※2023年秋、加賀恭一郎シリーズ最新作「あなたが誰かを殺した」が発売されましたので、更新しています
東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズは、よく出来た作品が多く、ドラマや映画にもなっている。
そう思う人も多いかもしれない。
基本的に加賀恭一郎シリーズは、どこから読んでも話は解る。
だが、加賀恭一郎シリーズは、ここだけは抑えてほしい順番ポイントがある。
東野圭吾・加賀恭一郎シリーズの順番
2023年10月現在、加賀恭一郎シリーズはこれだけ出ている。
- 卒業
- 眠りの森
- どちらかが彼女を殺した
- 悪意
- 私が彼を殺した
- 嘘をもうひとつだけ
- 赤い指
- 新参者
- 麒麟の翼
- 祈りの幕が下りるとき
- あなたが誰かを殺した
6の「嘘をもうひとつだけ」が唯一の短編。
後はすべて長編だ。
どこから読んでも話は解るのだが、ここの順番だけは守ってほしい。
7から10は、絶対に7.8.9.10の順番で読むこと
7で初めて登場する人物が、そのまま8や9でも出てくる。
その上8から後は、話は別でも底に1つの流れがあるのだ。
案外11の「あなたが誰かを殺した」は、単独で読んでも全然良い。
ココから読んで、加賀恭一郎シリーズ面白いと思ったら1から読んでもいいくらいだ。
ではそれぞれの内容を、ざっと見ていこう。
加賀恭一郎シリーズ1「卒業」あらすじ&感想
ネコ缶評価
加賀恭一郎を含む7人組の仲間は、卒業を待つ身。
テニスをしたり、剣道にいそしんだりと、残り少ない学生生活を楽しんでいた。
そんなとき、仲間の1人・祥子が死体で見つかる。
祥子は自殺なのか?他殺なのか?
ハッキリしないまま時間がたちはじめ、仲間の空気も微妙なものに・・・
そんなある日、茶道部の恩師によるお茶会が開催された。
気まずい空気をなんとかするため参加した6人。
だがそこでもまた、仲間が服毒死してしまい・・・・
かなり複雑なトリックが用いられている(ネコ缶いまだに解らへん)
加賀恭一郎シリーズの中では珍しい、青春&友情もの。
恭一郎のまっすぐな気質、若さ、そして複雑な家庭の事情・・・
これから始まるシリーズ物の土台がここにある。
加賀恭一郎シリーズ2「眠りの森」あらすじ&感想
ネコ缶評価
高柳バレエ団の事務所に泥棒が入った。
不運なことに、偶然そこに居合わせたダンサー・斉藤葉瑠子がもみ合いの末殺してしまう。
正当防衛で、このことはすぐにカタががつくと思われた。
だがお金があると思えない、バレエ団事務所に入ったことや、泥棒本人がお金に困っていなかったなど妙な事も多い・・・。
果たしてこれは、本当にただの空き巣狙いなのか?
