R・D・ウィングフィールド

R.D.ウィングフィールド「フロスト日和」あらすじ・感想・ネタバレまとめ

前回、フロストシリーズの第1作目「クリスマスのフロスト」を初めて読んでこう思った

「おやじ刑事(デカ)の物語はなぜこうも面白いのか」

「クリスマスのフロスト」詳しくはこちら

そして今回ご紹介するのはその続編「フロスト日和」だ。

フロスト日和
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そしてこの「フロスト日和」を読んで、またしてもこう思った

「おやじ刑事(デカ)の物語はやっぱり面白い」

フロストのキャラに頼るところは大きいが、そのフロストの得意な下品なギャグもますます好調。

早速みていこう。

R.D.ウィングフィールド「フロスト日和」 あらすじ

今日はデントン署で大きなパーティが行われる日。

28年勤め上げた、ジョージ・ハリスン刑事を送り出すのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
この名前・・・イギリスやし、ジョークやろか(笑) 

招待されてはいないが、フロストは参加する気満々。

ファッションもいつもとは違う、少々こましなものを着込んだ。

ところが、そんなフロストの元にこんな通知が

 
 
公衆トイレに男性の死体があります! 

渋々駆け付けてみると、そこにいたのは浮浪者で麻薬中毒のベン・コーニッシュ。

なんとか現場検証を終え、パーティに潜り込もうとするも、今度はティーンエイジャーの少女が行方不明になったとのこと。

パーティのおかげで、ただでさえ人手不足なデントン署が空前の人手不足に。

今回フロストに付き添うのは、左遷&巡査に降格された、超不機嫌なウェブスター。

下品な冗談を振りまきながら、今日もフロストは走りまわる!

R.D.ウィングフィールド「フロスト日和」 感想

前回の「クリスマスのフロスト」で、ネコ缶はこう言った。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
小ネタ的な事件が多い

前作では、田舎町のはずのデントンで、さまざまな事件が次々に勃発。
フロストとその部下・クライブは不急不眠の捜査を余儀なくされる・・・・のだ。

その続編なので、今回もそんな感じなのかな~思っていたら、やっぱりこうだった。

「前よりも様々な事件が勃発。
同時進行で起こるため、フロスト(と、ウェブスター)はますます不休不眠」

前回のクライブの役をやるのは、暴力沙汰で左遷されてデントンに来たマーティン・ウェブスター。

下品な冗談も、前回より盛沢山でキレッキレッだ。

詳しい内容をみていこう

「フロスト日和」見どころ1 これだけの事件が同時進行

もぐら叩きのように、様々な事件が同時進行。
しかもそれが複雑に絡み合ってるときた。

どれだけの事が起こっているのかご紹介しよう。

  1. 若い女性を狙った連続婦女暴行事件
    (「クリスマスのフロスト」でもあったなあ)
  2. 麻薬中毒&浮浪者のベン・コーニッシュが公衆トイレで殺される
  3. ドースン家の娘・カレンが行方不明
  4. アルバート・ビックマンがひき逃げされる
    (意外とこれが一番複雑な話になる)
  5. ココナツ・グローヴで強盗傷害事件
    (④と深くかかわる)
  6. スクルージのようなリル・ケアリーがソブリン金貨を盗られる
  7. グリックマン質店に強盗が入る
    (終盤のフロストの大立ち回り&大盛り上がりにつながる)
  8. デイヴ・シェルビー巡査が散弾銃で射殺される
    (この巡査は、一番最初に出てくるちょっと怪しげな男)

これだけの事件が複雑に絡み合い、フロストが解決のために(自分の直感を頼りに)奔走するのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
事件同士の絡ませ方は、もはや芸術や

これだけでも「もうお腹いっぱい」だが、ここにお約束のこれが入る。

よりバタバタさせる原因になる小ネタ

相変わらずフロストは、書類の提出は遅れがち。
被害者遺族への報告もすぐに忘れる。

それでも参加したかったパーティには意地でもぐりこみ、食べ物とお酒はゲット。

「これを明日、朝イチでやろう」と言う事はスグに撤回して、違う事をやり始める・・・。

朝から夜中まで振り回されるウェブスターはヘトヘトだ。

でも彼も負けてない。

美人の警察官とちゃっかり恋をしている。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
 これももはやお約束なんかな。

この設定はクセになるで!

