加賀恭一郎シリーズ

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「悪意」あらすじ・感想・ネタバレまとめ

ミステリーはこの3要素で成田っている。

  • フーダニット(誰が殺したのか?)
  • ハウダニット(どうやって殺したのか?)
  • ホワイダニット(なんで殺したのか?)

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
有名な話やな

大体この3つが、からみあって話が出来ているのが普通。

だが今回ご紹介する「悪意」は、ホワイダニットに思い切り特化した作品なのだ。

犯人も殺した手段も物語の序盤で解る。

だが「なんでこの人が殺したのか?」という「動機」が、もう全然解らない。

260ページある(講談社ノベルズ)作品の3分の2が、この動機解明に充てられているのだ。

そんな異色の作品、悪意を詳しくみていこう!

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「悪意」あらすじ

人気作家の日高邦彦は、明日から骨休めのために妻とバンクーバーに行くので、仕事と荷造りに追われていた。

当分会えなくなる・・・というのでフラッと遊びに来た友人の野々口修。

少し話して、来客が来たので帰った後、日高からこんな電話をもらう。

日高 
日高 
相談したいことがあるから、来てほしい。

不審に思いつつ、8時に家に行く約束をした野々口。
仕事の打ち合わせなどを急いで終わらせ、日高の家まで行くと・・・・。

なんと日高は、首を絞められて殺されていた!

綿密な捜査と持ち前の冷静さで、犯人を確実に追い詰めていく加賀。
そのかいあって、犯人はすぐにつかまる。

だが犯人は、なぜか動機については口を割ろうとしない。

犯人 
犯人 
ついカッとなって、衝動的になっただけです。 

というばかりだ。

それでは説明のつかないことが多く、困惑する警察・・・。

犯人が日高を殺そうとした理由は一体何だったのか?
そしてなぜ頑なに、口を割ろうとしないのか?

加賀が教師を辞めた理由も明らかになる、異色の作品。

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「悪意」感想

「悪意」の紹介文を読んだ時、ネコ缶はこう思った。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
古畑任三郎とか、コロンボみたいに犯人が最初から解ってて、名探偵(刑事)が追い込んでいく・・・ってパターンかなあ・・・
古畑任三郎
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ところがどっこい、そのパターンとも微妙に違ったのだ。

この形式は「悪意」以外では見たことがない。
とにかく不思議な構成なのだ。

どう不思議なのか、詳しくみていこう。

※ネタバレになる危険もあるので、注意して読んでいこな!

「悪意」見どころ1 複雑な構成

どんな話の造りなのかをざっと説明しよう。

「悪意」はこの章からできている。

  • 事件の章
  • 疑惑の章
  • 解決の章
  • 追及の章
  • 告白の章
  • 過去の章 1
  • 過去の章 2
  • 過去の章 3
  • 真実の章

この章の中で、犯人が解るのがなんと「疑惑の章」だ。

 
 
早っ!! 

とはいえ、加賀が犯人に気づくだけで、逮捕に至るのは次の「解決の章」。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
それでも早いよな。

ページ数にして81ページ目。
ここで犯人が解って、残りの180ページを動機解明に使うのだ。

80ページで犯人が解るといっても、短編でいけるくらいちゃんとした構成になってるのでそこは安心してな。

さて「悪意」はここからが本番。
これ以上の死者も出ないし、新しく事件が起きるわけでもない。

加賀(と、部下の牧村)が、ひたすら謎の動機解明に突き進んでいくのだ。

で、ようやく「告白の章」で、加賀の追及に観念した犯人が真実を語り始める。

 
 
ああ・・・やれやれ・・・。
そうか、そういう事やったんや・・・。 

と、思うが、ふと左手を見ると、こんなことに気づく。

 

・・・まだページ残ってる?

しかも80ページほど残ってるで!

 

 
 
どゆこと??「ひらいたトランプ」みたいやん! 

「ひらいたトランプ?」ってなに?思う方はこちら⇒3段落ちのラストといえば「ひらいたトランプ」

いったん解明したかにみえるが、これもまだ序章にすぎひん。

残りの80ページで、加賀の観察眼の真価と「悪意」の真骨頂、そして驚愕の真実があるのだ。

その本当の結末を読み終えたあなたは、きっとこう思うだろう。

 
 
加賀・・・刑事になってよかったなあ・・・。
絶対教師より刑事にむいてたやん・・・ 

同じ公務員やけどな!

「悪意」見どころ2 加賀が刑事になった理由が判明

敏腕刑事ぶりをみせつけてくれる加賀。

だが、刑事になる前は教師だったというのは有名な話だ。

そうなん?と思う方はこちら⇒「卒業」加賀刑事のデビュー作!

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
で、今回の登場人物・野々口修は、教師時代の先輩センセイって設定な。

首をかしげた人も多かったであろう、加賀の異色のとらばーゆ。

だがようやく「悪意」で、なぜ教師を辞めたのかのいきさつが書かれるのだ。

詳しくは書けないがこの真相が判明するのだ。

いじめられていた生徒を救う事に、こっぴどく失敗した

加賀のやり方は少々時代錯誤的なところもあったし、奇妙な趣味も災いする。

結局加賀は、2年くらいで教師を逃げるようにやめているのだ。

こうしたことが無ければ、もしかしたら加賀は熱血中学校教師でいたかもしれない。

でも加賀の良さは、刑事だからこそ生かせる面もやっぱり多いような気がする

そして何より、これから続く「加賀恭一郎シリーズ」のためにも、刑事になってくれてよかったなと思うのだった。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ネコ缶というファンもついたことやしな!

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「悪意」まとめ

ネコ缶評価

話が少々ややこしい面がある。

「手記」だったり「独白」だったりで、語り手がコロコロ変わるのが少々ややこしい。

また、ネコ缶の苦手な「子供が悲惨な目にあう」というのも少々あった(少しだったけど)。

とはいえ、このチャレンジ的な構成はすごかった。

その新鮮さと、加賀の有能さが十分堪能できたので、やっぱり「加賀恭一郎シリーズは面白い!」で締めようと思う。

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