ポアロと言えば、神経質なくらいオシャレで自信たっぷりで、しょちゅうヘイスティングスをからかうイメージがある。
でも今回ご紹介する「邪悪の家」では、犯人に振り回されて、反省しきりのポアロが見られるのだ。
失敗続きといっても、最後はきっちり解決してくれるので、そこは安心。
「邪悪の家」なんてタイトルは怖いけど、ホラー要素もなく、本格ミステリーなので、怖いのが嫌という方も安心して読んでな!
アガサクリスティ(ポアロ)「邪悪の家」 あらすじ
マジェスティックホテルで、ポアロが出会った若い女性ニック。
彼女はなんと「3回も命を狙われた」という。
まさにその言葉通り、ポアロと話している途中に、ニックは目の前で狙撃されかかる。
心配したポアロが真相を解明するために、ニックの住む屋敷「エンドハウス」に赴く。
そこでニックに詳しく聞き込みをしても、なぜ彼女が狙われるのか、全く解らない。
とはいえ、一人で屋敷に住むのはよくないという事で、ニックの従妹・マギーに来てもらうことになった。
マギーが来た次の日、パーティが催されたが、なんとそこでニックのショールをまとったマギーが銃殺されるという事態に!
マギーは間違われて殺されたのか?
ニックがそこまで、命を狙われる理由は何なのか?
ニックが隔離された療養所にも、殺害の魔の手が伸びてきて・・・。
アガサクリスティ(ポアロ)「邪悪の家」 感想
「ナイルに死す」もそうだったが、「邪悪の家」でもなかなか事件が起きない。
140ページあたりまで、登場人物の紹介や、物語の伏線と思われる内容が延々と続く。
邪悪の家 見どころ1
「邪悪の家」の前半戦最大の見どころは「なんでニックが命を狙われるのか?その理由が判明したとき」だ。
ニックの愛する家「エンドハウス(邪悪の家と呼ばれている家だ)」は抵当に入っているくらいだし、ニック自体が儲かるビジネスをしているわけでもない。
人間関係もさっぱりしたもので、恋愛関係や怨恨などもなさそうだ。
なのになぜ・・・?と、漠然とした疑問が延々と続く。
だが、だれも知らないところで、ニックがある人物と深くかかわりを持っていたというところで、大納得の理由が解る。
その理由が判明するところ、それが前半戦の最大の見どころだ。
邪悪の家 見どころ2
後半戦最大の盛り上がりは、ニックが5度目に命を狙われるところか。
ポアロの意思で療養所にニックを入れ、外部とのやり取りを完全に遮断したのに、毒入りのチョコレートで命を狙われるニック。
しかもそのチョコレートには、ポアロの手紙が添えてあったというから、犯人の頭の良さがしのばれる。
タイミング的にも、ポアロがいろいろな捜査を深めてきたところなので、思いっきり足元をすくわれた感が否めない。
ここに至ってポアロは、例の「トランプの家」の制作に入る。
ポアロがトランプの家を作るときは、結構行き詰ってて、頭を整理するときなんやで。
トランプの家作りが功を奏して、物語は無事に大団円を迎える。
いつもの通り、最後は全員を集めての謎解きが始まるのだが、その場所は邪悪の家・エンドハウスで盛大に行われる。
この辺り、タイトルにうまく紐づけされていてヨシ。
アガサクリスティ(ポアロ)「邪悪の家」 まとめ
ネコ缶の評価
比較的読みやすい話。
内容は悪くはないのだが、ちょっとテンポが遅いかな・・・。
いつになったら事件が始まるんだろう?と思わせてしまう。
事件が起こってからも、テンポよく進んでいくという訳でもない。
とはいえ最後の謎解きは、いつものようにアッと驚かせてくれる。
いかにも怪しい・・・と思っていた人が、犯人じゃなかったというのはお約束やな!
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