青柳碧人

青柳碧人「むかしむかしあるところに(やっぱり)死体がありました」第2段もやっぱり面白い!

以前、昔話を殺人事件を合わせた珍しいミステリーをご紹介した。

「むかしむかしあるところに死体がありました」詳しくはこちら

面白おかしく書いただけだろうと思いきや、トリックも本格的で本屋大賞を受賞したかなりの力作。

今回、そのキワモノミステリーの2段が出たと聞いて、かなりワクワクしながら読んだ。

むかしむかしあるところにやっぱり死体がありました
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ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
表紙の絵も決まってるな!

さて「昔話殺人」(そんなジャンルあるのか?)の第2段の感想は?

詳しくみていこう!

青柳碧人「むかしむかしあるところに(やっぱり)死体がありました」あらすじ&感想

「むかしむかしあるところに(やっぱり)死体がありました」は、この話からなる。

  1. 竹取探偵物語
  2. 七回目のおむすびころりん
  3. わらしべ多重殺人
  4. 真相・猿蟹合戦
  5. 猿六とぶんぶく交換殺人

今回も前回同様、昔話と事件を合わせた話なのだが、今回のほうがよりトリックが本格的になっている。

内容を詳しくみていこう。

竹取探偵物語

堤重直は、竹を取っていろいろなものを作る竹取の翁。
今日もまた、都勤めの時に知り合った男・有坂泰比良と森へ行く。

いつもと変わらない日だったが、なんとその日は一部が光る竹を見つける。

恐る恐る切ってみると、そこにはなんと小さな女の子が・・・・。

女の子はかぐやと名付け、有坂と育てることにした重直。

月日は流れ、美しく成長したかぐやにも求婚者が現れた。

かぐやは無理難題を出し、片っ端から縁談を断っていく。

だがそんなある日、有坂が何者かに殺されているのが発見され・・・・

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
かぐや姫の求めた珍品を、凶器と設定しているところが、「むかしむかし~」の真骨頂。

ありえない殺人事件のトリックだが、ここでは十分有効だ。
本家本元のおとぎ話との、話のズラシ加減が最高にうまい。

ただ泰比良が気の毒やなあ・・・

七回目のおむすびころりん

ある日、米八という正直で優しいおじいさんが、おにぎりをネズミの巣穴に落としてしまった。

おにぎりを追いかけて一緒に落ちたおじいさんは、ねずみと一緒に大宴会。

宴の後で、米八さんは金銀財宝を生む袋をもらい大喜び。

その袋がうらやましくて仕方がない、いじわるじいさんの惣七。

真似をしてその穴におにぎりをころがし、自分も落ちることに。
ネズミと一緒に宴会をした惣七じいさん。

宴会も終わるころ、どこかで釣鐘が落ちた。

その音を聞いたとたん、惣七祖父さんは穴に落ちる直前の時間と場所に戻り・・・?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
「恋はデジャ・ヴ」という映画を思い出す設定。

トリックが少々解りにくいが、焦りまくる惣七じいさんが、意地悪じいさんから探偵じいさんにメタモルフォーゼしていくさまは笑う。

わらしべ多重殺人

半太という名の貧しい男は、ある日夢を見る。
観音様の夢で、彼女はこういった。

観音様 
観音様 
ここを出て手にしたものをほかの何かと交換していくと、お前に幸運が起こる 

半信半疑ながらも言われた通りにした半太は、お告げ通りに大金持ちに。

そして自分の稀有な体験談を人に聞かせたいと人を呼び、また、人からも聞きたいと会を催すようになった。

そんな中、とある男がこんな話を持ってきて半太に聞かせる。

 
 
1人の男が、別々の場所で、3人の人間に殺されたのですよ・・・ 

だが、この話を聞いた半太は何故か落ち着かなくなり・・・。

さてこの話のからくりは?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
タイトルにまずひきつけられる。

多面的な話で、少々まとまりを欠き戸惑うが、話が半太に絞られてくると安定する。
(とはいえ、庄兵衛の死の偽装には少々無理があるのでは?)

本家のおとぎ話にもあった、絹の反物が大きなカギを握る。

真相・猿蟹合戦

たぬきの茶々丸は、猿の栃丸に交換殺人を持ちかけられる。

栃丸は「猿蟹合戦」で殺された猿の息子だったのだ。

そして茶々丸は、「かちかち山」で、うさぎの勘太に殺されたたぬきの弟。

優しい兄の仇をうちたい茶々丸は、栃丸から「猿蟹合戦」の真相を聞きだす。

そして栃丸はこうも言った。

栃丸 
栃丸 
事件の真相を聞いたら俺が殺してほしいと思っている人物は一体だれかを当てろ。

でなければ交換殺人は他の誰かと組む 

どうしても勘太を殺してほしい茶々丸は、栃丸の課題を受けることに・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
かなり力の入った作品。
フツーの猿蟹合戦話を、ここまで膨らませたイマジネーション能力に、とにかく脱帽。

ラストが尻切れトンボになっているが、次の作品との連作なので慌てないようにしよう。

猿六とぶんぶく交換殺人

大悪党の南天丸は、悪知恵を駆使してうまく立ち回る天才。

大きな罪を犯したが、猿界の親分・猩々翁の元にかくまわれていた。

だが猿酒祭りの次の朝・・・・。

なんと南天丸は、かくまわれた先の家で他殺死体で見つかる。

南天丸の住処の周りは「もどろ池」という底なし沼。

泳ぐことも不可能で、だれも忍び込めない。

南天丸の敵は多いが、「自然の要塞」に囲まれた南天丸の住処に、一体誰がどうやって忍び込んだのか?
そしてどうやって逃げたのか?

「真相・猿蟹合戦」の続きの作品。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
交換殺人でもあり、密室殺人でもある。

結構本格的な密室で、鮎川哲也さんの「憎悪の化石」を思い出すほどだ。

とはいえこのトリックは、やはり「むかしむかし~」でないと成立しないのがミソ。

全くハッピーエンドではない幕切れが切ない

青柳碧人「むかしむかしあるところに(やっぱり)死体がありました」まとめ

ネコ缶評価

ラストに救いがないシュールな話が多い(殺人事件が絡むから仕方ないけど)。

前作に比べると、ユーモアやファンタジー性が薄れ、かなり本格的なミステリーになっている。

面白ものではなく、本格派と思って読んだ方がええで!

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
個人的には「猿蟹合戦」をテーマにした2つの話がおススメや 

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