「カーテン」は、ポアロの最終回ってことは知っていた。
でもきっと、ポアロは笑って、ミス・レモンとかオリヴァ夫人あたりと
みたいに、ふわっと終わるんだろうなと思ってた。
・・・でも!!
・・・皆さん!!
違うんですよ!!
ポアロ、「カーテン」でホンマに死ぬんですよ!
ええ奥さん!!ガチで!!
これ、本当にびっくりした。
しかもポアロ、死ぬ間際にとんでもないことをやるんや。
ポアロの正義感なんやけど、法律的には許されることではない。
でもネコ缶は、ポアロの気持ちがわかる
とりあえず、ポアロの最終回、いってみよか!
Contents
アガサクリスティ(ポアロ)「カーテン」あらすじ
ヘイスティングスは、懐かしい道のりを歩いていた。
それは「スタイルズ荘」に向かう道。
スタイルズ荘は今から何十年も前、重傷を負って軍隊から抜けたヘイスティングスが、はじめてポアロと出会ったところだったのだ。
スタイルズ荘の怪事件はこちら
そんな、なつかしいスタイルス荘。
今そこにいるポアロから手紙をもらい、駆け付けたところ、ポアロはこんな事を言い出す。
このすべての事件とかかわる人間が、ここにきています。
そして、ここでまた殺人が起こるのです!
驚くヘイスティングスに、ポアロはこうも言う。
病気でもう長くはないという、ポアロの思いは叶えたいヘイスティングス。
だがポアロの言ってることは、果たして本当なのか?
疑いながらも、ここにきている宿泊者やオーナーに、疑惑の目を向けるヘイスティングス。
動けないポアロの代わりに調査を開始。
そしてとうとう最初の犠牲者が・・・。
クリスティ最盛期に書かれ、長く封印されていたという問題作!
アガサクリスティ(ポアロ)「カーテン」感想
いや~、ネコ缶、これだけ主役が死んで、ショックを受けたミステリーは初めてかもしれへん。
ポアロと言えば
殺人は絶対許さない
という絶対の正義感をもった人物。
そして元警官。
だからこその行動なんだけど、それがかっこよすぎて、そして悲しい。
そして泣けるし惚れる。
悲しいけど、頑張って感想書くわな!
「カーテン」 物語を解くポイント
殺人教唆(さつじんきょうさ)という罪がある。
実際に手を下さずに、誰かをそそのかして殺人をさせる罪だ。
日本では、これも大きな罪になる。
刑法第61条 人を教唆して犯罪を実行させたものには正犯の刑を科する
と、刑法にきちんとあるからね。
「カーテン」はこの殺人教唆が、犯人を見つける大きなポイントになる。
殺人教唆は悪質だし、立派な犯罪でもあるが「立証がかなり難しい」犯罪でもある。
例えば、以前から親しくしていた友達同士で、こんなやり取りをラインでしていたとする。
これだと証拠もそろいやすい。
でもそれを、大して親しくもない人間にやっていたら?
人の心を見抜くのが上手くて、大して親しくもない相手に、証拠を残さずできるような人間だったら?
そして自分の手を汚さずに、だれか人を使って殺人をさせることが趣味な、サイコパスな人間だったら?
その犯人は永遠に捕まらないし、趣味で誰かを争わせ、殺人事件へといざなっていく。
カーテンが発表されたのは1975年。でも執筆したのは1943年。
この当時から、こんな人はいたのかもしれん。
「カーテン」 面白ポイントあれこれ
では小ネタ的に、見どころや面白いポイントを挙げていこう
ヘイスティングスの娘が出てくる
物語ではヘイスティングスの奥さん、シンデレラは、なんともうお亡くなりなのだ。
でもその代わり、末娘・ジュディスが出てくる。
でもこの娘さん、あんまりかわいくないんだよなあ・・・。
ちょっとツンケンしてるし、尊厳死について議論になったときも、傲慢な意見を言ってる。
「死の床に扮して苦しむ人間に、楽になれるようにモルヒネを与えることができるのか?」
この議論にジュディスはきっぱりこう答える。
周りが、モルヒネを飲ませるかどうかを決めるべき。
そして私ならその決断をすることができる、私にはその肝っ玉がある。
そしてこうも言う
病弱な人たち、役立たずの人たちは取り除かれてしかるべきです。
キチンと社会に貢献できる人だけが、生きることを許されるべき。「カーテン」182P~188P(省略含む)
例の大量殺人犯人と、発言がカブるところが怖い。
ちょこっと出てくる回想
作品集も終盤になってくると、回想や「あの事件は・・・」というセリフが度々出てきた。
カーテンでもモチロン出てくる。
「私は人生で2度、殺人犯に警告しました。1度目はエジプトで、もう1度目は別のところで・・・」
「カーテン」P38
もう1つはどこか解らへんけど、1つ目は「ナイルに死す」やな!確かにそうやったな!
こんなのもあるで。
「ABC殺人事件では、一見アルファベット順に思える連続殺人事件に遭遇したが・・・。」
「カーテン」P40
ここでは事件の名前をはっきり言ってるな~。
ABC殺人事件はこちらから
こんな感じで、病床のポアロが、ヘイスティングスに昔語りをしてくれる。
とはいえ1943年に書かれてるから、それ以降の作品「満潮に乗って」とか「ヒッコリーロード」とかには触れへんのが残念。
「満潮に乗って」はこちらから
「ヒッコリーロードの殺人」はこちらから
最終回でもヘイスティングスは変わらず
ヘイスティングスは、いつもポアロのいい友人だった。
ビッグ4では、かなり危ない目に会いながらも、ポアロのために一生懸命になってたし。
いつでもポアロのいい協力者であり(時にからかわれながらも)、最大の友人であったヘイスティングスは、ラストでもしっかり友情を見せてくれる。
もう体が思うように動かないポアロに代わり、手となり足となりスタイルス荘での捜査をし、ポアロに報告するのだ。
そしてポアロの遺言と、事件の真相は、ラストでヘイスティングスに託される。
また、ポアロはポアロで、体が以前のように動かないながらも、ヘイスティングス最大のピンチを「灰色の脳細胞」をフルに使って今回も助けている。
この辺りは、お互いの深い友情が見られて感動。
アガサクリスティ(ポアロ)「カーテン」まとめ
ネコ缶評価
設定も良かったし、ポアロとヘイスティングスの友情も見られてよかった。
また、ポアロの最後まで変わらない信念も、かっこよかった。
どっちかと言えば、カーテンの直前の「象は忘れない」で終わっておいた方が、穏やかなフィナーレで、良かったんやけどな~(しつこい)
「象は忘れない」詳しくはこちら
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