「フロスト日和」見どころ2 ほろりとさせられるフロストのやさしさ

フロストは今回もやっぱりどうしようもなくだらしない。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
多分これから先も、ずっとだらしないやろうな

締め切りを守らず、ここで?という時に超下品な冗談をぶっ放す。

でも読んでいくうちにここに気づく。

フロストは社会の底辺の人たちや、少々難ありの人をとても良く知り、慕われている。

最初に出てくる浮浪者で薬物中毒の、ベン・コーニッシュ。
どうしようもない役立たずのコソ泥ユースタス。(そしてその妻)
お金を貯めるしか生きがいのない、スクルージのようなリル・ケアリー
男性から襲われたという虚言壁のあるミス・ギブスン・・・・・

彼らの事をフロストはとてもよく知っており、ファーストネームで親しげに呼ぶ。

そして彼らもフロストをよく知り、頼りにしているのだ。

これはフロストが彼らを底辺にいるからといって蔑みもせず、キチンと接しているからに他ならない。

そして作品中には出てこないが、日ごろから密にコミュニケーションをとっているのだろう。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
相当危ない囮捜査も、スーザン女性刑事はフロストのために頑張ってくれる場面もある。

「力を貸してほしいんだ、スー。君に力になってもらいたい。(略)」
スーザンはにっこり微笑んだ。
「わたし、やります。」

「フロスト日和」p539

 

「(略)きみに危害が及ぶくらいなら、俺は途中で作戦を放棄する方を選ぶ」

スーザンはにっこり微笑んだ。
「私は警部を信頼していますから」

「だとしたら君はどうかしてる」

「フロスト日和」p560

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
フロストのジョークも決まってるよな!

 

そしてフロストは、犯人にも冷たい態度を取らない。

ラストで犯人を無理やり逮捕せず、自首にもっていくようにしている。

このあたり、イギリスの先輩作家が生んだ名探偵・ポアロに似ていないだろうか。

ポアロも厳しいところはあったが、同情すべき点のある犯人にはとてもやさしかった。

そしてフロストは、権力をカサにきる「鼻もちならない嫌な奴」には徹底的に戦う面もある。

「ロジャー・ミラーの件だ。・・・例のひき逃げ事件の。君をあの事件の捜査責任者に任じる」
(略)
「あの鼻たれ小僧はこのおれが引き受けた。間違いなくぶち込んで見せますよ

「フロスト日和」 p234

容疑者ではあるが、権力者の息子であるロジャー・ミラーに取り入ろうとするマレット警視。

それに対し、父親の権勢をいいことに、好き勝手ふるまうロジャーに制裁を加えようとするフロスト。

弱気を助け強気をくじく・・・・ということわざがイギリスにあるのか解らない。

だが、どうしようもないフロストが大人気なのは、ここの2点が大きいとネコ缶は思うのだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
フロストに反抗的やったウェブスターも、最後はちゃんとフロストを「警部」と呼ぶ。

それもこのフロストの暖かさに触れたからやな!

R.D.ウィングフィールド「フロスト日和」 まとめ

フロスト日和
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ネコ缶評価

どうしようもなく不器用でだらしないワーカホリックのフロスト。

彼が新人を連れて(振り回して)下品な冗談を言いながら、直感を頼りに多発する事件を解決していく・・・

このパターンが決まってきた感がある。

ネコ缶はすっかり魅了されたが、このパターンを

ワンパターンで飽きる

と取るか

安心して見られる(水戸黄門みたい)

で、フロストシリーズが面白いかが別れるだろう。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
後、ページ数と登場人物がメチャ多い事が平気かどうかやな!
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