加賀恭一郎シリーズ

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「新参者」あらすじ・感想・ネタバレまとめ

個人的にネコ缶が「加賀恭一郎3部作」と呼んでる3冊がこれだ。

・新参者
・麒麟の翼
・祈りの幕が下りる時

内容が今までの加賀恭一郎シリーズよりも、ぐっと深みを増す。

また家族をテーマにし、「祈りの幕が下りる時」では、加賀恭一郎の有能さと家族問題の核心にも触れる3冊だ。

今回ご紹介するのは、そのトップバッター「新参者」

これはネコ缶の「東野圭吾ベスト10」にも間違いなく入る作品だ。

詳しくみていこう

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「新参者」あらすじ

練馬署から日本橋署に移動になった加賀恭一郎。

下町情緒あふれるこの街に溶け込もうと、精力的に動く毎日。

ある日この町に殺人事件が起こった。

45歳の独身女性で、加賀と同じくつい最近引っ越してきたばかりの「新参者」。

当然、彼女の事を詳しく知ってい人物は誰もいない。

加賀は日本橋の小さな商店を1つ1つ聞き込みしながら、事件を追っていくが・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
これ、あんまり詳しく書くと即ネタバレになる。

っていうか、これから読む人から面白さを奪ってしまう事になるのだ。

なのであらすじは、これだけにさせてな!

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「新参者」感想

「新参者」は素晴らしいミステリーで、良いところがいくつかあるが、なんといっても構成のすごい。

そこを中心にみていこう。

「新参者」見どころ1 構成がすごい

「新参者」の構成は、こんな感じになっている。

第1章 煎餅屋の娘
第2章   料亭の小僧
第3章 瀬戸物屋の嫁
第4章 時計屋の犬
第5章 洋菓子屋の店員
第6章 翻訳家の友
第7章 清掃屋の社長
第8章 民芸品屋の客
第9章 日本橋の刑事

それぞれの章に、日本橋のお店や会社が出てくる。

そこに加賀刑事が訪問し、それぞれの家庭が抱えているプチトラブルを捜査のついでに解決していくのや。

 
 
短編なん? 

たしかに、1つだけ話を抜き出して読んでも、それなりに理解はできる。

だが「新参者」は短編ではない。

話の1つ1つは独立しているが、すべての話の底に大きな1つの事件(殺人事件)が流れている。

そして1つ話を読むごとに、事件の核心に近づいていくようにできているのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
ロールケーキの端から食べていき、最後は中心のいちごにたどり着く・・・みたいなかんじやろか。

図に書くとこんな感じや。

第1章 煎餅屋の娘・・・犯行時刻の特定
第2章 料亭の小僧・・・現場にあった人形焼きの謎
第3章 瀬戸物屋の嫁・・・被害者の名前の判明・被害者が購入したお箸とキッチンバサミの謎
第4章 時計屋の犬・・・被害者が殺される直前に行っていた場所
第5章 洋菓子屋の店員・・・被害者の人となりと生前のエピソード、電話で誰かと話していた事、殺される直前に行っていた場所と理由
第6章 翻訳家の友・・・被害者の第一発見者の証言
第7章 清掃屋の社長・・・被害者の夫のエピソード
第8章 民芸品屋の客・・・凶器の特定
第9章 日本橋の刑事・・・真相判明+プチエピソード

これまでに「悪意」や「どちらかが彼女を殺した」「私が彼女を殺した」など、少々変わった構成にチャレンジしていた東野圭吾。

またちょっと変わった構成にチャンレンジしたな・・・という印象を受けるのだ。

「悪意」とか「どちらかが~」の作品ってどんなの?という方はこちら⇒加賀恭一郎シリーズ

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
しかもそのチャレンジが、見事に決まってるんや 

しかも、物語に出てくる場所が、日本橋に実際にある。

水天宮はこちら

人形焼きのお店も、モデルになったと思われる場所があるので、実際に日本橋に行ってみたくなるよな!

「新参者」見どころ2 伏線が凄い

「新参者」は、1つ1つの話が独立してるとはいえ、ビミョーにかかわりあっているのがまた心憎い演出だ。

例えば第3章で出てくるアイテム「お箸のセット」。

これを購入した人物と、なぜそれを購入したかの理由は第3章では解明されない。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
第3章ではほかの事の方が大事やしな

このお箸に大きな意味があったことが解るのは、なんと第6章。

また、第4章で出てくる水天宮も、再び第5章で大きな意味を持って登場するのだ。

こうした大きな小道具だけやない。

物語の進行には特に関係ないが、第1章で出てくる「あまから」のおせんべいや、第5章で出てくる「クアトロ」のデザートはたびたびその後、加賀が手土産として使っているのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
加賀刑事が、日本橋を懸命に歩き回っているのが想像できるな! 

そのほかにも伏線というか、こんなエピソードもある。

かつて加賀は警視庁捜査一課にいた。

だがある殺人事件の裁判で、弁護士側の情状証人として出廷したことがきっかけで、所轄に異動させらっることになったらしい

「新参者」p399

この殺人事件とは「眠りの森」の事ではないだろうか?

「眠りの森」詳しくはこちら

だとしたら、これもちょっとした遊び心やな。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
アガサクリスティも、晩年発表された作品でよくやってたよな~

アガサクリスティを詳しく読みたい方はこちら⇒全巻読みました!アガサクリスティ!

東野圭吾(加賀恭一郎シリーズ)「新参者」まとめ

ネコ缶評価

完璧。
非の打ちどころがない。

「新参者」のすごさは、謎解き、犯人捜しだけにとどまっていない事。

短い1つ1つの話に、家族や夫婦の問題がちりばめられており、加賀刑事が殺人事件の捜査をしながら、その小さな問題を解決していっているのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
加賀の人柄と有能さにも感心するけど、ラスト1章、ラスト1行で完全にノックアウトさせられるで!
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