コロナ禍でクリスティを読み始めて、早や1年半がたつ。
もともとネコ缶、あまり短編は好きではない。
なもんで、どうしようかなと思っていたが、読んでみてこう思った。
クリスティの短編は、長編に比べるとパワーダウンしていると思う事もある。
でも短編だけのキャラもいるし、1話完結のテレビドラマを見ているような面白さもあった。
そしてなによりこれ
今回ご紹介する「教会で死んだ男」は、これ、どっかで見た事あるな・・
と思うような話が結構あった。
早速みていこう!
Contents
アガサクリスティ「教会で死んだ男」あらすじ&感想
「教会で死んだ男」はこの話から成り立つ。
- 戦勝記念舞踏会事件
- 〇潜水艦の設計図
- クラブのキング
- マーケット・ペイジングの怪事件
- 二重の手がかり
- 呪われた相続人
- コーンウォールの毒殺事件
- 〇プリマス行き急行列車
- ★料理人の失踪
- 二重の罪
- ★★スズメ蜂の巣
- 洋裁店の人形
- 〇教会で死んだ男
★はネコ缶の好きな話
〇印は、「何かの話のベースになってないか?」「もしくは長編からちょっと抜いたのでは?」という印象を受けた話。
これまでにも何度かあったが、今回は3つもあったのでちょっと印しておいた。
早速内容をみていこう。
「教会で死んだ男」 戦勝記念舞踏会事件
戦勝を記念したパーティが開催された日、若きクロンショー卿とその友人たちは仮装して参加。
だが夕食の時から、クロンショー卿と、婚約者のコートニーが何やら険悪に・・・。
そのままコートニーは、デイビットソンに送られて帰宅。
その後、クロンショーが刺殺されているのが発見された!
それだけでなく、自宅でコートニーも死体となって発見される。
2人はなぜ殺されたのか?
イタリアの舞台「コメディア・デル・アルテ」を知っていたら、楽しさ倍増。
「教会で死んだ男」 潜水艦の設計図
ポアロが、アロウェイ卿の別荘に急に呼び出しを受けた。
夜の11時に駆け付けてみると、そこにはアロウェイ卿以外にも、海軍のハリー・ウェアデイルが。
彼らはポアロにこう言った
「最新のZ型潜水艦の設計図が、盗まれたのです!」
表ざたにせず解決してほしいと、警察ではなくポアロを呼んだとの事。
これは国を揺るがす案件。
ポアロはどう推理していくのか?
「死人の鏡」の「謎の盗難事件」にそっくりなのだ。
出版は「死人の鏡」の方が先やから、これは焼き直しかな?
「教会で死んだ男」 クラブのキング
ブリッジをしていた家族のところに、血まみれの1人の女性・ヴァレリーが飛び込んで来てこう言った
「助けて!人殺しよ!」
ヴァレリーはそのまま気絶。
驚いた家族が隣の家に行ってみると、本当に死体が・・・。
死体の身元はリードバーン。
この男はヴァレリーの秘密をにぎり、脅迫していたというが・・・。
短編でもやはり出てきた。
トランプで人は殺せへんけど、「クラブのキング」のカードが重要な役を果たしてるで!
「教会で死んだ男」 マーケット・ペイジングの怪事件
マーケット・ペイジングという田舎町に来た、ポアロとジャップとヘイスティングス。
のんびり楽しんでいたが、そこへ巡査が駆け込んできてこう言った。
「自殺したと思われる男が見つかりました。
でも、その部屋は鍵がかかってて、医師も自殺ではないと言っているのです・・」
3人は休暇もそっちのけで、調査を始める・・・
トリックが少々簡単だったのが残念~。
「教会で死んだ男」 二重の手がかり
大変な資産家の、マーカス・ハードマンの金庫から宝石が盗まれた。
ティーパーティを開き、美術品の披露をした後無くなっていたのだ。
招待した客は6人。
だがみんな親しい友人という事で、表ざたにはしたくないというハードマン。
ポアロは金庫内に落ちていた、手袋とシガレットケースから、犯人を割り出せるのか?
ポアロが憧れる、ヴェラ・ロサコフ伯爵夫人がここで登場するのだ。
「ヘラクレスの冒険」のラストの話に、ロサコフ夫人は主役で出てる。
興味のある方は読んでみよう。
「教会で死んだ男」 呪われた相続人
リムジュリア家には、長男で家督を相続できる人は一人もいない・・・
という呪われた言い伝えがある。
言い伝えではなく、実際に何人もの長男が死んでいるので、戦々恐々とする人たち。
そんな中、財産を相続する長男のロジャー。
ロジャーだけでなく、その息子ロナルドにも、さまざまなトラブルがふりかかる。
ポアロは、その言い伝えを断ち切ることができるのか?
