最近年のせいか、日本のミステリー(結構最近のもの)を読むのが辛くなってきた。
リアルすぎるのだ。
子供が被害者やったら動悸がする。
ってなわけで、海外のミステリーを読むようになってきたのだ。
そんないきさつを経てたどり着いたのがこちら。
「ストーンサークルの殺人」
この作品、実はもうシリーズ化されてる。
その3作目のかなり評判がいいという事を聞き、まず1作目を手に取ったという訳や。
ちなみに3作目はこれな↓
早速みていこう!
Contents
MW・クレイヴン「ストーンサークルの殺人」 あらすじ
英国カンブリア州で、ストーンサークルを舞台に猟奇的な殺人事件が立て続けに3件起こった。
被害者の全員が60代の男性。
彼らは全員拘束され、むごたらしい仕打ちの末、火あぶりになっていたの。
イギリス版FBI・NCAはすみやかに動き出す。
NCA警部のステファニー・フリンは、かつての上司(いろいろあって今は停職中)のワシントン・ポーをはるばるカンブリア州まで訪ねこう言った。
これはヴァン・ジル部長の命令です
不審に思いつつも、また刑事の仕事に戻ることが出来る喜びを隠せないポー。
だがどうしてこのタイミングで?
不審に思ったポーが聞いてみると、戦慄の答えが返ってきた。
数字の5という文字と共にね・・・
自分は第5の被害者になるのかと驚くポー。
しかし被害者たちとポーは何の面識もなく、共通点も見当たらない。
戸惑い、恐怖を感じながらも捜査に加わることになったポー。
天才分析官テイリーや、カンブリア警察のリードとともに捜査を開始するが、事件は思わぬ展開を見せ始める・・・。
英国推理作家協会賞ゴールドダガーを受賞した、MWクレイヴンのシリーズ第一弾!
MW・クレイヴン「ストーンサークルの殺人」 感想
ゾッとする猟奇的な殺人と、悲しくなるような事件背景。
最近ネコ缶、イギリスのミステリーを読んでいるが、いわゆる「小児愛」を扱ったミステリーが多くて驚く。
イギリスは、こんなにもこの手の犯罪が多いのかと心配になるくらいだ。
これが日本を舞台にしたミステリーだと、リアルすぎて絶対に読めないところだった。
子供を持つ母として気が滅入りそうだが、救いは常にある。
フロストのユーモアしかり、ホームズとワトソンの友情しかり、それぞれに清涼剤はきちんと用意されているのだ。
今回の「ストーンサークルの殺人」の場合はこれだ。
ワシントン・ポーとテイリ―・ブラットショーの友情
この2人、歳も少々離れているうえ、異性。
しかも2人ともそれぞれ超有能だがキャラが濃く、客観的に考えたら絶対に仲良くなれなさそうな2人なのだ。
だがこの作品は、信じられないくらい見事なな化学反応を起こしている。
今回はこの2人のキャラをちょっと掘り下げてみよう。
「ストーンサークルの殺人」 異色の2人 ワシントン・ポー
「ストーンサークルの殺人」は、探偵ものではなく完全に刑事もの。
警察という組織の中で、この2人がそれなりにやっていけるという事にまずは驚く(ポーは少々怪しいが)。
2人のキャラをざっとご紹介しよう。
ワシントン・ポー
- 38歳独身
- 自分の失態により停職中
- 元軍人
- 育った家庭に少々難あり
(名前がかなり変わっているのも、ここに由来している)
そして何より大きな特徴としてこれがある。
「正義を貫くための暴力を、当然のものと認識している」
ポーが刑事として復職した直後、いじめにあっているティリーを見つけたポーの行動だ。
テイリ―はいじめをうけているのだ。
(略)ポーは3歩進んで馬鹿笑い男子を椅子から引きずり出した。
上着の背中をつかんで、オフィスの奥まで連れていき頭を壁にたたきつけた。
「名前!」
ポーは叫んだ(略)
「ジョ、ジョ。ジョナサン・・・」
(略)「俺はワシントン・ポー部長刑事だ。
いじめは絶対に容赦しないからよく覚えておけ!」「ストーンサークルの殺人」p84~P85
このポーの気質は、この物語の底を静かに流れていく。
この後も、酔っ払いに絡まれたテイリ―を、(かなり暴力的な手段で)助けたりもする。
停職になってしまった原因も、刑事らしからぬこの気質によるところが大きいのだ。
停職原因は今回の作品には直接関係ないが、ポーを知るうえでは重要。
このポーの一本気な気質は、きっとこれからの物語の原動力になっていくのだろう。
「ストーンサークルの殺人」 異色の2人 テイリ―・ブラッドショー
さてバディの片割れ、テイリ―・ブラッドショーをご紹介しよう。
ティリー・ブラッドショー
- 分析の天才
- IQが200で、10代で大学院まで進学
- 20代の女性
- 世間話が出来ず冗談や嫌味も通じない
- 警察内でいじめられていた(ポーが救う)
- 犬好き
テイリ―はよくある天才キャラの女性版。
社交性に乏しく、空気も読めない扱いにくいキャラだが、嘘やお世辞は全くない。
そして仕事を適当にさぼったりすることもないし、他人を貶めることもない。
ただひたすらに純粋なのだ。
そこがポーの本質と完全に合致する。
ポーは彼女の良いところを引き出し、コンビとしてうまく稼働。
そして最後は2人で事件解決へと突き進むのだ。
MW・クレイヴン「ストーンサークルの殺人」 まとめ
ネコ缶評価
少々序盤は状況がくるくる変化しすぎるうえ、登場人物が矢継ぎ早に出てくる。
ついていくのが少々大変なので、ここで挫折する人もいるだろう。
だが後半は怒涛の伏線回収。
あっと驚く(そして悲しい)ラストでボー然とする。
なので、このラストのために、しんどくても丁寧に読んどくことをおすすめするで!
2作目も楽しみやな~。
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