今人気のバスツアーに、「ミステリーツアー」というプランがある。
行く先が解らないままにバスに乗り込み、「どこに行くんだろう?」というワクワクを楽しむというものだ。
今回、ミス・マープルが、なんとそのプランをやってのけた
それが今回ご紹介するこちら
「復讐の女神」!
ミス・マープルは言わずと知れた、セント・メアリーミードに住むおばあちゃん名探偵。
こじんまりと村で起こる事件を解決していたが、前々回はカリブ海に旅行に行ってるし、前回は、ロンドンに行き老舗のホテルに宿泊している。
「カリブ海の秘密」はこちらから
「バートラムホテルにて」はこちらから
しかも今回その「ミステリーツアー」に招待したのは、「カリブ海の秘密」に出てきた老富豪、ラフィール氏なのだ。
したたかなラフィール氏、なんの理由もなくツアーに招待するわけもない。
なんでミスマープルを、わざわざミステリーバスツアーに連れてきたのか?
詳しくみていこう!
Contents
アガサクリスティ(ミス・マープル)「復讐の女神」 あらすじ
ミス・マープルが新聞を読んでいた時、死亡欄に見た事のある名前を見つけた。
それは、カリブ海にバカンスに出かけた時出会った、老富豪のラフィールの名前だった。
・・・と、マープルが感傷に浸ったのもつかの間、その一週間後に弁護士事務所から手紙が届く。
いぶかしみながら事務所に行ってみると、それにいたのはラフィール氏の弁護士。
そしてその弁護士はこう言った。
でもそれは、ラフィール氏からの提案をのむ事が条件です
ラフィール氏は、マープルを信頼して言っていると話す弁護士。
弁護士に聞いても、提案の内容は知らないという事なので、マープルは困惑するばかり。
この話からしばらく後、ラフィール氏からの指示であろう、旅行会社からこんな手紙も届いた。
ますます迷うマープル。
ここに至っても、まだラフィール氏がミス・マープルに何をしてほしいのかが、全く解らないからだ。
解るのは「合言葉はネメシス(復讐の女神)」ということだけ。
だがマープルは持ち前の好奇心と、ラフィール氏のために、旅に出ることを決意する。
そしてマープルの行く先で待ち構えていたことは・・・?
ラフィール氏の願いは一体何なのか?
マープルの人間観察力と洞察力が光る。
アガサクリスティ(ミス・マープル)「復讐の女神」 感想
「カリブ海の秘密」で、魅力的なキャラだったラフィール氏。
今回こういった形で、再登場してくれたことは素直に嬉しい。
そして「カリブ海の秘密」で見せたマープルとの信頼関係を、そのままこの作品に持ち越してくれたことも。
お金目当てではなく、マープルが引き受けたのもそこだろう。
ちなみに「復讐の女神」が出版された1971年のレートは、1ポンド700円くらい。
当時の2万ポンドは、当時の日本円で大体1400万円。
1971年の大卒初任給は46400円。
2012年で20万円だ(ここで頭打ち)
ここを参考にしました
ってことは、1971年の1400万は、2020年なら5倍くらいになって、7000万くらいかなあ!
「復讐の女神」は、細かく言うと、バスツアーと旧領主邸の2段階に分かれている。
あまり書くとネタバレになるので書けないが、ポイントだけ書いておく。
この2つの内容を詳しく書いておこう。
「復讐の女神」見どころ1 バスツアー内容
バスツアーの目的は、イギリスの著名人の邸宅と庭園を巡る旅。
建築や庭園好きな人が集まるツアーなのだ。
メンバーを紹介しておこう。
ジョアナ・クロフォード(ライズリーの姪)
ウォーカー大佐夫妻(退役軍人夫妻)
バトラー夫妻(善良なアメリカ人夫妻)
ワンステッド教授(「四角い」教授)
エリザベス・テンプル(元女子校校長先生)
リチャード・ジェームスン(建築家)
ミス・ラムリー(老嬢)
ミス・バロー(老嬢)
ミス・ベンサム(中年女性)
ミス・クック(中年女性)
エムリン・プライス(若い男子学生)
キャスパー(ちょっと興奮しがちな外国人)
※解りやすいように、親族や、仲良しペアには同じ印をつけてみました↑
老嬢あり、大学教授あり、元女子校校長あり、建築家に退役軍人と様々な人が集まる、このツアー。
モチロン平穏に終わるわけがない。
「復讐の女神」見どころ2 旧領主邸
旧領主邸は、バスツアーの途中で出てくる。
そしてラフィール氏の願いのキモが、ここにあるんや
この3姉妹が住んでいる、ちょっと古びた訳ありな家なのだ。
・クロチルド・ブラットベリースコット(長女)・・黒髪の知的な女性
・ラヴィニア・グリン(次女)・・家庭的で愛嬌がある女性
・アンシア・ブラットベリースコット(三女)・・不思議な感じ。オフィーリアが年を取った印象
長女と次女は、まだいいのだが、末っ子のアイシアはなんだか様子がおかしい。
暗く、悲しい雰囲気のある邸宅、古びて荒れ果てた庭にも訳がありそうだ。
旧邸宅が出てくるのは物語の中盤。
ここから内容が一気に深まる。
ラフィール氏の願望が解ったときは、切なくなるで!
アガサクリスティ(ミス・マープル)「復讐の女神」 まとめ
ネコ缶評価
登場人物がやたらと多いし、読みなれてない人にはちょっときついかもしれない。
だがマープルものの中では、一番読み応えのある作品。
今回のテーマはズバリ「愛」だ。
歪んだ愛、本当の愛、友情愛・・・いろんな愛が「復讐の女神」にはある。
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