バレエ団員が浮き足立っている時、2度目の殺人事件が起こる・・・。
恭一郎とヒロイン・未緒とのやりとりが切なくて胸がキリキリする。
トリックなどは、加賀恭一郎シリーズの中盤&後半に比べると、少々荒い印象を受ける・・・かな。
加賀恭一郎シリーズ3「どちらかが彼女を殺した」あらすじ&感想
ネコ缶評価
思いがけない出会いがあり、いわゆる3高の彼氏が出来た園子。
幸せの絶頂にいた彼女だったが、いきなり別れを告げられる。
園子の親友・佳世子に心変わりしたとのことだった。
それから程なくして、なぜか園子は自宅で死体で見つかる。
第一発見者の兄・康正は警察官。
自殺で片付きそうだったが、康正は殺人と見抜き、自力で犯人を見つけると誓うが・・・。
最後の袋閉じに回答の手引きはあるのだが、そこにもやっぱり犯人は○○とは書かれていない。
少々ラストがごちゃごちゃしているが、読者が探偵役にトライする価値はある。
東野圭吾の「新しい構成にチャレンジ小説」第1段。
加賀恭一郎シリーズ4「悪意」あらすじ&感想
ネコ缶評価
人気作家・日高邦彦が、首を閉められて殺されていた。
程なくして、加賀恭一郎は犯人を捕まえるが、この犯人が、動機については全く口をわろうとしない。
「カッとなっただけです」とは言うが、それだけでは納得がいかない恭一郎。
犯人は捕まえたのだからと、捜査をやめようとする上司。
彼らを尻目に、加賀は粘り強い捜査をするが・・・・
「新しい構成にチャレンジ小説」第2段だ。
恭一郎が、教師を辞めたいきさつも書かれている
加賀恭一郎シリーズ5「私が彼を殺した」あらすじ&感想
ネコ缶評価
穂高誠は脚本家で小説家、そしてモテモテの会社社長でもあった。
そんな彼が結婚を決めた。
お相手は流行詩人の神林美和子。
だが挙式を明日に控えたその日、一方的に捨てた元カノ・準子が穂高の家で服毒自殺をする!
焦った穂高は、部下の駿河と一緒に死体を遺棄。
何事もなかったかのように式の当日を迎えるが・・
なんと今度は穂高が服毒死。
しかもその毒は、準子が飲んだものと同じだった。
いろいろな人から恨まれている穂高。
彼を殺したのは一体誰なのか?
「どちらかが彼女を殺した」よりも登場人物が増えて、より面白くなっている。
ピルケースの動きを、よーくメモしながら読んでいきや!
加賀恭一郎シリーズ6「嘘をもうひとつだけ」あらすじ&感想
ネコ缶評価
シリーズ唯一の短編小説。
この5つの話からなる。
- 嘘をもうひとつだけ
- 冷たい灼熱
- 第二の希望
- 狂った計算
- 友の助言
力作揃いの長編に比べると、少々物足りないかもしれない。
とはいえそこは東野圭吾。
1つ1つの話は読みやすく、よく出来ている。
加賀恭一郎シリーズ7「赤い指」あらすじ&感想
ネコ缶評価
サラリーマンの昭夫は帰宅して仰天した。
小学生の女の子が絞殺されて庭にいたのだ。
妻の八重子に聞くと、息子の直巳が殺したのだという。
警察に行くと直巳の人生がダメになるから、隠し通そうという八重子。
義母のことで八重子に頭が上がらない昭夫は、仕方なくその意見に従うが・・・・
トリック重視から、重いテーマ(家族の闇・原発・介護・犯罪隠蔽など)を含ませた物に変化していくのだ。
ここから恭一郎は、イトコの松宮修平と組み、難事件にあたるようになる。
かなり重い話なので、心して読もう
加賀恭一郎シリーズ8「新参者」あらすじ&感想
ネコ缶評価
練馬署から、日本橋署に移動になった加賀恭一郎。
ある日、この下町で殺人事件が起こる。
45歳の独身女性で、加賀と同じく、つい最近ここに来たばかりの「新参者」だった。
加賀は日本橋の小さな商店を1軒1軒聞き込みながら、その家庭の抱えた小さな問題も解決していく・・・
タイトルの付け方のうまさにうなる。
9つの、短編を思わせる短い話をつなげながら、少しずつ殺人事件の真相に迫っていく。
家族をテーマにしてはいるが、重苦しさはあまりなくて読みやすい。
ここから(ネコ缶が作った)「加賀恭一郎3部作」がスタートや。
加賀恭一郎シリーズ9「麒麟の翼」あらすじ&感想
ネコ缶評価
日本橋の麒麟の像に、もたれかかって刺し殺されている男が見つかった。
現場近くで不審人物・八島が見つかったが、逃げる途中で車にはねられ意識不明の重体に。
犯人は八島という事で、事件はこれで終わるかと思われた。
だが調べていくと、つじつまの合わないことや、妙な事がポロポロと出てくる。
八島を犯人にして事件を終わらせようとする上層部に、納得のいかない加賀恭一郎。
イトコの松宮とともに、日本橋を駆け回る・・・
松宮とがっちりコンビを組んで難事件に挑む。
「犯罪の隠蔽」がテーマの、ひたすら重い話。
だがラストで、加賀のまっすぐな気質が救いを感じさせる。
タイトルの意味が解ったとき泣けるで・・・。
加賀恭一郎シリーズ10「祈りの幕が下りる時」あらすじ&感想
ネコ缶評価
東京のとあるアパートで、1人の中年女性の死体が見つかった。
彼女は滋賀県の会社員。
彼女の働く老人ホームに迷い込んできた老婆が、同級生の母親に似ている・・・という事で確認のために上京してきたという女性だった。
だがなぜ彼女は、見知らぬ男のマンションで殺されているのか?
