先日これを読んだ。
同じ作者が書いたものを読みたくなり、手に取ったのが今回ご紹介するこちら
「ケイトが恐れるすべての事」
この作品、以前に読んだもの(「ミランダ~」)がかなり面白かったので期待は大。
感想もそれと比較しながら書いていく。
さてどうだったのか?
詳しくみていこう
Contents
ピーター・スワンソン「ケイトが恐れるすべて」あらすじ
ケイトはロンドンに住む若い女性。
ひょんなことからアメリカに住む、又従兄弟のコービンと、半年間の期間限定で住処を交換することになる。
付き合っていた男・ジョージとのトラウマを抱えていたケイト。
いい気分転換になると踏んだのだ。
着いてみると、想像以上に広くて素敵なコービンのマンション。
デザインの学校への申し込みも済ませ、楽しい日々が始まるはずだったが・・・・。
このマンションの隣に住む女性・オードリーが何者かに殺される。
しかもコービンは、この女性と関係があったらしい・・・。
動揺するケイト。
そしてケイトの前に現れるさまざまな男性。
肝心のコービンはオードリーとは付き合っていないなどと言う・・。
犯人は一体誰なのか?
ピーター・スワンソン「ケイトが恐れるすべて」感想
「ミランダ」は少ない登場人物ならがらも、視点が次々に変わりスピード感あふれる展開だったが・・・・・
今回もそのスタイルは同じだったが、残念ながら今一つだった。
今一つな点を取り上げてみていこう。
病んだ登場人物たち
「ミランダ」同様、今回も主な登場人物は少ない。
そしてビミョーなのだ。
4人なのだが、皆なにがしか抱えている。
この病んだ人たちの視点を、代わる代わる変えながら物語が静かに進んでいく・・・という点は「ミランダ」と同じスタイルだ。
だが、ハラハラドキドキすることや、人が次々に死んだりすることはない。
ただただ静かに登場人物たちが会話し、何かを感じているさまが描写されていくのだ。
(過去の描写もふくめ)
ネタバレになるので詳しくは書けないが、「ケイトが恐れるすべて」は、少々退屈な展開と感じる人もいるかもしれない。
ミステリー・・・?犯人は途中で解る人が多いのでは?
「ケイトが恐れるすべて」は、過去の事件を描写しながら、少しずつ何かが明らかになっていくという展開だ。
ひたひたと迫るものはあるが、9割の人が途中で犯人は解るだろう。
犯人に何か理由があって殺人を犯したというよりは、サイコパスな気質によるもの。
そして今回は、犯人の殺人よりも不気味な性癖にかなりスポットが当たっており、ハラハラするというよりは不気味だ。
これは好みの別れるところだろう。
ラストがビミョー
もともと「ケイトが恐れるすべて」は恋愛ものとして書こうと思っていたらしい。
だからだろうか、恋愛の要素が入っている。
だがラスト、同じ女性として、ケイトの結果はそれでいいのかと思う。
ケイトが選ぶ男性に、あまり魅力を感じないからだろうか。
どこに惹かれたのかよくわからないのだ。
期待と前評判がネコ缶の中で大きすぎたのだろうか。
少々残念な結果になった。
ピーター・スワンソン「ケイトが恐れるすべて」まとめ
ネコ缶評価
江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」を思わせる展開が第2部から始まる。
ピーター・スワンソンンの想像力(よな?)に驚くばかりだ。
とはいえネコ缶は、やはりあまり面白いと思えなかったのだ。
ヘンリーの気質が極端すぎて、ミステリーとはかけ離れていたし、無理に恋愛要素を絡めなくても良かったのではないだろうか。
(トラウマからの脱却・・・というのに必要だったのかもしれないけど、相手が少々よくない)
ホラー系・サイコパス系が好きな人はおススメかな。
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