アガサクリスティの、ミス・マープルシリーズは抜群の安定感だ。
どの作品も絶対に75点以上だし、クリスティ自身も楽しんで書いてるのが解る。
その安定感で人気の、ミスマープルの短編集がこちら!
「火曜クラブ」
毎週火曜日に集まって、未解決事件(でも自分だけが真相を知ってるという)を皆で考えましょう・・・
という、ミステリーファンなら、絶対に入部したいと思わせるクラブのお話なのだ。
早速みていこう!
「火曜クラブ」あらすじ&感想
火曜クラブはこの話が入っている。
- ★火曜クラブ
- アスタルテの祠
- 金塊事件
- ★舗道の血痕
- 動機対機会
- 聖ペテロの指の後
- ★青いゼラニウム
- ★ニ人の老嬢
- 四人の容疑者
- クリスマスの悲劇
- 毒草
- バンガロー事件
- ★溺死
「青いゼラニウム」からは、火曜クラブのメンツが変わる。
メンバーの話が一巡したところで、新しい面々に変わったという事かな。
★はネコ缶おススメの話だけど、ミス・マープルシリーズらしくどの作品も完成度は高め。
内容をざっと見ていこう
「火曜クラブ」火曜クラブ あらすじ&感想
・レイモンド(作家)
・サー・ヘンリー・クリザリング(元警察官)
・ペンダー博士(牧師)
・ペサリック(弁護士)
・ジョイス(画家)
そしてミス・マープル
この6人で、毎週火曜日に未解決事件をみんなで話し合おう・・・という会が結成された。
まず最初は、サー・ヘンリー・クリザリングが話す、食中毒事件に似せた殺人事件だった・・・。
英語が堪能な人は、うんと楽しめる話
「火曜クラブ」アスタルテの祠 あらすじ&感想
ペンダー博士が参加していたパーティ。
そこでは仮面舞踏会が催された。
皆が仮装して楽しんでいると、外で突然参加者の1人・ダイアナがアスタルテの巫女の真似をしだした。
そして彼女に近づこうとしたヘイドンが、なぜか突然死んでしまった!
ヘイドンはなぜ死んだのか?
ダイアナ、いやアスタルテの呪いか?
でもオカルトっぽくしたことで盛り上がった。
ただ、登場人物を半分に減らしてもよかったのでは・・・
「火曜クラブ」金塊事件 あらすじ&感想
マープルの甥・レイモンドは面白い男と知り合った。
金塊を積んで沈んた船を本気で探し、引き上げることに情熱を燃やしている男だ。
共感したレイモンドは、さっそく彼の家に行くが、その後彼はなぜか行方不明になり・・・
マープル叔母の、辛辣かつ暖かいお言葉がナイス・・・と母でもあるネコ缶は思う
「火曜クラブ」舗道の血痕 あらすじ&感想
ラトゥールの村にスケッチに行ったジョイス。
そこで奇妙な事件に遭遇する。
地味な奥さんを連れた男性が、少々奇抜な女性の友人に久しぶりに出会い、3人で海水浴に行くのだ。
だがしばらくすると、その地味な奥さんの死体が見つかる。
死体発見の前に、道に血痕を観ていたジョイスは不審に思う。
その後ジョイスは、別の村でも地味な奥さんを連れ、奇抜な女性に偶然出会っている同じ男性を見つけて・・・
道に血痕云々より、そのデジャヴな設定が物凄く印象に残る。
「火曜クラブ」動機対機会 あらすじ&感想
孫娘を失った後、怪しい霊媒師に入れ込んでいるサイモン・クロード。
親族たちは、遺産がその霊媒師に譲られる不安にさいなまれる。
ある日、新しい遺言を作成したサイモンは、その後すぐに死亡。
クロード家の弁護士だったペサリックが、新しい遺言状を開いてみると、なぜかその紙は真っ白だった・・・
動機のある人は機会(チャンス)がない。
機会(チャンス)があった人には動機がない。
物凄く面白い設定&タイトルよくできたタイトル。
トリックは子供のイタズラみたいやで。
「火曜クラブ」聖ペテロの指の後 あらすじ&感想
ミス・マープルの姪・メイベルが夫殺しの噂をたてられていた。
メイベルは絶対にそんなことをする人間ではないと信じるミス・マープル。
とはいえ手掛かりは、死んだ夫の「ひと盛りの魚」という最後のひと言だけ。
ミス・マープルは、ここからどうやってメイベルの無実を晴らすのか?
クリスティの薬学の知識も炸裂していて、長編でもよかったのでは?
