ネコ缶、偉そうにミステリーブログなんぞ書いてるけど、実はこれ。
シャーロック・ホームズをちゃんと読んでいない
あ、でも子供用のマンガはかなり読んだ。
アニメの、犬バージョンホームズも好きやった。

↑アニメのホームズはとにかく声がいい
やっぱり今のミステリーとは違って、トリックが少々甘かったり、ホームズのキャラ頼みなところが好きやなかったんよな。
そんなネコ缶が、今回初めて活字のホームズを読んだのが、今回ご紹介するこちら。
「絹の家」

コナン・ドイル作ではなく、ネコ缶が大好きなアンソニー・ホロヴィッツだから食指が動いた1冊。
その結果は・・・これ
めっちゃ面白かった!
詳しくみていこう!
Contents
アンソニー・ホロヴィッツ(ホームズシリーズ)「絹の家」あらすじ

ホームズの所へ来た、美術商のカーステアーズ。
彼は蒼ざめた顔でこういった。
フラット・キャップという、ギャング団のしわざです。
警察、コーネリアスと共にフラット・キャップを指名手配をして、銃撃になりました。
その際、リーダーの1人キーランが逃げたようです。
でもその後、コーネリアス・スティルマンが何者かに殺されています・・・
聞くと、カーステアーズもこのところ謎の人物に付きまとわれており、怖くてならないのだそうだ。
そしてホームズが話を聞いた翌日、なんとカーステアーズの自宅金庫から、現金と母親の形見のネックレスが盗まれる。
生き残りのキーランが自分を狙いに来たと、恐怖におびえるカーステアーズ。
ホームズはさっそく浮浪少年団を呼び寄せ、張り込みをさせるが、キーランと思われる人物はとあるホテルで死体で見つかる。
だが、犯人を見たロスと言う少年の様子がおかしい。
そしてロスはその後、なぜか行方不明に・・・。
ロスの事で責任を感じたホームズは、ロスの姉・サリーに会うが、彼女はケンカごしでこんな事を言う。
そして謎の言葉を発した、サリーまでもが行方不明になってしまう。
サリーの言った「絹の家」とはいったい何なのか?
そしてロスとサリーはどこに?
キーランは本当に死んだのだろうか?
目まぐるしく展開する状況の中、ホームズもついに敵の罠にはまってしまう・・・
アンソニー・ホロヴィッツ(ホームズシリーズ)「絹の家」 感想

「絹の家」を読む前に、ネコ缶同様こんな不安を感じる人がいるかもしれない。
ホームズと言えば、世界一有名な名探偵で、相棒がワトスン。
ベイカー街に住んでて、あの衣装とパイプがポイント。
・・・これくらいしか知らない人も、多いかもしれない。
でも大丈夫。
マイクロフトっていうお兄さんを知らなくても、モリアーティって何?という人も、楽しく読めるのが「絹の家」や。
という訳なので、安心して内容をみていこう。
「絹の家」はメンクリ型ミステリー

「メンクリ型ミステリー」
ネコ缶、こう呼んでるミステリーがある。
つまり、事件が次々起きて、その都度主人公たちが活動する場所も変わっていくのだ。
これ、ホーソーンシリーズでも感じたので、アンソニー・ホロヴィッツではよくあることなんかもしれん。
で、こんな感じで物語は次々に展開していく。
ここから新しい現場チョーリー・グレンジ男子校、新しいキャラが次々出てきて、完全にカーステアーズはどっか行ってしまう。
読んでいる読者は、③まで読み進めたときにこう思うだろう。
ネコ缶もそー思ったが、それは大丈夫。
なぜなら③の事件をクリアしたら、必然的に①につながるからだ。
そこで展開される謎解きは、やはりホームズ。
「絹の家」が何をする所で、どういう意味があったのかと解ったときは、胸が悪くなるかもしれない。
だがホームズの正義感と推理力で、スカッとするで。
注目すべきはホームズとワトソンの友情

ホームズと言えばワトスン。
この2人の友情は固く、手下が世界中にいるルパンでもうらやましく思ったとか。
ホームズは今回、かなり危ない目に合い、逮捕までされる。
そこをワトソンが必死で助けようと奔走するのや。
政財界に顔の利くホームズの兄マイクロフトに頼みこんだり、怪しげな手紙をくれた人物に
危険も顧みず会いに行ったりする。
このあたり、ポアロとヘイスティングスの関係に似てる。
ポアロの最終巻「カーテン」でも、それはいかんなく発揮されているが、「絹の家」も
それに近い。
ワトソンの奥さんのメアリーも一応出てるけど、ほったらかしにしてホームズの事ばかりだ。
で、メアリーもそれを仕方なしとしている。
物語終盤、ホームズを助けようとする怪しげな男も、ワトスンこう言う。
「君は約束を守る男のはずだ」
「もし拒んだら?」
「(略)ホームズは48時間以内に死ぬ(略)」
「同意するしかないでしょうね」
「誓うか?」
「はい」
「何を賭けて?」
「結婚を」
「それでは不足だ」
「ホームズとの友情を」
彼はうなずいた。「絹の家」p235
怪しげなヤツは、ワトスンが結婚をかけて約束を守るでは納得しない。
だが、ホームズとの友情を賭けたらうなずく。
ワトスンが、何より大事している事を知っているからだ。
ワトスンとホームズの固い友情も、見ものの1つやな。
「絹の家」とくれば・・・

ネコ缶の全く個人的な感想やけど、「絹の家」の内容を知った時これが思い浮かんだ。
「鹿の園」
知らない人も多いやろうが、これ、あのルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人が作った、ルイ15世のための娼館なんや。
名前の響きが似てるし、やってる内容も少々似てる。
どっちも貧しい子供たち、若い人たちが犠牲になってるしなあ・・・。
オーナー(「鹿の園」のオーナーはポンパドゥール)が罪に問われないってとこも同じやな・・・。
アンソニー・ホロヴィッツ(ホームズシリーズ)「絹の家」 まとめ

ネコ缶評価
ホームズをちゃんと読んでないネコ缶でも、十分楽しめた。
だが、ところどころに「○○参照」など、過去の作品がちょくちょく書かれている。
そしてドイルの書いたホームズシリーズに出てきた医者が、今回重要な役割をしているのや。
後、アンソニー・ホロヴィッツの作品にはよくあるが、ちょこちょこナレーションみたいなくだりが入っている。
これが作品のスピード感をそいでいる。
そこだけマイナスやけど、よくできた作品には違いない。
アンソニー・ホロヴィッツの作品をもっと読みたい方はこちら
・奇妙な2人組はまだまだ行く!⇒「ダニエル・ホーソーン」シリーズはこちらから
・作中作で2度おいしい物語⇒「アティカス・ピュント」シリーズはこちらから
・コナン・ドイルが再び現れた?⇒「ホームズ」シリーズはこちらから