ネコ缶は最近すっかりオーディブルにはまっているが、気が付いたことがある。
「活字より、オーディブルに最適」
・・・という作品があるのだ。
まず時代劇など、登場人物の名前を読むのが難しい作品などが挙げられる。
だがネコ缶が、オーディブルに最も向いている!と、気づいた作品は今回ご紹介するこれだ。
「犯人に告ぐ2」
前回の「犯人に告ぐ」も臨場感たっぷりだったが、今回はさらにパワーアップ。
⇒前作「犯人に告ぐ」詳しくはこちら
特にラストの逃走劇などはとてもドラマチック。
今そこで規制線が引かれ、サイレンが鳴っているような感覚に陥ったほどだ。
そんなハラハラドキドキな「犯人に告ぐ2」、詳しくみていこう!
Contents
雫井修介「犯人に告ぐ2」あらすじ
大学生の知樹は就職に失敗した。
大手の和菓子メーカー「ミナト堂」に内定はしていたのだが、この会社の不祥事で事実上取り消されたのだ。
そこから知樹の転落は始まった。
いったん新卒のカードを切りそこなった人間に、良い就職先にありつくことは難しい。
あれよあれよという間に、弟・健春と共に振り込め詐欺グループの仲間に入ってしまう。
そこで出会った天才詐欺師の淡野。
彼に「前人未踏の誘拐計画」に誘われるが・・・。
警察と被害者、警察と容疑者、容疑者と被害者の騙し合いが始まった!
雫井修介「犯人に告ぐ2」感想
今回は前回と違い、犯人側のエピソードがかなり書かれている。
それは巻島・警察の動きのエピソードと交互に書かれているので、舞台を表と裏から見ているようだ。
展開の仕方が飽きさせない「犯人に告ぐ2」。
沢山ある見どころをみていこう
「犯人に告ぐ2」見どころ1 相変わらずのおっちょこちょいキャラの奮闘
巻島は前回の事件の手柄により一定の地位を築く。
そして、さらなるチーム強化の為に、人員を強化していくのだ。
ますます優秀な人物がそろったチーム・巻島。
前作を読まれた方ならこう思うだろう
ところがどっこい、強運のカツオ君はいろいろあってチーム・巻島内にとどまるのだ。
しかも今回は、彼になんと相棒がつく。
その女性の名は小石あゆみ 。
心配症なキャラで、いつもオロオロと「どうしましょうか~」とばかり言っている。
と読者はハラハラするだろう。
結論から言うとこの女性のおかげで事件解決になるのだが、ネコ缶この「ちょっと不安な部下」の活躍で一気に事件が動き出すという展開は嫌いではない。
3もこのコンビが良い仕事をしてくれることを期待する
「犯人に告ぐ2」見どころ2 完璧な計画
今回も前回同様、誘拐がメインだ。
が、前回と大きく違うのはここだ。
誘拐計画がとにかく「美しい」事。
数学マニアが数式を美しいと言う感覚だろうか
天才詐欺師・淡野が建てた誘拐計画は、斬新で無駄がなく完璧。
危ない橋を渡らなくて済むどころか、誘拐があったとは気づかれない可能性もあるくらいなのだ。
グリコ・森永犯もびっくりやで
⇒グリコ・森永事件詳しくはこちら
⇒この事件を元にしたと思われる「罪の声」詳しくはこちら
天才詐欺師と淡野は書かれていたが、詐欺師と言うより天才犯罪者だろう。
お金目的でやっているわけでは無く、こうした犯罪を企てて成功させることを楽しんでいる。
そして自分の身を守ることも忘れないし、常にクール。
感情に流されたりもしない。
犯罪でなくても、間違いなく何かで成功するタイプだろう。
結論から言うと、淡野は2では捕まらず、3に持ち越される形になった。
2を読んだ人は、巻島と淡野の対決を楽しみに3を読む事は必至やで!
「犯人に告ぐ2」見どころ3 犯人側に肩入れする内容
たしかに面白い作品だったのだが、少々胸が苦しくなった。
前回同様、子供が誘拐される作品なのだが、胸が苦しくなったのはそこではない。
犯人の和樹にすっかり同情してしまったのだ。
そんなに悪い青年ではない。
むしろ知性すら感じる。
だが「内定取り消し」という、大卒就職のレールが外れたのを皮切りに、ズルズルと振り込め詐欺グループに。
もちろんこんな境遇すべての人がみんな転落をするわけでは無い。
内定を取り消されたからと言って、こんな事をしていい訳でもない。
だが日本の就職システムは、こんな闇を抱えている。
「新卒で就職できなかった人間は、その後良い就職に恵まれにくい」
このシステムに常々疑問を持っているネコ缶は、和樹の苦悩に共感してしまったのだ。
挙句の果てにネコ缶は、こんなことも考えた。
この犯罪を最後に、元手はあるのだから2人でまともな仕事をしてはくれまいか・・・
もちろんそれは、当然叶わぬことだったけど・・・。
調べてみると、似たような感想を持った人は多かった。
息子のいる女性の方などは要注意やで
雫井修介「犯人に告ぐ2」まとめ
ネコ缶評価
「rest in peace(安らかに眠れ)」という、犯人の好きな言葉が非常にうまく使われている。
この言葉によって和樹は危ないところを助かり、また自らの絶望を自覚する。
そして最後、巻島は犯人に「お前はそれまでふるえて眠れ」とうまくこの言葉を使って切り返すのだ。
巻島が思ったより出てこなかったこと、辻チョウもチーム・巻島から外れた事がマイナス1(ぐすん)。
だけど巻島の終盤のキメ方で挽回できたかな。
読む(聴く)のに結構なパワーの要る作品なので、しっかり体力着けて読もう(聴こう)!
まだ1を読んでない人はこちら!⇒「犯人に告ぐ」シリーズ