館シリーズは第一期があるそうだ。
(綾辻さん曰く)
第一期はこちら。
「十角館の殺人」
「水車館の殺人」
「迷路館の殺人」
「人形館の殺人」
「時計館の殺人」
今回ご紹介する「時計館の殺人」は、その第一期のラストという事になる。
第一期フィナーレを飾るにふさわしい大作。
どんな内容やろうか?さっそく見ていこう。
Contents
綾辻行人(館シリーズ)「時計館の殺人」あらすじ
十角館の事件から3年の月日は流れ、江南孝明は雑誌「CHAOS」で働く社会人となっていた。
そんな折、江南は、しばらく疎遠になっていた島田と、久しぶりに再会。
談笑の後、江南は、CHAOSの企画「時計屋敷の亡霊に挑む」の話をする。
霊能者・光明寺美琴、CHAOSスタッフ、W※※大学のミステリー研究会の学生、合計10人で、時計屋敷の霊と交流をはかるという企画だ。
だがその企画の舞台、時計屋敷は、中村青司が設計したという・・・。
何かありそうな予感を感じる2人。
企画も始まり、時計館に入った10人。
早速その夜行った、交霊会中に霊の兆しを確認。
上手くいきすぎといぶかりながらも、幸先のよさに沸き立つメンバーたち。
しかしその翌日、なぜか霊能力者・光明寺が死体で発見された!
同時に時計館から出られる鍵もなくなっており、なんと10人は時計館に閉じ込められてしまう・・・。
そこから始まる、時計館の連続無差別殺人事件。
犯人の狙いは一体何なのか?
島田は間に合うのか?
時計館に秘められた10年前の悲しい過去・残された奇妙な詩は、どう事件に絡むのか・・・。
綾辻行人(館シリーズ)「時計館の殺人」感想
懐かしい名前が出てきて、嬉しくなる人も多いだろう。
なんせ「十角館の殺人」で、登場した江南くんが、今回は社会人として、また出てくれるのだ。
十角館の殺人詳しくはこちらから
それだけでなく、これまでぶらぶらしていた島田さんが、「ミステリー作家」という肩書を持って登場。
しかも「迷路館の殺人」で出てきた「鹿谷門実」というペンネームを使ってるんやで。
迷路館の殺人詳しくはこちらから
そんな新しい局面を見せてくれた、「時計館の殺人」の読みこなしポイント、詳しくみていこう。
「時計館の殺人」読みこなしポイント1 二手に別れて真相に迫る。
と、館シリーズファンなら思うよな?
でも残念。
この2人が絡む場面は、最初と最後のみだ。
江南くんは雑誌編集者として、時計館の旧館の中に入る。
だが島田氏は関係者でもないので、門前払い・・・。
なので島田氏は、都合で企画に参加できなかったW※※大学の学生の1人・福西君と行動を共にする。
2つの話の見どころをざっと見ていこう。
「新館・島田」編
一度は門前払いされたが、ミステリー小説好きな家政婦のおかげで、なんとか潜入に成功。
その後、家政婦から時計館の主・故古峨倫典氏の話を聞く。
倫典の娘の10年前の悲しい話、そして古峨氏が残した、謎めいた詩・・・。
2人は時計塔にも登り、時計館を引き継いだ由希弥という少年や、故古峨氏の古い友人とも会う。
そしてとあることがきっかけで、犯人を突き止めるのだ。
ここまでで書くのはやめておくが、島田&福西君ペアは、時計館の謎に外側から迫っていくような印象を受ける。
「旧館・江南」編
江南くんは時計館の旧館で、殺人事件に巻き込まれながらも、懸命に犯人の殺人動機を探る。
こちらでも、10年前のあることがきっかけで、犯人は現在殺人を犯しているらしい・・・という事がおぼろげながら解ってくる。
だが旧館は、閉じ込められた空間で、次々人が殺されていくという極限状態。
そしてなぜか、時計がすべて壊されてしまい、いまは何時なのかも解らない・・・。
旧館バージョンは、ハラハラドキドキしながら、読み進めること必至だ。
ちなみこの2人の行動は、目次で分けて書いてあるから、解りやすいので安心してほしい。
ラストで書かれる謎解きは、78ページもあって、圧倒される。心して読もう!
「時計館の殺人」読みこなしポイント3 館のトリックがレベルアップ
館シリーズの大きな特徴と言えばこれだろう
モチロン今回も、このトリックが使用されているのは言うまでもない。
だから今回のように、密室(旧館)で殺人事件が起こっても、今までのいきさつを知っている読者であれば、こう思える。
こんな感じで見当がつくので、ある意味落ち着いて読み進められる。
だが、今回の館に仕掛けられた謎は抜け道だけやない。
中村青司は、建築家というより、からくり館の専門家と言いたくなるわ・・・。
今までにない壮大なトリックなので、ラストを期待して読んでほしい。
綾辻行人(館シリーズ)「時計館の殺人」まとめ
ネコ缶評価
ボリュームも内容も文句なし。
凝りに凝った内容だ。
ちなみに今回は、めったやたらと人が死ぬ。
やむにやまれない殺人も入っているが、ミステリー慣れしていない人は、気を落ち着けて読んでいこう。
本で床が抜けそうになっている方・人に見られたくない本が欲しい方はこちら!⇒読書好きを救うもの!それは「キンドルペーパーホワイト」