最近、英国ミステリーにはまってる。
「そしてミランダを殺す」も、「自由研究には向かない殺人」もなかなか面白かった。
でもやっぱりトップはアンソニー・ホロヴィッツ!
→アンソニー・ホロヴィッツの作品はこちら
9月に入って、ホーソーンシリーズの3作目が出たと聞き、早速購入。
それが今回ご紹介するこちらだ。
「殺しへのライン」
映画でも本でも、3作目はどうしても期待値がマックスになる。
「殺しへのライン」はどうだったのか?
詳しくみていこう!
Contents
アンソニー・ホロヴィッツ「殺しへのライン」あらすじ
文学フェスのために、オルダニー島にやってきたホーソーンとアンソニー。
噂通り小さい島ではあった。
でも、景色の良い島で、のんびりできそうな、のどかな島だった。
ホーソーンもいつになく機嫌がよく、文学フェスの他の招待客にも愛想よくふるまってくれていたのだが・・・
なんとこの島で、初めて殺人事件が起こる。
被害者はオンラインカジノで大儲けをしている、チャールズ・ル・メジュラ―。
このフェスのスポンサーでもあり、オルダニー島に送電線を引こうとして、住人と対立している人物でもあった。
犯人は対立している住人なのか?
とっくに愛の無くなった妻か?
それとも、いわくありげなフェスの参加者たちの中に犯人が・・・?
殺人など起こったことのない島で、警察たちも慌てている隙に第2の殺人事件が起こる。
そしてここで出会った、ホーソーンの因縁の相手・・・。
3作目も好調に話は進む!
アンソニー・ホロヴィッツ「殺しへのライン」感想

島に招待される秘密を抱えた客たち。
そこで起こる連続殺人事件・・・。
となってくると、思い出すのはこの不朽の名作。
「そして誰もいなくなった」
作者のアンソニー・ホロビッツは、クリスティを敬愛している。
そしてそれは、作品のいたるところでこれまで見受けられた。
さて、ホーソーンシリーズ3作目「殺しへのライン」は、この2つが柱となって話は進む。
- 殺人事件
- ホーソーンの過去
ホーソーンは自分の事をかたくなに話そうとせず、アンソニーを困惑させてきた。
当然読者も、常にこう思ってる
・・・もしかして名前も本名じゃないとか?
ところどころで、ホーソーンがポロっと話してくれはするが、それが本当かどうかも謎。
と、こんな風にやきもきしていた皆さんに朗報だ。
今回の「殺しへのライン」は、今までになくホーソーンの過去に、かなりのウエイトが置かれた作品になっている。
「事件」と「ホーソーンの過去」この2つの見どころを中心にみていこう。
「殺しへのライン」みどころ1 殺人事件

「そして誰もいなくなった」に似ているとはいったが、そこまで次々人は死なない。
殺人は2つ起こるが、話の主軸となる殺人はチャールズ殺人事件のみ。
ここがちょっと「殺しへのライン」の残念なポイントでもある
チャールズ殺人事件は、シンプルに刺殺なのだが、4つミステリーポイントがある。
- 現場に2ユーロコインがおちていた(指紋はなし)
- チャールズは、手足が椅子に括りつけられていたが、右手だけフリー
- 血のついた携帯電話は別の場所にあった
- 鍵穴に紙がつめてあった
ヒントはこのポイントを2つずつに分けること。
ネタバレになるのでこれ以上は言えないが、この事件は犯人以外の人間も絡んでいる。
犯人だけがかかわったのではないと思うと、解きやすくなるかもしれない。
この4つのポイントは、ミステリーファンなら魅力を感じるだろう。
事件解決に向かうと同時に、フェスの参加者の過去や秘密が明らかになっていくのが「殺しへのライン」の面白さだ。
「殺しへのライン」みどころ2 ホーソーンの過去
ネコ缶的、実はこう思っている。
「ホーソーンの過去」が「殺しへのライン」のメインテーマ
ページもかなり割いているし、それくらい力が入っているのだ。
「殺しへのライン」を読むまでに、「メインテーマは殺人」「その裁きは死」を読んだ人はこの名前を覚えていないだろうか。
彼はホーソーンが警察官だったころ逮捕した、小児性愛者だ。
拘留中のデレク・アボットを、階段から突き落とした・・・という事で、ホーソーンは警察を首になったという因縁の相手でもある。
そのホーソーンの因縁の相手、デレク・アボットは、なんとオルダニー島に住んでいた。
そして、ホーソーンと一戦交えるのだ。
今回、ホーソーンがオルダニー島に妙に詳しく、主役のアンソニーをよそに、行くことに前向きだったことが書かれている。
「オルダニー島。あそこでこの8月に新しいフェスを開催しようとしていて、あなたがた2人にぜひ来てほしいんですって。」(略)
「(オルダニー島までは)サウサンプトンから直行便で40分だ」(略)
「おれはいい話だと思うね」(略)まさかこの男がこんな事を言うなんて!
「かねがね行ってみたいと思ってたんだ。」
「殺しへのライン」p31~32 編集あり
こうなってくると、こう思わないだろうか。
ホーソーンはもしかして、デレク・アボットがオルダニー島に住んでいるのを知っていた?
会いに行くために文学フェスに参加したのか?
でも・・・なんのために?
こんな事を考えるだけでも、ミステリーファンならワクワクするよな!
だが、それだけではない。
デレク・アボットは最後アンソニーに、超・意味深な一言を残すのだ。
目を思いっきり開いてしまう一言で、あなたは確実に4作目を買ってしまうだろう。
アンソニー・ホロヴィッツ「殺しへのライン」まとめ

ネコ缶評価
人物の背景や感情の描写は丁寧になされていたが、前2作と比べると少々パワーダウン気味かも。
トリックと動機も、この作者にしては珍しく少々無理を感じる。
そして何より第2の殺人事件を、殆ど取り上げていないのは良くない。
とはいえ、人物像や感情の丁寧な描写は今までにない取り組み。
これからまだまだ続くであろうホーソーンシリーズの、「ホーソーンの過去編」という事で納得しておこう。
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・奇妙な2人組はまだまだ行く!⇒「ダニエル・ホーソーン」シリーズはこちらから
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