明治座にいた舞台演出家が、この女性に会っていた事は、事件と何か関係があるのか?
封印されていた加賀恭一郎の家庭問題も、この事件と同時に動き出す・・・
犯人の家庭問題が暴かれると同時に、加賀家の問題も決着がつく。
「罪の声」を思わせる泣ける話。
加賀恭一郎シリーズ11「あなたが誰かを殺した」あらすじ&感想
ネコ缶評価
8月の避暑地で起こった無差別殺人。
犯人はすぐに自首をしたのだが、犯行動機など詳しいことは一切黙秘をしていた。
真実が知りたいという遺族と共に、真相解明に乗り出した加賀。
だが真実が解ると共に鵜飼いびあがったのは、別荘にいた人物たちの隠された過去だった・・・。
加賀恭一郎シリーズの根底を流れてた家族の問題が払しょくされて、加賀の魅力と謎解きに焦点が集中してる。
人間の裏・・というドロドロしたもんはやっぱりあるけど、そこまでの重さは感じひんかな。
話は謎解きに集中してるし、案外読みやすいかも。
少々「舞台をお膳立てしすぎ」といった感じはあるけど、最後の特大どんでん返しで帳消しやな!
東野圭吾・加賀恭一郎シリーズ ネコ缶のおすすめはこちら
加賀恭一郎シリーズは、こう断言することが出来る。
どれを読んでもハズレなし
「東野圭吾」さんの作品の中には、たまに「うーん・・いまひとつ・・・」とうなるものもある。
だが、加賀恭一郎シリーズはどれも面白いのだ。
読み応えのある作品が好きなネコ缶は、その中からおすすめを紹介しようと思う。
ネコ缶おすすめの1冊はこれ
「新参者」
「麒麟の翼」「赤い指」「祈りの幕が下りるとき」も良いのだが、ちょっと精神的なダメージも大きい。
その点「新参者」は、家族を扱ったものだが重さが少ないのだ。
物語の前半は、家族の小さなトラブルを解決しながら進んでいくというハートウォーミングなところもある。
短編の形を取っていて読みやすく、大きなテーマを扱いながら何回でも読めるのだ。
この辺り、ドラマにもなった大きな長所だろう。
なのでネコ缶は、加賀恭一郎シリーズの中では「新参者」をおすすめする。
東野圭吾・加賀恭一郎シリーズの順番とおすすめ まとめ
長々とお読みいただきまして、ありがとうございました。
ではまとめます。
加賀恭一郎シリーズの順番はこれ!
- 卒業
- 眠りの森
- どちらかが彼女を殺した
- 悪意
- 私が彼を殺した
- 嘘をもうひとつだけ
- 赤い指
- 新参者
- 麒麟の翼
- 祈りの幕が下りるとき
- あなたが誰かを殺した
基本的にどこから読んでも話は解る。
でも、より面白く読みたい人は1からの順番を守った方が良い。
特に7から後は、必ず(7.8.9.10)で読もうな!
一番最初に読んでもええで~
最後に、ネコ缶のおすすめの1冊はこれ!
加賀恭一郎シリーズ、続きが楽しみやな!
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