言い伝えの元となった中世のエピソードは、ポーの「黒猫」を連想させるな。
「教会で死んだ男」 コーンウォールの毒殺事件
ポアロの元にペンジュリー夫人がやってきてこう言った
「夫に、毒殺されかかっている気がしてならないのです」
症状から医者は胃炎と言うが、薬は何故か効かない。
自宅の除草剤も使った覚えはないのに、半分にまで減っているという。
不審に思ったポアロが調査に行ってみると、なんとペンジュリー夫人が亡くなったところだった!
夫人は本当に毒殺されたのだろうか?
ミス・マープルの短編「火曜クラブ」にもそんな話があった。
ペンジュリー夫人、少々気の毒・・。
「教会で死んだ男」 プリマス行き急行列車
プリマス行き急行列車の客室内で、女性の刺殺死体が見つかった。
彼女の身元はルーパード・キャリントン。
娘の死に疑問を持った父・ハリディがポアロに捜査を依頼。
すると、ルーパートには秘密の愛人がいたことが判明。
そして列車内で誰かに会い、メイドを途中下車させていたことが解り・・・・
「青列車の秘密」とそっくりなのだ。
こーゆー楽しみができるのも、短編のだいご味やな!
「教会で死んだ男」 料理人の失踪
ポアロの元に、風変わりな依頼が来た
「いなくなった、うちの料理人を探してほしいのです」
料理人の名前はイライザ・ダン。
水曜日に家をでたまま帰ってこず、2日後に彼女のトランクを取りに来た人間もいたという。
他のメイドともめることもなく、失踪する直前も、普段通り夕食の事を話していたイライザ。
彼女はなぜ失踪してしまったのか?
同時期に起こっていた、他の事件と何かかかわりがあるのか?
ヒントは「かなり重い」という事。
短い話だけど、ばっちりまとまってる
「教会で死んだ男」 二重の罪
仕事のし過ぎで疲労困憊気味のポアロ。
見かねたヘイスティングスが休暇に連れだした。
バスでチャーロック・ベイに行く途中、若い女性と知り合いになる2人。
彼女の名前はメアリー・デュラント。
古美術商を営む祖母の元で修行中で、今回はお客の元に絵を運ぶ途中だった。
仲良く3人で食事をした後、メアリーが涙ながらにポアロの元に来てこう言った。
「絵が盗まれました」
ポアロは休暇を返上して、仕事に取り掛かることに・・・。
ポアロの人間観察力と、タイトルのうまさに最後は感動。
「教会で死んだ男」 スズメ蜂の巣
ジョン・ハリスの元にポアロが突然現れこう言った
「仕事に来たのですよ」
戸惑うジョン。
ポアロを呼んでいないし、そもそも事件など何も起きていないのだ。
だがポアロは大真面目にこういう
「殺人事件ですよ。でも被害者はいません。
これから殺人事件が起こるのです!」
ポアロは、一体何を言っているのだろうか?
そして本当に殺人が起こるのだろうか?
舞台を見ているような印象も受ける。
これ、今回ネコ缶一番好きな話!
「教会で死んだ男」 洋裁店の人形
ロンドンにある洋裁店に、いつの間にか人形がおかれていた。
いつ、誰が置いたのかも解らないが、いつの間にか椅子に座っていたのである。
スタッフも、掃除屋も、お客ですら不気味に思っていた矢先、この人形が動いているとみんなが騒ぎ出した。
元に戻してもいつの間にかデスク前に座っているのである。
見かねた店長が、人形を部屋に入れて、鍵をかけたが・・・
犯罪が絡んでるかと思いきや、最後までホラーだった。
(ポアロもマープルも出ない)
ラストはちょっとしんみり
「教会で死んだ男」 教会で死んだ男
ハーモン夫人が教会に入ったところ、1人の男が死にかけていた。
ハーモン夫人が駆け寄ると、その男は一言「サンクチュアリ・・・頼みます」と言って息絶えてしまう。
その後、この男の姉夫婦と名乗る2人組が現れた。
だが最後の言葉をやたらと知りたがり、着ていた背広にも異様に執着していた。
不審に思ったハーモン夫人。
早速ミス・マープルの処に相談に行ってみたところ・・・・
読んでみてこう思う人は多いかもしれない。
「なぜエヴァンズに頼まない?」によく似てないか?
マープルから、長編では元気な2人にキャラが変わるが、ラストがさわやかなのは同じ。
アガサクリスティ「教会で死んだ男」 まとめ
ネコ缶評価
特に「うーん・・」と思う話はないが、際立ったものもない。
とはいえ読んで損はない。
ポアロを読んでみたい、でも長編はしんどいという方にオススメやな。
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