「火曜クラブ」青いゼラニウム あらすじ&感想
ワガママな病人、ミセス・プリチャード。
彼女はある日信頼している霊媒師にこう言われた。
「青い花はいけない。青い花は不吉だ。
青いサクラソウは警告。
青いタチアオイは危険信号。
青いゼラニウムは死の象徴」
夫のジョージは笑い飛ばす。
だが壁紙の中に、かつては見なかった青いサクラソウが混じっていて・・・
ここでも元薬剤師・クリスティの知識が炸裂。
クリスティの薬学の知識が生かされた作品
⇒「杉の柩」
「3幕の殺人」
「スタイルズ荘の怪事件」
「火曜クラブ」ニ人の老嬢 あらすじ&感想
グランド・カナリア島に2人の老嬢が訪れた。
だがその翌日、そのうちの1人の老嬢・エイミー・デュラントが海水浴中におぼれ死んでしまう。
この事故のしばらく後に、こんな証言が出る。
「エイミー・デュラントを助けにいったもう一人の老嬢・メアリーが、頭を押さえておぼれさせているのを見た」
だがエイミーは、メアリ―に雇われているコンパニオン。
裕福なメアリーが、わざわざエイミーを殺す理由がない。
この事故の真相は・・・・?
「予告殺人」を思い出させる、これまたよくできた作品。
ネコ缶この話好き。
「火曜クラブ」四人の容疑者 あらすじ&感想
とある秘密結社「黒手団」を解体に追い込んだローゼン博士。
だが博士に恨みを持つ黒手団の残党らが、博士の命を狙っていた。
十分注意していた博士だったが、ある日自宅で殺されているのが見つかる。
容疑者は4人。
だがその容疑者の中には、今回の語り手の元部下・チャールズ・テンプルトンも含まれていた・・・。
「悪の秘密結社」という鷹の爪団みたいな言葉の響きも、「黒手団」という名前もいい。
これだけでミステリーファンなら、ご飯が3杯いけそうだ。
トリックそのものは、これまた英語が堪能な人でないと解らないので残念。
「火曜クラブ」クリスマスの悲劇 あらすじ&感想
ミス・マープルは気づいていた。
Mrサンダースが、妻をそのうち殺すような人物であることを。
むろん奥さんのグラディスは、そんなことに気づきもしていない。
マープルは細心の注意を払っていたが、とうとうグラディスは殺されてしまう。
だが、Mrサンダースには鉄壁のアリバイがあった・・・。
殺人を防げなかったことは残念だけど、「人殺しをする人」というのを、どうやって見分けているのか?
ぜひ防犯セミナーをやってほしいところだ。
「火曜クラブ」毒草 あらすじ&感想
毒草のジキタリスを、ハーブのセージを間違えて、ソーセージに入れてしまい食中毒が出た家があった。
不幸にもその患者の1人、シルヴィアが死んでしまう。
よくある不注意による中毒事故と思われていたが、シルヴィアの婚約者が浮気をしていた事や、シルヴィアがまとまった遺産を相続する可能性があることが判明。
これは本当に事故だったのだろうか・・・?
「火曜クラブ」バンガロー事件 あらすじ&感想
とある青年が、女優のミス・ヘリアのところに戯曲を送ったところ、ぜひ会いたいと言われた。
喜びいさんで訪問し、歓談の後・・・・なぜか意識をなくし、気が付いたら道で寝ていた上逮捕されてしまう。
近所で泥棒騒ぎがあったそうなのだ。
その上、ミス・ヘリアはそんな青年と会ったこともないと言う・・・。
ここでもミス・マープルのすごさが解る。
ちなみにミス・ヘリアは「エッジウェア卿の死」に出てくる、ジェーン・ウィルキンソンとよく似ている。
「火曜クラブ」溺死 あらすじ&感想
ブルー・ボア館のローズが溺死体で発見された。
彼女はサンドフォードという青年と恋仲になり、妊娠して捨てられたというのだ。
それを苦にしての自殺とみられていたが、ミスマープルはこう断言した。
「ローズは自殺ではありません。だれが殺したかは解っています」
そして犯人の名前を書いた紙を、サー・ヘンリーに渡して捜査を頼む。
ミス・マープルの推理は当たっていたのか?
でもクラブでのマープルの実績があったからこそ、解決した事件。
犯人は意外過ぎる人物で、ちょっと哀しい。
アガサクリスティ(短編) 「火曜クラブ」 まとめ
ネコ缶評価
全編にミス・マープルの推理力と冴えが光る。
「ミス・マープルの独壇場」な作品。
クリスティファンの人は、それも楽しんでな!
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