今年も例によって「2024年・このミステリーがすごい!」が出た。
ミステリーファンのネコ缶、毎年これを楽しみにし、面白いミステリーを発掘している。
今回は、国内版NO1のこちらをピックアップ
米澤穂信「可燃物」
米澤氏は去年「黒牢城」でネコ缶が初めて触れた作者だ。
緻密な構成、堅焼きせんべいのような読み応えのある文章だったゆえに、今回も期待し、少々気合を入れて「聴いた」。
今回は意外なことに、作者初のの刑事モノらしい。
どんなだったか?詳しく見ていこう!
Contents
米澤穂信「可燃物」あらすじ&感想
「可燃物」はこの5つの物語からなる短編だ。
- 崖の下
- ねむけ
- 命の恩
- 可燃物
- 本物か
短編とはいっても、主人公の桂刑事はずっと登場しているパターン。
群馬県警を舞台にした日常を切り取ってる感じやな。
そして、最後はきちんと自分の直感で解決していく能力もあるゆえ、部下からも捜査能力には一目置かれている。そんな硬派な刑事やで
それぞれのストーリーを見ていこう!
「可燃物」崖の下 あらすじ&感想
中学校時代の同級生5人が誘い合って、スノーボードに行った。
羽目を外してコース以外の道を行ったが、折しも天候が悪化し4人が遭難してしまう。
そのうちの2人が崖の下で見つかるが、1人は他殺死体、1人は大怪我で搬送される結末に。
そこでこの疑問が沸きあがる。
この死亡した1人は、一緒にいた人物に殺されたのだろうか?
雪原の中、懸命な捜査にも関わらず、凶器は見つからない・・・。
かなり以外なものが凶器やで!(初めて聞いた。犯人の執念!)
トップバッターを飾るにふさわしい力作や
「可燃物」ねむけ あらすじ&感想
老女をねらった障害事件が起こり、容疑者が浮上した。
その男の名前はタグマ。
障害の前科のある人物だ。
彼は事件の夜に交通事故を起こしていたので、拘留をして事情を聴き、障害事件の事も調べようと葛はもくろむ。
ただこの事故だけでの逮捕・拘留は難しい。
そこで信号無視をしていれば、危険運転障害という事で逮捕し、取り調べも行う事が出来る。
状況的にそれは可能と思われたが、なぜか目撃者や事故の当事者4人とも全員、信号は青だったと言い出して・・・
タイトルと内容が、ぴったり一致しているところが事件解決のヒント。
作者の米澤氏が、人間心理をよく解っている事が強く伺える作品や
「可燃物」命の恩 あらすじ&感想
榛名山山中で、壮年の男性のバラバラ死体が見つかった。
彼の名前はノスエ・ハルヨシ。
塗装業を営み、息子と一緒にひっそり住んでいる男だった。
親しい友人がいるような人物でもなかったが、唯一懇意にしている人物がいた。
その人物は数年前、娘と一緒に山で遭難しているところを、ノスエに助けてもらったという人物だった。
葛は彼が怪しいとにらむが、そもそもなぜ恩を感じている人物を殺すのか?
そしてなぜ死体をバラバラにする必要があったのか?
バラバラ死体で見つかっていない体の部位が2つあるが、そのうちの1つが見つからないことが最大のヒント
「可燃物」可燃物 あらすじ&感想
可燃ごみが放火される事件が相次いで発生。
幸い、大火になることも死人やけが人が出ることも無かったが、事態を重く見た葛は警戒を怠らない。
地道な捜査が実り、やがて容疑者が浮上するが、なぜかそこから放火は急に止まってしまう。
その後、この事件は以外な方向へ動いていき・・・
事件としての華やかさ・不気味さ、トリックよりも人情味を感じられる作品。
実際にありそう・・・とも思うなあ~
「可燃物」本物か あらすじ&感想
ファミリーレストランで立てこもり事件が発生する。
以前から粗野で、別件でマークされていたシダ・ナオトが、息子と共にレストラン店長と1人のスタッフを人質にしているようなのだ。
しかもシダは、拳銃を持っているようにも見え、事態は緊迫していく。
厳戒態勢をとっていたが、残念なことに、店のスタッフが殺されてしまい・・・
短編でありながらしっかりとした構成。複数の人物の証言を元にした完璧なロジック。 「本物か」というタイトルにもしっかり意味がある。
何から何まで完璧な短編。
米澤穂信「可燃物」まとめ
ネコ缶評価
鮎川哲也の本格ミステリーを思わせるような、完璧で緻密なトリック。
短編とは言いながらも、読みごたえは十分だった。
いぶし銀のような魅力や。
火村って?誰?という方はこちら⇒「作家アリスシリーズ」
鬼貫警部って?というかたはこちら⇒「鮎川哲也の生んだ昭和の名刑事・鬼貫」
感情描写などが少なく、綿密に書き込んだ文章は少々読みにくい感じがあるかもしれない。
だが読み応えは十分で、最後は「このミステリーがすごい2024」のトップになった事にうなずけるだろう。
絶対続編作ってな!
米澤穂信の他のミステリーが読みたい方はこちら⇒米澤穂信の後悔させないミステリー