深刻で本格的なミステリーもいいが、ユーモアミステリーもホッとする。
そんなユーモアミステリーに新しい境地を開いてくれたのがこちら
なんと昔話とミステリーを融合させたものなのだ。
そして今回ご紹介するのは、その第3段のこちら。
「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う」
![](https://m.media-amazon.com/images/I/51nedN7pc+L._SY344_BO1,204,203,200_.jpg)
今回は前2作と少し趣向が変わっている。
さてどんな仕上がりになっているのか?
詳しくみていこう
Contents
青柳碧人「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う」 あらすじ、感想
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「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う」は、この4作からなる。
- ガラスの靴の共犯者
- 甘い密室の崩壊
- 眠れる森の秘密たち
- 少女よ、野望のマッチを灯せ
今回は前2作と違い、海外バージョンだ。
登場人物の名前もドイツ人っぽいものが多く、舞台はヨーロッパを思わせる。
そして何より前2作と違うところはここ。
4作全てで、あかずきんちゃんが探偵をやっている。
赤ずきん探偵は本当にいたのでは?と思わせるくらいだ
詳しく内容をみていこう
ガラスの靴の共犯者 あらすじ・感想
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赤ずきんはおばあさんの所に行く途中、シンデレラに会い、一緒に魔法をかけられて舞踏会に行くことになった。
ドレスアップをし、ガラスの靴をはいて馬車の中ではしゃぐ2人。
だがその時、馬車にガクンと衝撃が走る。
なんと、舞踏会に行く途中に、人をひいて死なせてしまったというのだ!
慌てる赤ずきんに対し、なぜかやたらと冷静なシンデレラ。
死体を隠し、ヒヤヒヤしながらも舞踏会に行き何事もなかったかのように踊る2人。
このまま逃げ切れるかと思ったところ・・・・
会場に王様の無情な声が響く。
先ほど森の中で死体が見つかった!
今から参加者の馬車を調べる!
真っ青になる2人・・・。
このまま2人は逃げ切れるのか?
シンデレラと赤ずきんが一緒に舞踏会に行くだけでもスゴイ。
王子様の取り合いかと思いきや、2人してひき逃げ容疑者なんて想像もつかない展開だ。
ただ少々後半がバタバタしたのが惜しい。
お姉さんを、前半にもっと登場させた方がよかったかも。
甘い密室の崩壊 あらすじ・感想
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魔女を倒したヘンゼルとグレーテル。
このついでに、意地悪な継母もやっつけようと画策する。
帰宅後、お菓子の家に金貨があると継母を呼び出す。
そして2人のしかけた罠にはまり、食器棚の下敷きになり圧死・・・・。
意気揚々と帰宅した2人だが、その日の夜におかしなお客が来る
一晩泊めてもらえませんか
家族のぎこちなさが気になりつつも、そのまま一緒に夕食を摂り泊まることになった赤ずきん。
いつまでも帰ってこない義母を心配し、皆で一緒に探しに行くことになったが・・・・。
普通の建物だとこのトリックは絶対に使えないところがヨシ。
ヘンゼルとグレーテルの関係は、今でもカップルでありそうな気持の悪さと哀れさがある(涙)
「眠れる森の秘密たち あらすじ・感想
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森の中で機械仕掛けの車いすに乗ったお祖父さんを助けたお礼に、家に泊めてもらえることになった赤ずきん。
このお祖父さんは、この王国の宰相・キッセン。
ごちそうを食べて眠りについた赤ずきんだったが、なんと広場で火事と殺人事件が起こる。
おまけにこの国で40年前から眠り続けているという、オーロラ姫までもが行方不明になった!
放火犯は誰なのか?
それよりもずっと寝ているオーロラ姫は、どうやって塔を抜け出したのか?
そしてキッセンと、その家族たちにも秘密が隠されていて・・・・
でもこのトリック成立のために、かなりの不随事項が発生している。
そのため、話がかなりややこしくなってしまったのが残念
少女よ、野望のマッチを灯せ あらすじ・感想
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親戚のガルヘンが経営するマッチ工場の隅で、寝起きさせてもらっている貧しい少女エレン。
お金!お金!お金よ‼
・・・と思ったエレンは、とんでもない行動に出る。
なんとマッチ工場の社長の家を放火したのだ!
哀れ、ガルヘン社長は焼死。
ガルヘンには子供がおらず、遠い親戚のエレンが全財産を相続することになる。
一気にお金持ちになったエレン。
その資金を元に、粗悪だったガルヘンのマッチを改良し、もっとお金を手に入れる。
そしてどんどんマッチの販路を広げ、富を拡大していくエレン。
ライバル社に負けまいと、その時にマッチにとある秘策を加える・・・・
そんな中、赤ずきんがエレンに面会を申し出る。
赤ずきんが旅をしていたのはエレンに会うためだというが、その目的は・・・・?
メインは、エレンがのし上がっていき、そして破滅していく事。
そしてマッチ依存症のようになる人間の弱さ。
このプロセスやラストは、今でも本当によくあることなので、なんとも切ない。
赤ずきんが旅をしていた理由にびっくりするが、それなりの伏線は「甘い密室の誘惑」にもあるのがお見事
「青柳碧人「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う」あらすじ、感想、ネタバレ まとめ
![](https://m.media-amazon.com/images/I/51nedN7pc+L._SY344_BO1,204,203,200_.jpg)
ネコ缶評価
いつものようにトリック+昔話(海外場バージョン)の流れで、とても読みやすい。
最近イギリスの重めミステリーばかり読んでいた、ネコ缶の清涼剤となってくれたのは間違いない。
ただ少々詰め込みすぎな話もある。
60ページくらいのところに、やたらと登場人物がいたり、無理な設定もある。
とはいえ最終章のエレンの破滅パターンや、ヘンゼルとグレーテルのおぞましい関係は、現在も通用するところがあり圧巻。
2023年2月の段階で、4作目も出ている。
![](https://m.media-amazon.com/images/I/51+4QC7Z6wL._SY344_BO1,204,203,200_.jpg)
絶対読むで!
青柳碧人さんのシリーズがもっと知りたい方はこちら⇒昔話ミステリーシリーズはこちらから