東野圭吾さんの本は面白い。
が、時としてメンタルに大きなダメージを受ける内容がある。
子供がかわいそうなのは良くない。
松本清張さんよりはマシやけど・・・・
人の心理を、大きくえぐる描写が得意な東野圭吾さんだからこそ面白いのは確か。
でもその反面、それが大きいと苦しくなるんやな。
今回ご紹介する「赤い指」もそのうちの1冊だ。
ミステリーというより、「家族のありかた」を大きく考えさせてくれる1冊だ。
詳しくみていこう！
Contents
東野圭吾（加賀恭一郎シリーズ）「赤い指」あらすじ
妻・八重子から、昭夫の元に電話がかかってきた。
とんでもないことになったのよ
同居している母・政恵の身に何かあったのかと、急いで会社から帰った昭夫。
だが家の中には、7歳ぐらいの女の子の絞殺死体があったのだ！
八重子を問い詰めると、中学生の息子・直巳が絞殺したのだという。
警察を呼ぼうとする昭夫に、八重子はこう叫んだ。
なんとか・・・隠し通しましょう！
八重子の狂気じみた様子に何も言い返せず、言いなりになってしまう昭夫。
それは今まで家族の事に、何一つかかわってこなかった報いでもあった・・・。
しのびよる警察の捜査。
前原家の抱えていた問題が、すべて清算の時を迎える・・・。
東野圭吾（加賀恭一郎シリーズ）「赤い指」感想
キツイ。
同じく息子を1人もつネコ缶、しかも認知症の義両親（と実の父親）を持つというところまで同じ
（同居はしていないが）
コロンボ風の展開を見せるミステリーの顛末よりも、この設定と登場人物の心情や、やり取りが苦しいくらいだった。
「赤い指」には・前原家と加賀家（恭一郎の家）の、2つの家庭が出てくる。
この2つの家庭に焦点をあててみていこう。
「赤い指」感想 前原家について
前原家のメンバーをご紹介しよう。
どこにでもいる普通の家族設定。
だが前原家はこれだけの問題を抱えていた
- 嫁・姑の仲がとにかく悪い
- 引きこもり気味の息子
- 祖母が認知症気味？
問題を抱えていない家族など世界中どこにもない。
だが前原家の場合、おとっつあんの昭夫が、とにかくどうしようもないのだ。
昭夫と言う男「家族をかまえるにあたっての覚悟や心がまえ」がまるで出来てへんのや。
なんとなくお見合いして、嫌じゃない、断る理由もない（かといってこの人がいいという積極的な感情もない）ということでそのまま結婚。
奥さんと真剣に向き合う事もなく、お金の管理や子育てをどんな風にするか、親をどうするかなどの話も、特にしないままなんとなく一緒にいる。
家族で問題（嫁姑問題）が起これば逃げ、先送り。
そしてあろうことか、問題から逃げるように浮気。
子供に何かあれば、子供を怒るだけで終わらせ、何も言わないイコール問題が解決したと思い込む・・・・
何だコイツと思うが、ひと昔前の男の人は、たいがいそうだったのかもしれない
でも問題を抱えた直巳君からみたら、本当にどうしようもなく、頼りにならないお父さんだったろう。
そんな昭夫が、初めて八重子にしっかりしたところを見せてくれたのが、この事件が起こった時というのが皮肉なことだ。
終盤、この前原夫妻が考え出した「直巳を守るための苦肉の策」というのが本当に怖い。
ラストのどんでん返しで救われはするが、同じ母親として本当に悲しくなった顛末だった。
「赤い指」感想 加賀家について
では次に、加賀家のメンバーをみていこう。
加賀隆正は元刑事。
激務のため家族を顧みることはなかった。
そのせいで恭一路の母は失踪。
そのことを恭一郎は恨んでおり、父との仲は良くない・・・。
ここに、今回初めて恭一郎のいとこなる人物・松宮脩平が登場する。
脩平は加賀の父・隆正の妹・克子（この人も初登場）の息子で、隆正を慕いたびたびお見舞いに来るのだ。
その一方、恭一郎はまったく隆正に会いに来ない。
年の離れたいとこ・恭一郎をしたいつつ、彼を冷たいと思う脩平・・・・。
そしてひょんなことから、この従兄弟同士がペアを組んで、前原家が起こした事件を捜査していく。
そこで脩平は従兄弟・恭一郎の刑事としての優秀さを目の当たりにしながら、加賀親子の隠されたつながりを知っていくのだ。
という人はどこにでもいるが、そういう人は加賀家の2人を見て欲しいと思ってしまうラストだった。
東野圭吾（加賀恭一郎シリーズ）「赤い指」まとめ
ネコ缶評価
加賀の優秀さが随所に現れていたが、どちらかと言うとそれはおまけ。
今回のテーマは「家族」。
前原家を見てネコ缶はこう思う。
そして加賀家を見て、ネコ缶はこう思うのだ。
恭一郎シリーズを全巻読破しようと思う人は、この「赤い指」を必ず読んでおこう。
加賀恭一郎に興味を持った方はこちら⇒「ガリレオ」だけじゃない東野圭吾のキャラ「加賀恭一郎シリーズ！
