ネコ缶が最近発売を心待ちにしている作家さんが1人いる。
アンソニー・ホロヴィッツ氏だ
まだかまだかと、いつも本屋さんをチェックしていたが、ある日新聞広告で発売しているのを発見。
それが今回ご紹介するこちらだ
「ナイフをひねれば」
謎めいた元刑事・ホーソーン。
今回はどんな推理を見せてくれるのか?
早速見ていこう。
Contents
アンソニー・ホロヴィッツ「ナイフをひねれば」あらすじ
アンソニーは脚本を書いた舞台「マインドゲーム」の初講演を終えて一息ついていた。
打ち上げのレストランで、仲間たちと楽しく会話をしていたが、そこに悪名高い批評家のハリエット・スロスビーが現れる。
その後「マインドゲーム」の酷評が出されたが、案の定ヒドイ酷評だった・・・。
意気消沈する舞台関係者たち。
だがその彼女は次の日、なんと死体となって発見される。
さまざまな証拠品から、カーラ・グランショー警部はアンソニー・ホロヴィッツを逮捕。
窮地に陥ったアンソニー。
思わず「もう君の作品は書かない!」と決裂していたホーソーンに連絡をする・・・。
ホーソーンシリーズ待望の4作目!
アンソニー・ホロヴィッツ「ナイフをひねれば」感想
この設定にまずびっくり。
アンソニー・ホロヴィッツに殺人容疑がかけられる。
そこにこの要素が加わる。
48時間以内に無実を証明&真犯人を見つけないと、アンソニーは投獄される。
これだけでも十分なのだが、ダメ押しがこの4つ。
- 現場にアンソニーの髪の毛が落ちていた
- 被害者宅の近くの桜(ソメイヨシノ)がアンソニーのコートにくっついていた
- 凶器のナイフは、アンソニーがもらったもの(指紋付き)
- アンソニーが書いた脚本を、被害者が酷評していた
もう「詰んだ」という状態。
しかもアンソニーをしょっ引いたのは、「あの」カーラ・グランショー警部。
24(トウェンティー・フォー)を思わせる今回の作品。
見どころを詳しくみていこう
「ナイフをひねれば」見どころ1 割と解りやすい展開
以前までのホーソーンシリーズであれば、かなり場所を移動したりして複雑な設定だった。
でも今回は1回で理解できたで
被害者が書いた、昔の事件がかかわっていたのだな・・・ということは中盤で見当がつく。
ミステリーではよくある展開だ。
場所も移動するが、それにより生じる「その裁きは死」のような複雑さは感じない。
⇒「その裁きは死」詳しくはこちら
あくまでメインは登場人物のインタビューに終始。
48時間以内に犯人逮捕せなあかんのやから。
最後は名探偵よろしく、登場人物を集めてホーソーンが一席ぶつのだ。
アガサクリスティのポアロものでよく見たミステリーの王道。
⇒ポアロシリーズはこちら
こうしたまっすぐな展開はテンポもよく、サクサクと読み進める事が出来る。
ただ・・・
その分、ちょっと今までのホーソーンシリーズに比べると物足りない。
各所にちりばめた伏線の回収も、少々おざなりな印象を受ける場面もあった。
その分「犯人は誰?」という事に集中できるかな。
「ナイフをひねれば」見どころ2 ホーソーンの謎に関して
ホーソーンはとかく謎の多い人物だ。
元警察官で、問題を起こして首になった・・・という事は動かせない事実なのだが。
正直、ここしかハッキリしていることがないのだ。
「ナイフをひねれば」以前にも、ホーソーン自身の謎解きは、おとぎ話のパンくずを撒くようにちびちび小出しにされている。
⇒ホーソーンシリーズ詳しくはこちら
今回明らかになったのは少ないがこの2つ。
- ホーソーンの兄(ローランド)登場
- ホーソーンは、養子だった
ホーソーンは「半分だけ血のつながった兄がいる」という事を言っていたが、半分どころか全く血はつながってないのよな。
前回「殺しへのライン」でかなり色々新事実が出たが、そこからの派生は無い
⇒「殺しへのライン」詳しくはこちら
分厚い封筒を抱えて登場したお兄さんによると、ホードソーンは兄から時々仕事をもらっているらしい。
「私は今の会社で常勤として勤めていて、あいつは時おりそこの仕事を請け負っているのですよ」
「ナイフをひねれば」p383
ネコ缶、これ本当か?と思う。
なぜならローランドの仕事もなんだかはっきりしないからだ。
「あなたはどちらの不動産会社に?」
「いや、私は不動産会社じゃないんです。より創造的な事業開発を手助けするサービスを提供していまして」(略)「そのために顧客の便宜を図っているのですよ」「ナイフをひねれば」p383
誰かを、ホーソーンのマンションの内覧らしいことに案内しておきながらこの言い方。
政治家でもないのに、なんでこんな曖昧な言い方をするのだろう。
怪しい。
怪しすぎる。
なんかホーソーンの生い立ちとかに関わる謎を解いているんじゃ・・・とネコ缶疑っているが・・・。
ホーソーンシリーズは全何回なのかは謎だが、ホーソーンとは一体何者なのか。
アンソニー・ホロヴィッツ「ナイフをひねれば」まとめ
ネコ缶評価
いつも通り面白く読めた。
が、どうもこれ、トリックが「死との約束」に似ているのだ。
被害者がとにかく底意地が悪い女性・・・というのも似ているかな
⇒「死との約束」詳しくはこちら
そこだけかなり残念。
いつも通りの丹念な感情描写に、イギリスの社会問題の描写も今回は加わった。
アンソニー・ホロビッツはグロテスクな描写がないのも良い。
ホーソーンシリーズはこれで4作目。
テンポよく出てくれて嬉しいが、アティカスピュントはなかなか出ない・・・。
アンソニー・ホロヴィッツの作品をもっと読みたい方はこちら
・奇妙な2人組はまだまだ行く!⇒「ダニエル・ホーソーン」シリーズはこちらから
・作中作で2度おいしい物語⇒「アティカス・ピュント」シリーズはこちらから
・コナン・ドイルが再び現れた?⇒「ホームズ」シリーズはこちらから