アガサクリスティを読んでいると、時々こう思う。
それを感じたのは、これを読んだ時だ。
「パディントン発4時50分」
クリスティの作品なので勿論ミステリーなのだが、食べ物の描写がとにかくリアル。
ストーリーよりもそちらが気になってしまい、どんなものなんだろう?食べてみたい!とついつい思ってしまうのだ。
今回ご紹介する「クリスマス・プディングの冒険」も、そういったクリスティお得意(?)の食べ物の描写が多い作品だ。
食いしん坊さんは、楽しみが増えるな!
Contents
「クリスマス・プディングの冒険」 あらすじ&感想
「クリスマス・プディングの冒険」はこの6話からなる。
- クリスマス・プディングの冒険(ポアロ)
- スペイン櫃の秘密(ポアロ)
- 負け犬(ポアロ)
- ★二十四羽の黒つぐみ(ポアロ)
- ★夢(ポアロ)
- ★グリーンショウ氏の阿房宮(ミス・マープル)
★はネコ缶の好きな作品
と、思う方もいるかもしれない。
でもその分、1話あたりのボリュームが多いので、短編とはいえ読み応えのある作品集になってるで!
早速内容をみていこか
「クリスマス・プディングの冒険」 クリスマス・プディングの冒険
ポアロの元に来た、ジェスモンドと若い王子。
実は王子がちょっとした不注意で、家宝のルビーを若い女性に盗まれてしまったのだ。
名誉のために、極秘で捜査してほしいと懇願されるポアロ。
手がかりを求め、キングス・レイシイ家の古城へ行く。
レイシイ家では、古風にクリスマスを祝おうと、若い孫やその友人たちでにぎわっていた。
そこでポアロはこんな手紙をもらう
「プラム・プディングには、決して手を付けない事。
あなたの為を思っている者より」
これは一体どういうことなのか?
果たして家宝のルビーは見つかるのだろうか?
危険な男に振り回されるセーラの胸の内や、心配しながらもセーラを見守るレイシイ夫人、
チーム・若者といった感じの元気なコリン達など、宝石泥棒云々よりも、家族内の葛藤がよく書かれている。
食べ物の描写や、古き良きイギリスのクリスマスの描写がナイス。
犯人はあっと驚くところに・・・。
「クリスマス・プディングの冒険」 スペイン櫃の秘密
リッチ少佐の下男が、パーティのあった翌朝片づけをしようとホールに行くと、なにやらスペイン櫃の下に黒いシミが・・・。
不思議に思い、櫃を開けてみると、そこには男の死体が!
死体の男は、アーノルド・クレイトン
この家の主人・リッチ少佐の友人だった。
前日行われたパーティには、急用で出られないとキャンセルしたはず。
なのになぜ、ここにいるのか?
そしてパーティ会場で、どうやって彼は誰にも見られずに殺されたのだろうか?
長編のベースみたいな話はよくあるが、後期の出版には短編から短編もたまにでてくるな~。
もちろんトリックも同じ。
「クリスマス・プディングの冒険」 負け犬
ルーベン卿が何者かに殺された。
執事はルーベン卿が死んだ直前に、甥のチャールズ・レバースンが会いに行き、彼の悲鳴と何かが倒れる音を聞いている。
チャールズは後に逮捕される。
だがルーベン卿の妻・アストウェル夫人は絶対にチャールズは無実で、秘書のトレファシスが犯人だと根拠もなく言い張る。
アストウェル夫人の話相手、リリーがポアロの元に派遣され、事件解決を依頼するが・・
ただ後半、ちょっとだれたのが残念~。
もう少し短くしたら話がシャキッとしたのではないだろうか。
少々ギョッとするタイトルやけど、ラストで納得。
「クリスマス・プディングの冒険」 二十四羽の黒つぐみ
料理店「ギャラント・エンデヴァ」に、毎週火・木と決まってくる常連客がいた。
注文するものも必ず同じで、ウェイトレスたちは「古時計さん」などと呼んでいた。
ところがある日、突然月曜日に来たうえ、今まで全く注文したこともなかった料理を食べて帰る。
なんだろう?と、不審に思っていたウェイトレスたちだったが、その後「古時計さん」は姿を見せなくなった。
これは何かあると思ったポアロ。
調査を始めていくが・・・・
外食産業に勤めていたネコ缶も、こんな古時計さんと呼びたくなる人は見た事は何度もある。(急に来なくなって心配したことも)
この話も食べ物の描写がナイスやで!
「クリスマス・プディングの冒険」 夢
変わり者の大富豪、ベネディクト・フォーリーに呼び出されたポアロ。
ベネディクトはポアロにこう言った
「同じ夢を毎晩見る。
デスクに私は座って書き物をしているが、時計を見るといつも3時28分なのだ。
そしてその時計を見た後は・・・・必ず私は、ピストル自殺してしまうのだ!」
その後、目が覚めるという。
医者と相談しても、解決しないとのことだ
ポアロはいったん帰宅するが、1週間後、なんとべネディクトがピストル自殺をしてしまったと電話が入る。
そして自殺した時間は、モチロン3時28分で・・
夢の内容と、犯罪を結び付けようとしすぎると失敗するで!
「クリスマス・プディングの冒険」 グリーンショウ氏の阿房宮
これ作り上げた頃に破産をしてしまったという、ラサニエル・グリーンショウ氏の大豪邸は「阿房宮」と呼ばれている。
今は彼の孫の老嬢が、メイドのミセス・クレスウェルと庭師のアルフレッドと暮らしていた。
老嬢ミス・グリーンショウは、レイモンドと客のホレイスが阿房宮の見学に来た時に遺言状を書く。
そこには全財産を家政婦のミセス・クレスウェルに譲るとあった。
だが遺言状を書き上げた直後、ミス・グリーンショウは何者かに殺されてしまう・・・。
「クリスマス・プディング」唯一のミス・マープルもの
(クリスティの知性が光るな)
短い中にぎゅうっと色々詰まった、濃くてよくできた話なので、2回くらい読もな
アガサクリスティ「クリスマス・プディングの冒険」 まとめ
ネコ缶評価
短編とはいいつつ、1話平均90ページ強。
短い中に、伏線もトリックもばっちりの(少し狙いすぎの感も)読み応えのある作品ばかりだった。
ポアロの短編が読みたい人は、「ヘラクレスの冒険」と共に、ぜひ押さえておくべし。
ポアロ読みたいけど、どれがおススメか知りたい方はこちら⇒ポアロシリーズ「おススメ神9」はこちら!
本で床が抜けそうになっている方・人に見られたくない本が欲しい方はこちら!⇒読書好きを救うもの!それは「キンドルペーパーホワイト」