先日「46番目の密室」を読んだ
で、ふとこんなことを考えた。
その「あれ」が今回ご紹介するこちら
「朱の絶筆」
出版が1976年だから、今からもう50年近く前の本格ミステリーだ。
スマホもパソコンも出てこない。
急ぎの連絡は電話。
それでも面白いと思わせるのが、鮎川哲也さんや!
若い人には「古典」になるかもしれんが、早速みていこう
Contents
鮎川哲也「朱の絶筆」 あらすじ
篠崎豪輔は超売れっ子作家。
放送作家から小説家に転身。
見事に大成功してからは軽井沢に豪邸を構えるまでになった。
だが篠崎は、傲慢で人を人と思わない所が多々あり、様々な人間から恨みを買っていた。
とはいえ成功した人物の気まぐれか、軽井沢の大豪邸には気軽に編集者や若い人たちを招待する面も。
今回、軽井沢に来ている7人もそんな招待客。
だが当然、何人かは豪輔によからぬ気持ちを持つものもいる。
何があってもおかしくない・・・と思っていた矢先、篠崎が書斎で殺されているのが発見された!
だがそれは、これから始まる連続殺人事件の幕開けだった・・
日本のポアロ、星影龍三がまたまた登場!
鮎川哲也「朱の絶筆」感想
まず思うのがこれ。
篠崎豪輔、クズやん”(-“”-)”
才能はあるのだろうが、あまりにもクズ。
やることが陰険すぎ。
軽井沢に行く登場人物7人のエピソードが、それぞれ最初に出るが、そのうち5人の話でそう思う人は多いはず。
「46番目の密室」でも、登場人物それぞれが、それなりに巨匠に屈託があった。
でも、それに比べると「朱の絶筆」の豪輔エピソードはえぐい。
うえに登場人物のキャラが濃い。
そんな「朱の絶筆」の見どころを、キャラの面からみていこう。
「朱の絶筆」みどころ1 超濃厚なキャラたち
7人の招待客と、編集者に秘書、刑事に女中とたくさんの登場人物が出るが、不思議と混乱しない。
それは、キャラの濃さに助けられているところが多いのだろう。
ちょっと挙げておこう
(軽井沢に来たお客と、豪輔とのエピソード)
- 並江千恵子・・豪輔に不倫した挙句、捨てられた元主婦
- 田辺義夫・・豪輔の原稿をなくしたばっかりに、思い切り左遷された元編集者
- 井上精ニ・・豪輔のファン
- めぐみ・・元デパートの売り子、豪輔にふられる
- 園田団平・・自称「随筆家」豪輔の同級生
- 松原虹子・・挿絵画家 豪輔にふられる
- 藤岡権九郎・・カメラマン 豪輔に恋人が死に追いやられる
もう、井上・園田以外は、みんなそれぞれのエピソードで豪輔に恨み千万だ。
また、こんな人もいる
(軽井沢の住み込み人)
- 野中ふみ子・・豪輔の秘書、なんでも係
- お滝・・女中
2日間くらいの時間の中で、場所は軽井沢の別荘のみ。
そのせいか、この登場人物たちがとにかくしゃべりまくる。
重要なこともこの会話から発掘できるので、メモを取ることをおススメするで!
「朱の絶筆」見どころ2 2日間で4つの殺人
あまり詳しくは言えないが、「朱の絶筆」の大きな特徴はスピード感だ。
なんせ2日の間に、4つの殺人事件だ。
登場人物もほとんど寝ていない。
犯人の行動力に感心や。
誰が殺されるとは言わないが、事件を書いておく。
犯行の手口が、あちこちで見覚えがあるのは、それだけ参考にされているのかもしれんな。
1 篠崎豪輔・・絞殺 首に緑色のロープ
ガスコンロの上に大量の灰(何かを大量に燃やしてる)
緑のロープは、もう一つの殺人でも使われるので重要やで。
ここからはネタバレになるので、慎重に書いていくわ
2 絞殺事件
同じく緑色のロープで絞殺。
夜中に突如、オルゴールが鳴ったことにより発覚。
殺人事件があった夜中に、響き渡るオルゴールは不気味極まりない。
でも何のためにオルゴールが鳴ったのか?
誰が鳴らしたのか?
考えておこう!
3 毒殺事件
みんなが飲んだコーヒーで、1人だけが死亡。
原因は服毒死。
皆にふるまった飲み物で、狙った1人だけに毒入りを飲ませるのは、いろいろな作家さんが考えてるよな!
「鏡は横にひび割れて」でもあったし、「ロシア紅茶の謎」でもあった。
「三幕の殺人」でもそうやな。
ここは想像力&推理力の働かせどころ!
「鏡は横にひび割れて」詳しくはこちら
「ロシア紅茶の謎」詳しくはこちら
「三幕の殺人」詳しくはこちら
4 密室で感電死
お風呂に入っていた人物が、密室で感電死。
窓も締まってたし、お風呂にも脱衣場にも鍵もかかっていた。
どうやって殺したのか?
ハイペースな展開に登場人物も読者もヘトヘトになるが、4つの殺人が終わったときに、作者・鮎川哲也さんからの挑戦状がある。
ここでページを伏せて、犯人を推理してください。
解明のデータ、惜しげもなくばらまいてあります(略)あなたが少し注意深く読みさえすれば、動機もトリックも見破れますし、犯人の正体に肉迫することも困難ではありません・・・。
「朱の絶筆」(ノンノベル)・・・P263
で、星影龍三がこの後オンライン(というか電話)で謎解きに参加するのや。
星影龍三になった気で考えてみよう!
鮎川哲也「朱の絶筆」 まとめ
ネコ缶評価
うーん
ちょっとトリックや伏線に、無理を感じるかな。
とはいえ、コクのあるキャラ達。
2日の間に4つも起こる連続殺人。
ぐいぐい引き込んでくれる会話などはさすが。
星影龍三ものは少ないので、興味のある方は読んでおいて損はないで!
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