だったこともあり、興味を持ったスーザン。
捜査の謝礼で、ホテルをあちこち直せるうえ、気分転換も兼ねて依頼を承諾。
スーザンは、颯爽と古巣・ロンドンへと旅立つ・・・。
スーザン・ライランドの部 見どころ

行動力ばつぐんの、元・雑誌編集者のスーザン。
彼女が素人探偵になり、難事件に挑むさまは「トニー&タペンス」をホーフツとさせる。
ドタバタもあり、命の危険もある。
そしてスーザンは、素人ゆえに捜査がうまくいかず悩みまくる・・・・。
読者もハラハラするが、最後はちゃんと真相にたどり着いてメデタシメデタシ。
そのさまは、読者も一緒に事件を解いている気になるだろう。
そして、スーザンの部の面白さはそれだけではなく、こんな面もある。
- スーザンのホテルはきちんと運営されていくのか?
- スーザンの人生はどうなる?
(アンドレアスとちゃんと結婚するのか?)
まだまだ決着はつかなさそうなので、2人をしっかり見守っていこう
トミー&タペンスって誰?という方はこちら⇒トミー&タペンスシリーズ
では次に、作中作の「アティカス・ピュント」編をみていこう。
「ヨルガオ殺人事件」アティカス・ピュントの部 あらすじ

女優のメリッサ・ジェイムズは頭を痛めていた。
所有しているヨルガオ・ホテルが赤字続きなのだ。
おまけにどうしても欲しくて購入した自宅、クラレンス・キープの維持費もばかにならないし、夫とも不仲。
そのうえ、自分の女優としての仕事も激減しているのだ。
意を決して、ホテルの経営状況を徹底的に調べようとした矢先・・・・
メリッサが、何者かに絞殺されてしまう。
小さな村に渦巻く、様々な人間模様。
メリッサが死んで、明らかにホッとする人たちもその中に確実にいた・・・・。
捜査が難航する中、名探偵の誉れ高いアティカス・ピュントに警察は助けを求める。
だがピュントの目の前で、なんと第2の殺人事件が勃発する・・・。
アティカス・ピュントの部 見どころ

前回同様、セント・メアリーミードを思わせる、小さな村での事件。
平和そうな村なのに、小さなコミュニティならではの複雑な人間関係・・・・。
ミステリー慣れしている人には少々物足りない、あっさりした事件かもしれない。
だがそのトリックの成立のさせ方が凄い。
そして、今回もちゃんと作中作が、現実の世界としっかりリンクしてるのだ。
ちなみに今回の秘書は、「カササギ殺人事件」の秘書とは違う人物。
あれ?と思うが、ポアロの秘書、ミス・レモンを思わせる有能な女性。
ここだけの話だが、彼女の動向には注意しながら読んでいこう!
アンソニー・ホロヴィッツ「ヨルガオ殺人事件」感想

アンソニー・ホロヴィッツは、10話連続のドラマの脚本も書く人物だ。
そんな、「ドラマの脚本を書く人物」ならではの構成能力が、小説でもいかんなく発揮されている。
作中作、アティカス・ピュントシリーズは全9作ある。
- アティカス・ピュント登場
- 慰めなき道を行く者
- 愚行の代償
- 羅紗の幕が上がるとき
- 無垢なる雪の降り積もる
- 解けぬ毒と美酒
- 気高きバラをアティカスに
- 瑠璃の海原を超えて
- カササギ殺人事件
そして今回取り上げられたのが、第4作品めの「愚行の代償」だ。
おそらく今後の、アティカス・ピュントシリーズは、スーザン・ライランドと共にこの9作品の中から発表されていくのだろう。
ちなみにアンソニー・ホロヴィッツは、別シリーズ(ホーソーンシリーズ)も書いている。
そちらでは、謎の男ホーソーンが何者なのかが、最終的に解るかも・・・という事が楽しみだ。
アンソニー・ホロヴィッツの別シリーズ⇒元刑事・ホーソーンシリーズ
そしてこちらのシリーズは、次はどの話なのか?最後まで読んだ時何が解るのか?という楽しみがある。
こんな風に「1話完結のミステリーの謎解き」とは別の「シリーズすべてを読んだ時に何かが判明する」という楽しみを作った作家さんは、初めてではないだろうか。
「ヨルガオ殺人事件」 読むときの注意点

こういったシリーズ物は、どこから読んでも大丈夫・・・というのが大概のお約束になっている。
だが、アンソニー・ホロヴィッツものは、順番通りに読んだ方が絶対にヨイ。
読んでないからと言って、全く解らないことはないのだが、面白さは確実に3割減だ。
何故ならこの作品、前回出てきた登場人物や、場所が頻繁に出てくるのだ。
そのうえ、彼の妻が重要な役で出てくる。
アランの愛人も登場したしなあ・・・。
なのでアンソニー・ホロヴィッツものは、順番通りに読んでいこう!
読み終えても、メルカリに売り飛ばしたらあかんで!
次回作のために置いとこうな!
アンソニー・ホロヴィッツ「ヨルガオ殺人事件」まとめ


ネコ缶評価
いつも通り、ものすごく緻密に組み立てられた謎。
スーザンがいろいろな人にハイスピードで会ってるから、ついていくのが大変だった点と、犯人が解ったのが唐突過ぎたのが難。
とはいえ前回に続き、圧倒的な読み応えと緻密な伏線(と回収)はさすがだった。
次は、どのピュントシリーズが出るのか?
どんな感じで作中作になるのか?
今年(2022年)は良い年になりそうやな(#^.^#)!
アンソニー・ホロヴィッツの作品をもっと読みたい方はこちら
・奇妙な2人組はまだまだ行く!⇒「ダニエル・ホーソーン」シリーズはこちらから
・作中作で2度おいしい物語⇒「アティカス・ピュント」シリーズはこちらから
・コナン・ドイルが再び現れた?⇒「ホームズ」シリーズはこちらから