大山誠一郎

大山誠一郎「密室蒐集家」あらすじ、感想、ネタバレまとめ

以前こんな本を読んだ。

「赤い博物館」

赤い博物館
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「赤い博物館」詳しくはこちら

ネコ缶、1人の作家さんを気に入ると、集中して読んでしまう癖がある。

なので年末は、大山誠一郎さんを何冊か取り寄せてみた。

その中の1つが今回ご紹介するこちら。

「密室蒐集家」

密室蒐集家
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密室殺人が起こると、どこからともなく現れる男性。

そしてあっという間に事件を解決し、音もなく去っていく・・・。

それがMr.密室蒐集家だ。

名前は特に紹介されていないが、こんな男性らしい。

30歳前後で、歩くときは全く音を立てない。
鼻筋が通り、切れ長の澄んだ目をした、活動写真家のような美男子なのだ。

「密室蒐集家」P33~34

 

今回、Mr.密室蒐集家は5つの話、なんと1937年~2001年の、64年間活躍してくれている。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
全然年取ってないけどな(笑)

詳しくみていこう!

大山誠一郎「密室蒐集家」 あらすじ&感想

密室蒐集家は短編小説。

どれも密室をテーマにした話なんやけど、感心したのは「必然的に密室になっている」点。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
密室マニアが、「密室のための密室」を作ったわけではないってことやな。
ナイスやな。

早速紹介していこう!

「密室蒐集家」 柳の園(1937年)

女学校の校庭に、本を忘れてきた千鶴。
夜7時ころに学校に取りに行くと、音楽室に明かりがついていた。

のぞいてみると、なんと音楽教師の君塚が、何者かに刺されているところだった!

慌てて他の先生と一緒に、音楽室に行ってみると、なんと扉も窓にも鍵が。

君塚は一体誰に刺されたのか?
そして犯人はどこから逃げたのか?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
密室トリックはよくあるパターンで、あっさりしてる。
(ルパンに出てたなあ)

ここに出てくる千鶴が、その後チョイ役で出てくる。
楽しみにしておこう!

「密室蒐集家」 少年と少女の密室(1953年)

誠直高校の薫と真澄は、デートの帰り道に不良に襲われた。
そこを通りがかりの刑事、柏木に救われる。

それからしばらく後、なんとこの2人が死んでいるところを、闇たばこの取り締まりに来ていた柏木達が発見。

2人はどうやら誰かに殺されたらしい。

だが2人が死んでいた家は、柏木たちが見張っていた場所の隣。
犯人はどうやって、刑事たちに見つからずに家に忍び込めたのか?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
えーっ!・・・と驚く結末。
トリックはおそらく、誰も解らない。

「柳の園」とトリックが似たところもあるが、若人の一生懸命さが伝わってきて好きやな

「密室蒐集家」 死者はなぜ落ちる(1965年)

元カレが夜、部屋に押しかけてきた優子。
偶然その時2人は、上の部屋から飛び降り自殺をした女性を窓から見る。

だが飛び降りた女性は、刃物で刺されて死亡していた。

だが女性の部屋には鍵どころか、チェーンまでかかっており、完全な密室。

誰が女性を突き落としたのか?
そしてどうやって逃げたのか?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
かなり凝ったトリック。

ちょっと無理を感じるところもあるけど、密室の謎はよくできてるで!

「密室蒐集家」 理由ありの密室(1985年)

恐喝を繰り返してきた岸本哲夫が、何者かに殺された。

殺された部屋は密室だったが、どうやって密室を作ったのかはすぐに判明。

ただこの謎がどうしても解けない。

「なぜわざわざ密室にする必要があったのか?」

人が密室を作る理由を、密室蒐集家が9パターンも紹介するところがキモ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
密室にする理由は数あれど、この理由は考えたこともなかった。

ここまでとっさに考えた犯人もすごい。

「密室蒐集家」 佳也子の屋根に雪ふりつむ(2001年)

恋に破れた佳也子は、林の中で睡眠薬を飲み自殺を図る。

だが佳也子は病院の中で目を覚まし、気を取り直していく。

元気になってきた矢先、なんと助けてくれた女医が、佳也子が寝ている間に殺されていた!

病院には佳也子以外誰もおらず、鍵もかかっていた。
疑われる無実の佳也子。

そして犯人は雪の中、足跡も残さずどうやって入ってきたのか?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
密室よりも、ちょっと悲しい事件。

密室蒐集家が、今回も事件解決後にスーッといなくなってしまう。

2020年も終わるが、また出ることもあるんかな?

大山誠一郎「密室蒐集家」 まとめ

密室蒐集家
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ネコ缶評価

トリックがややこしく、解りにくい謎もあったが、密室ネタだけで1冊(5話)作ったのはすごい。
パキッと事件が解決されるところも爽快。

ただ、時代設定を、なぜ1937年から2001年まで取ったのが謎。

1人の決まった登場人物が、年を取っていくのかと思いきやそうでもない。

時代を分けたのに、戦前や、高度経済成長期ならではの事件という訳でもない。

そのあたりがちょっと残念。

 

今後、密室蒐集家は時を超えて活躍していくのか?
この1冊だけなのか?

ちょっと見守っていきたい。

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