昔話を題材とした、青柳碧人さんの少々風変わりなミステリーを読み続けている。
それって何？と言う方はこちら⇒青柳碧人さんの昔話ミステリーシリーズ
私以外にも面白いと感じた人がいたのだろう。
続きに続いて、今回ご紹介する「赤ずきんピノキオ拾って死体と出会う」で、シリーズ4作目だ。
前回と同じく、赤ずきんちゃんを探偵とした短編ミステリー。
そして赤ずきんの、このキメセリフは今回も健在だ。
さて今回、彼女の推理の冴えはどうなのだろうか？
詳しくみていこう！
Contents
青柳碧人「赤ずきんピノキオ拾って死体と出会う」 あらすじ 感想
「赤ずきんピノキオ拾って死体と出会う」も前作同様、主人公（赤ずきん）を同じくした短編集で、この話からなる。
- 目撃者は木偶の坊
- 女たちの毒リンゴ
- ハーメルンの最終審判
- なかよし子豚の３つの密室
そして今回はミステリーだけでなく、このテーマもあるのだ。
このテーマのおかげで、短編集ではありながら、今までにない深みを持つ作品となっているのは確実だ。
１つ１つの話を詳しくみていこう。
目撃者は木偶の坊 あらすじ・感想
赤ずきんはおじさんの家に途中、しゃべる狐と二匹の猫、袋の中に入れられている木の人形と出会う。
何事もなくすれ違うはずだったが、その人形は右手を落としていた。
狐もネコもそのことに気づいておらず、届けようとした赤ずきんは、ランベルソという町まで追いかけてい行く。
そこで赤ずきんは、なんと殺人事件の容疑者になってしまい・・・・
青柳碧人さんの世界がさく裂だ。
ベルばらのジェローデルを思わせる、ユニークな貴族の男性は、また後から出るので覚えておこう
女たちの毒リンゴ あらすじ・感想
おちこぼれ魔女のキルべヒルべは、一流の魔女になることをあきらめる。
だが彼女は持ち前の美貌を生かし、シングルマザーながら、王国の王妃の座をゲット。
幸せで豊かな生活を手に入れる。
王の死後は、自分のような貧困に苦しむシングルマザーの支援をしようと乗り出す。
だがそこに義理の娘の「白雪姫」が立ちはだかった。
キルべヒルべは自分の野望の為に、白雪姫を暗殺しようとするが・・・。
継母は結構いいことをやろうとしたのに、短絡的な事に走ってしまったのは残念。
ラスト、白雪姫は、継母と同じような道をたどるのだろうか・・・。
ハーメルンの最終審判 あらすじ・感想
ピノキオの体を探すため、ハーメルンの町に来た赤ずきんたち。
ここは音楽の好きな街で、間近に控えた音楽フェスで盛り上がっていた。
にぎやかで楽しい町だったが、ここは昔大きな事件があった。
増えてしまったネズミの駆除を笛でやってのけた男がいたが、お金を惜しみ報酬を支払わなかった。
すると怒ったその男が、笛で子供を呼びよせ行方不明にしてしまったのだ。
男は結局逮捕され、40年以上たった今も牢屋にいるという。
だた音楽フェスの前日、その牢屋の番人が死体でみつかり、牢屋も空っぽだった・・・。
男はどうやって牢屋を抜け出し、どこへ逃げたのか？
会話のあちこちに伏線がかなり張られているので、気を付けて読もう。
長い年月をかけた、かなり悲しい話。
マーサがその後どうなったのか、気になるところだ。
この話と、次の最後の話はゆるーくつながってる。
なかよし子豚の３つの密室 あらすじ・感想
マイケル、アンドレ、パトリックは子豚3兄弟。
オオカミを倒した後、魔女が持つという銀のネックレスを偶然手に入れる。
そしてこのネックレスで魔女を脅し、100年続く若さを手に入れ、人間を豚に変えて働かせる権力も手に入れる。
その後3匹を頂点にした王国をつくり、巨万の富を得た。
だがある時、長兄のマイケルが不審な死を遂げる。
マイケルは内側から鍵のかかった部屋で死んでおり、事故かと思われたが・・・。
前作「少女よ、野望のマッチを灯せ」によく似た、野心と栄光そして転落の物語。
（リアルな世界でもよくある話）
ラストはどんでん返しも用意されていて、なかなかに悲惨。
ゆきすぎの野望はやっぱり危険という事か
「少女よ野望のマッチを灯せ」詳しくはこちら⇒「赤ずきん旅の途中で死体と出会う」
青柳碧人「赤ずきんピノキオ拾って死体と出会う」 まとめ
ネコ缶評価
テーマの設定のおかげで、シリーズ中、一番読み応えがある作品になった。
だがおとぎ話をメインに据えないといけない為、トリックが奇想天外になるところや、短編の中に沢山の伏線を張ったおかげで、鼻に突くところもあった。
だがそこに、人間の世界でもあるような世知辛さをピリッと効かせたのが、このシリーズの良さ。
5作目は赤ずきんが登場しないようだが、またこのシリーズを読み続けようと思う。
昔話をネタにした、ミステリーシリーズが詳しく知りたい方はこちら⇒青柳碧人さん
